先週のアメリカの雇用統計やアベノミクスの信認に反応して、株価がずいぶんと戻していますね。為替も円安に大きく振れました。大きな動きがあるとつい私なりの解説をしたくなります。シリーズをそっちのけで、今回もニュースコメントですみません。
アメリカの雇用統計はどのエコノミストも言っているように、「月々の数字に反応するのではなく、冷静にトレンドを見るべきだ」と思います。攻防ラインは昨年までの20万人の攻防から確実に低下していて、15万人程度の攻防になっています。5月と6月を足して2で割れば、そのあたりの数字になります。それでもアメリカの株価はS&P500が史上最高値を更新してしまいました。でもダウ30種平均はそこまで強くない。その理由はアップルです。
なんだかんださんへのコメントでも書きましたが、アップルはもう過去の人になりつつあります。私がアップルを嫌いなわけではありません。むしろ好きです。初めて買ったPCはマックだし、iPODで音楽を聞き、iPADは旅行の必携品として愛用しています。ただ私はiPHONEは持っていません。というより、スマホはいらないので持ちません。月々の払いが高すぎるからで、安くなれば使ってやってもいいと思っています(笑)。必要なときは家内や友人を頼れば済むし、ガラケイでも済むことが多い、というイージーな考えです。もっと言えば、ゲームはやらないし、本は本で読みたい。歩きスマホや自転車スマホが私に向かってくるとそれだけで危険を感じ腹が立つ、典型的オヤジだからです(笑)。
さて、円が3円ばかり安くなりました。でもこの2・3日、「相対的危険通貨とみなされる円が売られました」とは誰も言いません(笑)。きっとまたなにかのきっかけで円が買われると、例の得意顔の解説、「相対的安全通貨とみなされる円が買われました」とコメントされるのでしょう(爆)。
株価が戻して円が売られているのか、円が売られて株価が戻しているのか、ほぼ同時進行なので統計的に因果関係を割り出すことは困難のようです。そうした状況を説明する統計用語は「両者の相関関係は強い」です。相関係数という統計指標も計算可能です。
現在の発達した解析ツールをもってすれば、ほんの数秒の時差であっても、どちらかが原因でどちらかが結果かを解析するのは可能です。よく出てくる景気の「先行指数、遅行指数」という解析方法と同じで、それを秒単位あるいはコンマ秒の単位でやれば、因果関係を推定できます。しかしそれができないほど円と株は因果関係ではなく、相関関係にすぎないというのが現状なのでしょう。ちょっとわかりづらかったら、ごめんなさい。
そして今度の参院選挙の結果は、公示前後の予測調査とほぼ同じで、いわゆる改憲勢力が3分の2をうかがうだろうとの予測が、実際に3分の2に達した、という結果でした。
消費増税の先送りと言うアメダマにまんまと国民がしゃぶりつき、「アベノミクスは信任された」となりました。そして今後は、何度も書いていますが、「改憲に突き進む」ことになります。
もちろんその前にうるさい株やさんちのエコノミストを黙らせるために、当選御礼おひねりのバラマキがあります。それにより焦点を改憲に移しても、株やさんちのエコノミストたちは批判をしなくなります。実に巧妙なやりかたで2匹目のどじょうすくいがはじまります。羊頭を懸けて狗肉を売る、増税先送りを掲げて改憲を売るのがいつもの手口です。
アベチャンは昨年末以来、消費増税延期のための状況証拠作りに、世界の権威あるエコノミスト連中を使ってきました。彼は今回もすでにヘリコプター・ベンをタイミングをよく来日させています。ベンは昨日クロちゃんと会い、今日はアベチャンと会うそうです。これでバラマキも正当化できるハズです。足りなければさらにペリコプター派の追加投入があるでしょう。
ヘリコプター・ベンとは、前FRB議長ベン・バーナンキ氏のことで、彼はFRB議長をやるよりずっと以前から、「景気刺激が必要なら、ヘリコプターから撒くほどにマネーをばらまけばよい」と言っていました。特に日銀に対しては2000年頃から強硬にそれを主張し、論文まで書いているのです。そのためまたの名をヘリコプター・ベンと呼ばれるようになったのです。アベチャンはバーナンキの前で、「ぼくちゃんをヘリコプター・アベチャンと呼んで」と言ってうけを狙いそうです(笑)。
すでにベンの弟子のヘリコプター・クロちゃんがバラマキを目指したバズーカ1号発射から3年が経ちました。しかし世の中におカネがあふれるなんてことは全くありません。もしヘリコプター・ベンが会見をしたら、記者は「ヘリコプターから撒いたおカネはどこに行ったの?」と元祖を糾すべきです。3年もやってダメなものは、4年やっても5年やってもダメ。後遺症がひどくなるだけです。
そしてすでに報道され始めたように、アベチャンは経済対策の名の元、補正予算を10兆円、あるいはブルームバーグあたりの報道では20兆円も投入を考えるとのこと。金融政策がダメとなると、20年以上にわたりダメだった財政投入です。20年ダメだった財政投入は、30年やっても絶対にダメ。
年度予算上のバラマキはすでに赤字分の40兆円にも達していることを、繰り返しみなさんにお伝えしています。しかし世間ではエコノミストやマスコミも含め、予算上の40兆円のバラマキは忘れ去り、追加部分のみに話題が集中して、累積債務の積み上がりを気にする気配は全くありません。
ポピュリズムの支配する恐ろしい世界がイギリスだけでなく、日本でも迫りつつあります。昨日のミネソタ州の警官による黒人男性射殺事件が、助手席の女性同乗者による実況中継から、あっという間に世界に拡散する時代です。ポピュリズムの拡散などいとも簡単に行われそうです。
あの恐ろしいISISでさえ、自爆テロリストを簡単に世界中で集めることができ、実際に自爆テロが頻発しています。自分が死ぬという究極の恐ろしいことでも、ポピュリズムは打ち負かしてしまう。
今後の政治家の資質とは、ポピュリストとしてアメやおカネを撒き散らし、いかに人気取りをするかだけになってしまいました。私のブログはそうしたポピュリズムとは完全に一線を画し、ブレることなく、、物事の本質を数字で見ぬきながらしっかりと運営していくつもりです。