とどまるところを知らないこの暑さ、みなさんはどう過ごされていますか。
何とかしてほしいと思いつつ、私は一人サマータイム導入で凌いでいます。ゴルフでもないのに毎朝5時起床。ストレッチ後5時半から小一時間ほどサイクリングに出かけます。帰りが6時半近くになってもまだ太陽が低いので、日陰だけを走行できるのです。
世田谷の砧公園近くの自宅マンションを出て、二つの川を横切り3つ目の野川沿いのサイクリング・コースを走ります。うちは多摩川の段丘の上にあるため、まず砧公園から出てくる一つ目の小川まで坂を下り、それを上り返すと岡本町。次はわりと大きな仙川までかなりの急坂を下ります。そして次は大蔵の丘に上り返し、その丘を下ると次が野川です。野川に沿ったサイクリング・コースを川上に向かうと、右側に続く成城学園の段丘、国分寺崖線が日陰を作ってくれるので、とても快適な日陰コースを走れます。野川沿いは朝の散歩コースでもあるため、歩行者優先に気を付けながら世田谷トラストのビジター・センターまで行きます。
世田谷トラストは、世田谷区の緑と自然を保つために作られた組織で、活動はボランティアのみなさんがされていて、野川沿いのビジター・センターが拠点になっています。野川は本当に自然が保たれています。川には60・70センチはあるような鯉がたくさん泳ぎ、小魚を目指してシラサギ、アオサギがたくさんいるし、季節によってはカモが渡ってきます。そしてここの目玉はカワセミです。あの光り輝くブルーと茶色のきれいなカワセミが、魚を捕るため水に突撃する様子が毎日見られるのです。それを狙った望遠レンズ付きのカメラをかかえたシニアのマニアが大勢待ち構えています。
私のサイクリング・コースは、河岸段丘の上からスタートし、上り下りを行き帰りで5回繰り返すので相当な登攀力が必要です。東京で一番きつい車が通れる坂として有名なのが、ほかでもないここ岡本町の冨士見坂だそうです。遠くに見える富士山に向かって一直線に降りますが、その勾配は最初から最後まで20%、約10度で、車が通れる道の限界値だそうです。以前はそれを自転車でジグザグもせず直線を一気に上っていたのですが、途中で前輪が浮いてしまうウィリー状態になり危ないので今は止め、そばの斜めに上る道を選んでいます。それでも多分斜度は10数パーセントあると思われます。
多摩川の段丘であった国分寺崖線は、とても不思議な呼び名だと昔から思っていました。何故なら国分寺は多摩川沿いにはないからで、国分寺と多摩川は少なくとも数キロは離れています。世田谷区の資料を読むと、実は大昔の多摩川は現在の神奈川県と東京都の境ではなく、むしろ野川に沿って国分寺方面に流れていたそうで、その時に形作られた河岸段丘が国分寺崖線だそうです。
ついでに流れを変えた多摩川は、面白い地名を東京側と川崎側に残しています。それは例えば国分寺崖線の下流にある等々力(とどろき)です。
等々力渓谷という世田谷区の名所があります。都内の渓谷なんて、とバカにしてはいけません。素晴らしい渓谷なんです。両岸の高さは20mほどあり、うっそうとした木々に覆われ、古墳時代の横穴式古墳も残されています。でもその渓谷をまたぐのは実は環八です。
この等々力という地名、多摩川をはさみ反対の神奈川県川崎市側にもあります。サッカー好きな方なら、川崎フロンターレのホームグラウンド、等々力競技場をご存知でしょう。もともと等々力は広々とした場所の地名だったのですが、多摩川が流れを変えて真ん中を横切るようになったため、東京側と神奈川県側に分断され、同じ地名が2か所に分かれてしまったというわけです。こうした分断は多摩川の両岸にいくつも現存しています。例えば私の実家のあった瀬田や少し川上の宇名根、川下の野毛などの地名です。流れが変わるたびに大洪水があったに違いありません。近くにお住まいの方、要注意です。
さて、一人サマータイムの早朝サイクリングに戻ります。私は三つの川を横切るコースを走るので、21段のクロスバイクのギアを全部使い、足腰もかなり鍛えられます。ゴルフとスキーにはこれがとても効きます。早朝サイクリングの良さは涼しいことと、車との交差、すれ違いがほとんどないことです。自分で作り出す風はかなり涼しくて、常に扇風機の風をまともに受けているのと同じです。風速5mではきかないと思いますが、例えば朝の気温が熱帯夜の25度でも、走っているときの体感温度は20度以下です。早起きは3文の得。一人サマータイム導入のお話でした。最後にこれだけは言っておきたい一言。
「東京オリンピック、8月開催絶対反対!」
IOCはアスリート虐待を一体いつまで続づけるのでしょう。