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外資よどうもありがとう

2019年04月09日 | ゴルフ

 3月に私の手元に東京地方裁判所から直々に封書が届きました。スワ裁判所から呼び出しか、と驚いて内容を確認するとそうではなく、タイトルは「再生手続き開始通知書」で差出人は東京地方裁判所書記官でした。内容は、

1.主文  〇〇株式会社(ゴルフ場)に対して再生手続きを開始する

2.再生債権の調査  〇月〇日まで

3.再生債権の届け出期間 〇月〇日まで

4.再生計画案の提出期間 平成31年5月まで

   私は自分がメンバーであるゴルフ場の債権者側だったので、一安心しました。

  私は根っからのゴルフ好きですが、バブル時代の会員権狂騒曲にはいっさいかかわらず、苦々しい思いで眺めていた口です。そしてバブル崩壊後20年を経た10年ほど前に、バブルに感謝しながら現在のコースの会員権を購入しました。昨日4か月ぶりにクラブの月例コンペに参加したのですが、その時の同伴プレーヤーの方々と当然その話題になりました。すると3人のうちお二人はバブルの頃数百万円を払って買ったという話をされていました。そして一時1千万円台の大台に乗った時に、売るどころかほくそ笑んだだけだったとのこと(笑)。

   私が買った会員権の証書には、2015年以降会員権証書と引き換えに150万円お返しします、と記載されています。私の買った値段は5万円ですから、名義書き換え料込み20万円で正会員の権利を手に入れました。裏の名義人を見ると最初に150万円で購入された方の名前が記載されていて、その後私までどなたの手も経ずにいたようです。

   この会員証、金融用語で解説しますと、私は150万円もらえるプット・オプションの権利をたった5万円のプレミアム(オプション料)で手に入れた、となります。しかし私はその権利を行使せず、いまだに保有したままです。何故すぐ権利行使しなかったかといえば、ゴルフ場側に行使を申し出ても「ない袖は振れない」と言われるだけなことを知っていたからで、誰でも決算書を見ればそのことは明らかなのです。

   今回の再生スポンサーは、その関係では名の通っているPGM、パシフィック・ゴルフ・マネージメント社です。もともとアメリカ系の企業再生ファンドであるローンスターが日本のゴルフ場再生ビジネスに参入するために設立した会社で、いままでに139のゴルフ場を所有し運営しています。ローンスターは東京スター銀行も再生したファンドです。そのため私は自分のプレー権はこれで維持できると、安心しました。

   そのファンドの対抗馬は米系投資銀行ゴールドマンサックスが出資したアコーディアゴルフで、現在137か所のゴルフ場と26のゴルフ練習場を運営。日本のゴルフ場数は約2,400ですから、両社で1割強のゴルフ場を運営していることになります。

   一方、日本のゴルフ場が大量倒産しているのはみなさんもうすうすご存知でしょう。その数を以下のニュースでお知らせします。ゴルフ場調査では有名な一季出版の昨年のリリースです。

 引用

一季出版(株)の集計により、バブル崩壊以降から平成29年3月末までに法的整理を申請したゴルフ場企業は773件(前年比21件増)で、既設ゴルフ場数953コース(同17コース増)、建設中・認可未着工48コース(同・同)となり、負債総額は16兆7544億円(同852億円増)となったことが判明した。

 法的整理申請後に完全閉鎖したゴルフ場や2度目の法的整理をしたゴルフ場を除くと実質933コース(前年比14コース増)となる。

引用終わり

  倒産933コースとは全ゴルフ場の4割弱に相当し、外資系ファンドの再生コース数との整合性は不明ですが、多くはそれに含まれていると想像します。PGMとアコーディアは2000年代初めから買収を開始し、底値を拾ったと言われています。いったいその頃日本勢はどうしていたのか。新生銀行や日債銀などの再生と同様、日本勢はバブルの後遺症から再生ビジネスには全く手も足も出ない状態でした。その後落穂ひろいでオリックスやシャトレーゼ、森トラストなどが参入していますが、その時は韓国系などを含め競合が多く価格はすでにリバウンドした後でした。

   私は素晴らしいゴルフ場をたくさん作ってくれたバブルに感謝するとともに、再生してくれた外資系にも大いに感謝します。自分のゴルフ場のみならず、何度もプレーしている素晴らしい多くのゴルフ場を再生してくれたからです。

   そして日本人スキーヤー数がわずか3分の1になってしまったスキー場もしかり。多くのスキー場が閉鎖される中、私の大好きなスキー場に限って外人スキーヤーが多く訪れてくれ、ふもとには外資系のホテルが数多く新規開店し、賑わいを保ってくれています。

 以上

コメント (8)
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