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2023年02月22日 | ロシアのウクライナ侵攻

  昨年2月24日、ロシアが突然ウクライナに侵攻し、世界は一変しました。

それに先立つ22日に、私はブログで風雲急を告げる旨の投稿をしていました。

それをまず引用します。

 

タイトル;小国ロシアの皇帝プーチン

 

  風雲急を告げるウクライナ情勢ですが、ここまでくるとプーチンに一言言わざるを得ません。帝政ロシア時代から連綿と続き、ソ連に引き継がれたロシア帝国の亡霊が復活し始めています。怪僧ラスプーチンも負けるほどのプーチンの怪人ぶりにはあきれるばかりです。

  彼の悪辣さは、小は国家ぐるみの度重なるドーピングや政敵暗殺から、大は隣国への侵略までのやりたい放題。国民への言論封殺は度を超え、超音速ミサイル開発を推進して隣国を脅しまくる様は、とても21世紀の現代国家の大統領とは思えません。

  その昔ソルジェニーツィンにより「収容所列島」とレッテルを貼られたにも関わらず、その復活を計ろうとする怪人を絶対に許してはいけない。

 

  一方、昨今のニュースを見ていて私が違和感を持つのはプーチンの言う「NATOによる侵略」と同じ言葉を使うマスコミの論調です。

  80年代までソ連の脅威を防ぐべく集団防衛体制を築いたNATOですが、ロシアを含め侵略など一度もしていません。日本の報道も同罪です。何故ならまずソ連崩壊以前のNATO加盟国を例えば青色に塗り、ソ連を赤に塗って、中間地帯を白抜きにして勢力図とし、その後東欧や旧ソ連から独立してNATOに加盟した国々の白を青に塗り替えて、NATOがロシアに迫りつつあるような言い方をしています。

  しかし待てよ、中間地帯は白なんかじゃなかったはずです。ソ連を中心にNATOに対抗して結束した軍事同盟、ワルシャワ条約機構を忘れていませんか。その崩壊後は白としてもいいでしょう。

  もっと重要なことは、NATOは武力で東欧や旧ソ連の構成国を侵略などしていません。あくまでそれぞれの国が自らの意思で収容所列島である東側から脱出し自由の身となり、それを守るために自らの判断でNATOに参加したのです。そしてNATOに加盟したからといって、ロシアになど迫ったりしていません。報道で言う「NATOが拡大し、ロシアに迫ってきた」という表現自体、逆にプーチンの思うつぼにはまっていることを自覚すべきです。何故ならそれをもってプーチンは自らの侵略を防衛だと言い張り、正当化しようとしているからです。

  収容所列島から抜け出ようとする国々を武力で脅す、20世紀の亡霊である皇帝プーチン。いったい何が目的なのでしょうか。

  すでにロシアの戦闘部隊のうち75%がウクライナ東部に集結し、毎日の銃撃・砲撃が1千件を超えるなど緊張は高まっています。もともとこの紛争はクリミア侵攻以前から継続していますが、最近のロシア軍の展開はそれを煽る以外の何ものでもないと思います。

  プーチンはウクライナの一部または全体を侵略すれば、世界から制裁を受けることになり経済的に得るものはないはずだし、自国内に大きな紛争地帯を抱え込むことになります。

  では何故こうしたアグレッシブな行動を取るのか。国内をまとめ自身の支持を固めるためなのか、元KGBの血が騒ぐのか、もしくは帝政ロシアの亡霊に魂が乗っ取られているのか。ロシアがすでに大国ではないことをどうしても認めがたいのでしょう。

  GDPで比較すると、ロシアの小国ぶり、そしてシュリンクぶりが明らかになります。   

IMF、21年ドル建て統計を115円で換算

1位 アメリカ   2,400兆円

2位 中国        1,701兆円

3位 日本    580兆円

4位 ドイツ   442兆円

5位 イギリス  312兆円

6位 インド   306兆円

7位 フランス  302兆円

8位 イタリア  217兆円

9位 カナダ   189兆円

10位 韓国    188兆円

11位 ロシア   171兆円

 

 ベストテン外に落ち韓国にも負けています。ちなみにロシアの最高位はクリミア侵攻直前13年の8位で、その時のGDPが最大で263兆円。侵攻以降は制裁により大きな痛手を被って171兆円と3分の2まで縮小しているのが現実で、国民は苦しんでいます。報道規制でそうした事実を国民は知らずにプーチンをやみくもに支持しているのでしょう。

  そしてこの国の将来性も経済面には疑問符が付きます。頼りになる産業が資源採掘以外ほとんどないのです。他国のサイトをハッキングするくらいなら、IT技術を産業発展のために使え、と言いたくなります。軍事と一体化した宇宙産業と軍事力だけのグロテスクなロシアがプーチンに大国幻想を抱かせています。そして国民は政府の宣伝のみを信じるよう仕向けられ、盲目的に支持し従っているのが現状です。

  昨日プーチンがウクライナの2つの州を独立国として承認しました。国際的には認められず、無法者ロシアの一方的承認です。かつてのクリミアもロシアが独立国として承認後に国民投票を行いロシアに加入。抵抗するウクライナ人をロシアへの反逆だとして力で制圧しました。ちなみにクリミアのロシア人比率は58%でした。今回承認したドネツクは38%、ルガンスクは39%で、ロシア人は少数派です。

  東部ウクライナで2匹目のドジョウを取ろうとするプーチンですが、アメリカはもちろんそれを予想して早めに警告を発し続けていました。

  このまま彼を野放しにしておくと、旧ソ連の国々をつぎつぎ制圧していきかねず、危険極まりないのです。

引用終わり

 

  このわずか2日後にロシアのミサイル攻撃と戦車隊による侵攻が始まり、一時はキーウも戦火に包まれ、テレビ塔にミサイルが撃ち込まれる映像が流れ、いつ陥落するかというところに至りました。

  しかし侵攻3日後の夜ゼレンスキー大統領が果敢にもキーウの屋外で数人の側近とともにビデオを撮影し、国民に連帯と抵抗を呼び掛ける動画をフェイスブックに投稿しました。その中で「自分たちはここにいる」と示し、「私たちは全員、自分たちの独立と国を守る」と強調したことで、ウクライナ国民も世界も覚醒しました。

  その後ロシアはウクライナ北部からキーウの近郊まで侵攻し、ブチャで虐殺まで行ったにもかかわらず、ウクライナ軍はロシア軍を撃退し、戦線は東部と南部だけに限定され、1年が経過しました。

  プーチンはきっと2週間でキーウに到達し、ゼレンスキーが国外逃亡すればあっという間に全土を掌握できると踏んでいたに違いない。今回の演説でも大きな戦果を報告するはずが、ウソをつくこともできないほど何も示せない演説でした。

  こうして軍事力のみが肥大化したまま残る小国の子猫プーチンは、もはや核使用の脅ししかできない哀れな存在となりましたとさ。

 おしまい  

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