ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

北朝鮮に友愛外交は通じない

2009-06-19 19:22:02 | 時事
 昨18日の産経新聞の朝刊は、民主党の外交政策を特集した「危うい「友愛」外交」の第三回を掲載した。その最後は、次のように締めくくられている。
 「いま必要なのは日米同盟の立て直しである。日本が北のミサイル破壊命令を出した2日後、ゲーツ国防長官は「米国を標的にしない限り、迎撃する計画はない」と述べた。続いて、クリントン国務長官が「日本には領土を守るあらゆる権利がある」と突き放す。
 これらの発言は、日本が軍事的な脅威にさらされても米国は動かぬ場合があるということだ。日本は集団的自衛権を行使できず、米国に向かう北のミサイルを迎撃できないから文句もいえない。
 この日米同盟の破れを放置する麻生政権もひどいが、鳩山、岡田ら民主党幹部もまた有事駐留論の幻想から完全に抜け出していない。かつて、日米安保反対を撤回した「村山富市モデル」に従って、ほどよく変節することを願う。」
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090618/stt0906180805001-n3.htm
 
 ゲーツ国防長官やクリントン国務長官の発言に対し、わが国の政府は反論できない。彼らの発言は、日米安保条約の片務的な条文にのっとったものであり、またわが国は、集団的自衛権の政府解釈によって、アメリカに対し、双務的な防衛行動ができない。
 北朝鮮が本気でわが国にミサイル攻撃をしてきた場合、わが国は危うい。現在でさえ、そうであるが、民主党の友愛外交は、わが国を一層危険な状態にさらすことになる。
 鳩山由紀夫代表の友愛外交論は、観念的理想主義であって、アメリカには通じない。それ以上に、北朝鮮にはまったく通じない。鳩山氏は総理大臣になったら、北朝鮮を訪問し、金正日総書記に「友愛」を説くつもりかもしれないが、軽蔑と嘲笑の的になるだけだろう。
 
 産経の記事と同じ18日、北朝鮮の攻撃対象は日本だと米専門家が下院で証言したというニュースが流れた。
 共同通信の記事によると、証言したのは、米国の朝鮮半島問題研究者、国際政策センターのセリグ・ハリソン。米下院外交委員会の公聴会で、北朝鮮が戦争状態に陥った場合、韓国ではなく日本を攻撃するとの見方を述べたという。
 日本が攻撃対象である理由は、金正日総書記の健康状態が悪化した後、「反日感情が強く国粋主義的で、海外経験のない若手将校らが政権内で立場を強めた」ことだという。ハリソンは、若手将校らは金総書記が平成14年に日本人拉致を認め「謝罪したことに憤慨」しており、「日本と紛争になった場合の北朝鮮の能力を非現実的なほど高く評価し、他の高官らを憂慮させている」と述べた。ハリソン氏は「国連制裁の結果、事態が悪化した場合、北朝鮮は報復として韓国ではなく日本か在日米軍基地を攻撃するだろう」という予測を語ったという。
http://sankei.jp.msn.com/world/korea/090618/kor0906180954000-n1.htm

 北朝鮮のミサイルが日本を攻撃対象にしているのはもともと明らかなことであるが、ハリソン証言で注目すべきは、国連制裁の結果、事態が悪化した場合、報復として日本を攻撃するだろうという予測を述べていること。また、反日感情が強く国粋主義的で、海外経験のない若手将校らが政権内で立場を強めており、彼らは金正日が拉致問題で日本に謝罪したことに憤激していると言っていることである。
 戦前のわが国では、昭和恐慌後の農村の悲惨を背景に青年将校がクーデターを試み、それを利用した軍指導部が政治の実権を握り、わが国の進路を誤らせた。偏狭で独善的なナショナリズムや、感情的な排外主義は、冒険主義的な行動に走りやすい。
 北朝鮮の若手将校が、政府や軍部でどの程度の影響力をもっているのかわからないが、われわれ日本人は、よく警戒・自衛すべきである。

 韓国の中央日報も、ハリソン証言を伝えている。最後にそれをクリップしておく。
 
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●中央日報 平成21年6月18日号

http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=871773&media_id=56
「北朝鮮、紛争発生なら韓国ではなく日本を攻撃」
(中央日報 - 06月18日 16:53)

 米国内の北朝鮮専門家と呼ばれるセリグ・ハリソン国際政策センター(CIP)アジアプログラム局長は、紛争が発生すれば北朝鮮は韓国ではなく日本を攻撃すると予想される、と述べた。
1月に北朝鮮を訪問しているハリソン局長は、17日、米連邦下院外交関係委員会小委員聴聞会に出席し、このように証言した。
 ハリソン局長は「最近国連安全保障理事会で決議した北朝鮮制裁を履行する過程で摩擦が発生し、北朝鮮が攻撃を敢行する場合、その対象は韓国ではなく日本になるだろう」と予想した。
 国連安全保障理事会は最近、北朝鮮を行き来する船に大量破壊兵器、ミサイル、核物質などの積載が疑われる場合、公海上であっても加盟国はこれを停船させて検査することを促している。
 ハリソン局長の予想は、こうした北朝鮮船の検査が実際に履行される場合、摩擦が生じる可能性があり、この過程で北朝鮮がこうした行動をとる可能性があるということだ。
 ハリソン局長はまた「いま北朝鮮では民族主義に染まった若い世代が外部世界との経験なしに指導者の席に就いている。病気で倒れたことのある金正日(キム・ジョンイル)国防委員長は日々、国政運営の役割が減っている」とし、金正雲(キム・ジョンウン)の継承が国政の運営に関与する場合、民族主義に立脚して日本との間で摩擦が生じうると指摘した。
 1月に北朝鮮を訪問し、北朝鮮に対して「核兵器を放棄すれば米国との国交正常化と経済支援を提供する」と提案したハリソン局長は、北朝鮮から「外交関係正常化および経済支援が先に行われれば核兵器を放棄する」という回答を受けて帰国したと、米議会報告書は指摘した。
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