ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

日本復興の提言~藤井厳喜氏5

2011-04-28 08:15:49 | 時事
2.日本復興のための社会政策

 藤井(厳)氏は「東京への一極集中から、東日本・西日本の均衡のとれた国土発展へ」と提案する。特に注目したいのは、下記の点である。
 「現在、日本の経済的中心は、あまりに東日本に傾いている」。東京への一極集中で、首都圏に国家機能が過剰に集中している。「現在の危機は、この東日本と西日本の極端なアンバランスを改善する好機である」「もし今回のマグニチュード9の地震が首都圏で起きていれば、機能は完全に喪失していただろう」「首都機能の分散は元より、産業再配備による東日本と西日本の、そして大都市と農村の均衡の取れた日本の国土発展を実現すべきである」。そうすれば「例え国家の一地域において、決定的な災害が起ころうとも、他の地域が有機的に機能し、その損害を補う事によって、災害地の復興が可能となる。あらゆる富と生産設備と頭脳が一か所に集中していれば、その一か所が決定的な災害に見舞われた時、国家は、復活する事が出来ない。一地域における災害が、国家そのものの衰退という結果を生む事になる」と。
 日本の生存と発展のため、東京への一極集中を改め、国家機能を分散することに、私は賛成である。単に分散するだけでなく、副首都として機能する都市を定め、具体的に建設すべきだろう。産業再配備による東日本と西日本の均衡の取れた国土発展にも賛成である。この点も合わせ考えると、副首都は関西に置き、東京の周辺でも機能をある程度分散するのがよいと思う。都市と農村の均衡の取れた国土発展は、これとは別の課題であろう。災害に耐える日本を創るためにも、食糧危機の時代に備えるためにも、食糧自給率を高める必要がある。そのために、農業を振興し、農業の労働人口を増やしていけば、構造改革後、疲弊した地方都市に活力を回復することにつながるだろう。これによって、東京と他の大都市の格差、また大都市と中小都市の格差を縮小することもできるだろう。
 藤井(厳)氏は、別の点でも注目すべき提案をしている。
 「この際、『地方主権』などという考え方が如何に国益に反し、現実にそぐわないかを再認識すべきである。もし、『道州制的地域主権』なるものが実現していたらどうなるだろうか。『東北州』の災害には他の道州は全く有機的にこれを救済する事が出来なくなってしまう」「『日本国は、主権国家として一体であり、地方の自主性を重んじながら、国家機能を分散させ、リスクに備える』という考え方と、『道州制的地域主権』とは似て非なるものであり、実は真っ向から対立する国家観なのである」「日本国民全体が、皇室という尊い存在の下、1つの歴史的な有機体として繋がりを持ち、相互に助け合い、各地方は均衡を持って発展してゆく、というのが真の国家経営のあり方である。またそれは、日本国の歴史が我々に教える国家発展の基本でもある」と。
 私は、地域主権には反対である。地方分権の推進であれば賛成だが、自主憲法の制定の出来ていない状態で、分権に走ると重大な問題を生じる。拙稿「友愛を捨てて、日本に返れ~鳩山政治哲学の矛盾・偽善・破綻」に次のように書いた。
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion13b.htm
 「近代国家の主権とは、一国の政府が他の国に対して持つ自立的な統治権である。また、主権は、国内において領土・国民に対する最高の権限である。もし『地域主権』を実現し、個々の地方自治体の持つ権限こそが主権だとすれば、政府はその自治体に対して主権を持たず、政府の権限は、その地域については、自治体の権限より下になる。そのような政府は、独立主権国家の政府ではない。それゆえ、『地域主権の実現』は、独立主権国家を否定することになる」「『地域主権の実現』は、主権の分散である。外国人参政権付与は主権の分譲である。主権の分散と分譲は、わが国の国家としてのあり方を、劇的に変える。その結果、生まれるのは、『地域主権国家』という新しい形態の国家ではなく、『主権喪失国家』という国家の残骸である」
 「国家統治権と地方自治権が、最も強い緊張関係に置かれるのは、他国による侵攻、内乱・騒擾、大規模自然災害等の場合である。わが国では現状、国民に国防の義務がなく、憲法に非常事態条項がない。こうした憲法のまま、地方分権を極端に進めたならば、万が一の危機のときに、国家分裂に陥りかねない。私は地方分権を進める前に、わが国が独立主権国家として体制を確立することが、絶対不可欠だと考える。この手順を誤ると、日本は崩壊するおそれがある」と。
 今回の大震災は、国家はどうあるべきかを日本人が真剣に考える機会ともなったと思う。藤井(厳)氏の先の提案において、皇室の下、国民全体が繋がり、助け合い、均衡を持って発展すべきことを書いているのは、全く同感である。国家的な危機において自ずと現れる日本精神を、日本人が自覚し、積極的に日本精神を復興することこそ、東北復興、日本復興の最重要課題である。日本人が精神的に復興すれば、日本は立ち直る。逆に精神的に低迷すれば、日本は天災人災の中で自壊・衰亡する。いま日本はそのぎりぎりの地点にある。目覚めよ、日本人。日本精神を取り戻そう。

 次回に続く。