ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

大震災から1ヶ月、統一地方選

2011-04-12 10:26:12 | 時事
 東日本大震災から昨日で1ヶ月が過ぎた。わが国は戦後最低の内閣の時に、戦後最悪の大災害に遭遇した。地震と津波による人的物的被害は甚大で、さらに原発事故が発生し、未だ収束していない。被害は、震災発生後の政府の失態によって拡大した。自衛隊・消防・警察・企業・自治体・米軍等の懸命の努力により、救助・救援・復旧が進められている。しかし、未だわが国政府から復興のビジョンは示されていない。また数十兆円から100兆円を要すると見られる復興のための財源調達も、方法が示されていない。政府は福島第1原発事故をチェルノブイリと同じレベル7に引き上げたが、その解決の目処も立っていない。
 こうしたなか、昨日、統一地方選挙が行われ、与党民主党は大敗した。東京都・神奈川県・三重県の知事選挙では、3箇所とも民主党の候補者は敗れた。地方議会選挙においても、民主党は野党時代の水準以下の議席に落ち込んだ。当然の結果である。統一地方選挙は後半戦があるが、その結果も同様になるだろう。菅首相には退陣する意思が見られず、岡田幹事長は選挙結果を政権批判とは受け止めないとして、政権の延命を図っている。まことに見苦しく、あさましい。
 東京都知事選挙は、石原慎太郎氏が圧勝した。石原氏は言動や考え方に一部問題があるが、日本を愛し、国家の再建や国防・防災の整備への熱意において、現代日本有数の政治家である。私としては、国政に復帰し、大震災復興の特命担当大臣として、辣腕を振るうことを期待したが、本人が都知事を選択した以上やむをえない。東京から日本の復興を進める、首都の防災を強化するということも重大な課題であり、石原氏にはその方面で活躍してもらいたい。
 衆議院選挙が行われないままに、大震災が起こったのは、わが国にとって痛恨の極みである。震災直後の現在、衆議院の解散総選挙は、原発事故の対処や復興政策を遅滞させることとなり、現実的でない。震災後、失政で被害を拡大し、混乱を起こすばかりの民主党には、日本を任せらない。与野党から時限的な大連立案が出ているが、次善策として、野党から有能な人材が内閣に入って政府の機能を強化して、国家非常事態を乗り切るしかないように私は思う。その際、まず菅首相の辞任、首相の交代が前提であり、必ず一定期間後(6ヶ月程度)に解散総選挙を行うことを条件とし、国民にそのことを公約として明らかにしたうえで、実行してもらいたいと思う。

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●産経新聞 平成23年4月10日

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110410/plc11041002340000-n3.htm
大震災1カ月 国家再興へ総力結集せよ 菅首相の失政の責任は重大だ
2011.4.10 02:32

 地震、津波、原発というトリプルパンチに見舞われたこの1カ月を総括すると、日本人が災害の克服に底力を発揮する一方、菅直人内閣の失政が際立っている。
 死者、行方不明合わせて2万7千人超という数字は、今も増え続けている。だが、日本人はさらに犠牲者の多かった大正12(1923)年の関東大震災や昭和20(1945)年の東京大空襲の後も、絶望的な焦土の中から蘇(よみがえ)った。
 今回も東北などに住む人たちは柔軟な適応力で日常の生活を築き上げつつある。衣食足りずとも礼節があったからに違いない。

≪官僚機構を活用できず≫
 そうした強靱(きょうじん)な民力に加えて、警察、消防、さらに自衛隊が大挙して支援した。自衛隊の足りない輸送力は米軍が補ってくれた。日米同盟がみごとに機能したのである。日本の底力に諸外国が感嘆したゆえんである。
 東京電力福島第1原子力発電所の事故は、収拾のめどがなお立っていない。だが、大震災から1カ月がたつこれからも、国家と国民の総力を結集して再興へのグランドデザインを描き、それを国家プロジェクトとして決定し、実行していかなければならない。
 このとき、最大の障害になるのが菅首相であると指摘せざるを得ないのは、日本の不幸である。
 「やるべきことをやっていない。今の状態で国政を担当するのは許されない」
 与党出身の西岡武夫参院議長は7日の記者会見で、異例ともいえる首相の進退に言及した。
この1カ月間の首相の問題行動は、震災翌日に福島第1原発を視察して「事故対応の初動に遅れが生じた」と野党から批判されたことなど、枚挙にいとまがない。
 最大の問題は、いまだにオールジャパンの態勢を組めないことである。官僚組織を束ね、その能力をフル活用せねばならない最高指導者であるにもかかわらず、官僚機構への不信感が先立つためか、使いこなしていない。首相の勉強会といった「政治主導」組織が増殖し、肥大化していては、政府機能は不全化しかねない。
 関東大震災では発生から18日後、首相を総裁とする帝都復興審議会が設けられた。後藤新平内相ら閣僚、財界人に加えて、野党のトップなども参加している。
 震災後1カ月もたたぬうちに後藤を総裁に設立された帝都復興院は、東京の復旧にとどまらず、大規模な区画整理や拡幅の大きい道路建設など災害に強い近代都市づくりを打ち出した。超党派による国難克服が、何よりも優先されねばならないのは今も同じだ。
 だが、菅首相は政権公約(マニフェスト)の抜本見直しに触れることなく、閣僚増員でもって自民党に連立を呼びかけ、断られた。相手に責任を転嫁して政権延命を図ろうとしていることが見抜かれてしまったのだろう。

≪底力支える皇室の存在≫
 平成7年の阪神・淡路大震災時には、復旧・復興の関連法16本のうち3本が1カ月以内に、8本が約40日で成立したのに比べ、今回はいまだにゼロだ。菅首相の責任はきわめて重大である。
大震災の復旧・復興対策に向けて第1次補正予算が検討されているが、4兆円規模といわれる財源案の内訳をみると、子ども手当増額や高速道路の社会実験の中止などマニフェストのばらまき政策から振り向ける分は、5千億円余りにとどまっている。
 その一方で、政府開発援助(ODA)を当初予算の約5700億円から2割削減し、1千億円程度を財源に回そうとしている。
 大震災で幅広い支援を寄せた国際社会に、日本が今後どう応えていくかは大きな課題だ。マニフェストの抜本見直しを放置してODA予算を削減するのは、緊急事態の優先順位を判断できないことを象徴している。
 国民の底力を支えているのは天皇、皇后両陛下だ。東京都内の避難所に続いて、埼玉県加須市の旧騎西高校を訪れ、被災者を励まされた。事態が落ち着けば被災した現地にも入られる見通しだ。
 天皇陛下はビデオを通じても、被災者を案じ、国民に苦難を分かち合うことを直接、呼びかけられた。皇太子ご夫妻や秋篠宮ご夫妻も避難所を訪問された。
 菅政権の指導力が問題視されるなかで、両陛下と皇族方の励ましが国民に勇気を与え、復興への心のよりどころになっている。

●産経新聞 平成23年4月12日

【http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110412/stt11041203030000-n1.htm
民主党惨敗 国民による審判直視せよ
2011.4.12 03:03

 民主党は統一地方選前半戦の惨敗を無視しようというのだろうか。
 菅直人首相は11日、東日本大震災の緊急災害対策本部で「新たな日本をつくる努力をさらに頑張らないといけない」と述べた。
 枝野幸男官房長官は「首相は厳しい中で職責をしっかり果たしていくことが筋だ」と退陣論を否定するとともに、惨敗の釈明として「震災対応に全力投入が求められていた」と説明した。
 こうした発言には、選挙結果が明らかにした国民の審判を直視しようする姿勢はうかがえない。
 与野党対決型となった東京など3知事選でいずれも惨敗し、道府県議選では野党時代の水準以下の議席に落ち込んだ。この事実を真摯(しんし)に受け止めなければ、民主党は国民の信頼を取り戻すことはかなわない。首相は、最高指導者の責任の取り方がいかにあるべきかを今一度考えてほしい。
 民主党が敗北の責任にほおかむりするのは、昨年7月の参院選でも同じだった。
 菅首相の下で枝野氏が幹事長として参院選に臨み、大敗を喫した。首相はその責任を明確にせず、9月の代表選を経て続投になった。枝野氏は9月の内閣改造でいったん幹事長代理に降格されたが、今年1月に官房長官として政権中枢入りした。
 官房長官時代に問責決議を可決され、いったん官邸を離れた仙谷由人氏も官房副長官として復帰している。枝野氏ら政権の主要メンバーについて、首相は自らも含め、その責任の所在を曖昧にする人事を重ねてきたといえる。
 自民、公明両党は、被災地復旧のための1次補正予算への協力姿勢を示しつつ、首相に対する「国民の不信任」の意義を強調している。一連のばらまき政策を抜本的に見直そうとせず、政権の延命を優先している菅政権の失政を徹底的に追及すべきだ。
 民主党は12日告示の衆院愛知6区補選に独自候補を立てない。名古屋市長選に出馬した党所属議員の辞職による補選だが、不戦敗で1議席を失う。「民主王国」でも深刻な退潮傾向が生じている。
 岡田克也幹事長は選挙結果を「政権批判とは受け止めていない」と主張しており、統一地方選を総括する全国幹事長会議を5月に開くという。露骨な責任論の先送りは許されまい。
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