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トランプは何故支持されつづけるのか 4

2017年12月06日 | トランプのアメリカ

  師走ですね。今年は各地で雪が多いようで、スキーヤーにとっては朗報なのですが、雪国の方々には歓迎されないかもしれません。

   雪だけではなく北風に吹かれて多くの北朝鮮の漁船が漂着し、問題になっています。それに加え米韓軍事演習や北のミサイル落下で日本海がやけに騒がしくなっています。トランプと金正恩によるガキの喧嘩が続いているため、「日本海波高し」の状態は当分続きそうです。

  一方中東では、イスラエルのアメリカ大使館をテルアビブからエルサレムに移すという過激な決定をトランプがしました。本当に実行されるとせっかく平和が保たれていたイスラエルとパエスチナの間で、ふたたび流血の時代が戻ります。トランプは世界の誰もが望まない流血の時代に何故戻そうとするのか。北朝鮮でも同様なことが起こりかねません。

   世界の嫌われ者トランプですが、今回私はさらに過激な彼の対北朝鮮政策を、NHKの番組を参考に取り上げます。彼を100%支持しているのはラストベルトの選挙民だけでなく、わが安倍首相も負けていません。要注意です。

   11月28日に放映されたNHKスペシャル「日米首脳会談の内幕」の内容が非常に興味深いものだったので、ご覧になった方も多いとは思いますが、それをみなさんに私の目で紹介します。内容で私の興味を引いた部分は、何といっても予測不能大統領トランプの考え方の不気味なほどの危険性です。

   番組は、これまでの安倍トランプ会談のすべてを詳細に取材したものと、この番組のために直接安倍首相にインタビューしたものを1時間にまとめていました。首脳会談の中でも対北朝鮮戦略に関して特に取り上げています。トランプ当選直後からこれまでの約1年で、すでに20回あまりにおよぶ電話を含む直接会談が二人の間で行われています。異常なほどの回数ですが、遠距離恋愛の恋人同士のラブコールともいうべきしつこさなのが、気になります。

  番組の冒頭、それぞれの会談の取材メモの束が映し出されました。それぞれゼムクリップで10数ページにも及ぶもので、安倍首相とトランプ大統領の会話の逐一がメモにされているようです。録音などから起こされたものが含まれているようですので、内閣府の協力なしでは作れない内容です。それぞれのメモは相当突っ込んだもので、初公開される内容が多く含まれていました。

   取材メモが重ねて並べられた画面が、わずか数秒ですが大きく映し出されました。1番上にあったのが最初の会談の16年11月17日、トランプ当選直後、安倍首相がトランプタワーで会った時の会談メモです。私はビデオを見終わった後にもう一度メモの束が映っていた場面に戻し動画を止めてみると、会談メモの1ページ目が鮮やかに見えました。最近のテレビの解像度は恐ろしいですね。まずそれから紹介します。その他のメモは会談の日付とタイトルだけしか見えませんでした。

 引用

タイトル;16年1月28日 ニューヨーク 安倍―トランプ 非公式会談 取材メモ

 トランプ、イバンカ、クシュナー、フリン(2月に辞職し、現在特別検察官が訴追中) 

 90分(通訳を交えるため実質は半分くらいでしょう)

出迎え あいさつ 

安倍;アラベラのPPAPを見た、かわいい

イバンカ:うれしい、5歳になりました

トランプ;ゴルフのハンディキャップはいくつか?

安倍;あなたのベストスコアは?

お互いのプレゼント、ゴルフウェアーとクラブを交換

主にトランプが質問し、安倍が答えた

引用終わり

 ここまでが1ページ目に書かれていた内容です。このような調子で、会話の逐一がメモにされていました。これまで公開されなかった内容が、実に詳細に書かれていて驚きました。


 2月10日 第1回目の日米首脳公式会談

   ここでNHKがこれまでの報道されなかったスクープを流しました。それがトランプの本質が見える部分です。フロリダのトランプの別荘での夕食会中に北朝鮮がミサイルを発射。直後に二人を日米の側近が取り囲み、メモを回しながら話をしていました。

   メモは夕食後に出される共同声明の内容に関してで、ミサイル発射を受け急きょ内容を変更しようとしていたのかもしれません。NHKによれば共同声明でトランプは「軍事攻撃に踏み込む」という文言を入れようとしていたとのこと。日本側が彼の考えを初めて知った瞬間だったと説明がありました。

   実際にはこの初会談後、通常出される共同声明は出されませんでした。つまりメモの段階で急きょ廃棄されたのです。共同声明を出さないこと自体、かなり異常な事態です。なにせ第一回目の公式会談なのですから。理由はトランプの過激な考え方をそのまま出せば北朝鮮を刺激しすぎ、偶発的な事態を招きかねないと日本側が判断したためとのこと。

 つづく

コメント (4)
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