アメリカ中間選挙の結果について、マスコミの選挙前コンセンサスは、
・上院は改選議席数の少ない共和党の勝利が確実視される
・下院は民主党有利だったが、終盤ではトランプ大統領のなりふり構わぬ応援で共和党が追い上げ、予断を許さない
という予想でした。そして結果はみなさんご存知のように上院は共和党が多数派を維持、下院は民主党が多数派を奪還しています。
こうした結果が出ましたが、私の最初のコメントはタイトルにもありますように、
「でかしたトランプ」です。その理由は、これまでの歴史では大統領の1期目の中間選挙では与党が敗北して当たり前で、にもかかわらず上院で共和党が多数派を維持したからです。下院では負け結果は5分5分ですから、どちらの勝利とは言えませんが、私なりに今回の選挙を総括してみます。
1. 世論調査は正しかった
大統領選挙で「世論調査はあてにならない」というレッテルが貼られましたが、それを覆しています。国会選挙はウィナー・テイク・オールの大統領選のシステムとは違います。大統領選では300万票も多く得たクリントンが負け、少数票しか得られなかったトランプが勝ちました。特に下院議員の選挙は大統領の支持率や政党支持率が、当選者数により反映されます。
ABCによる出口調査での大統領支持率は41%。不支持率は55%でした。そして「アメリカは正しい方向に向かっているかの質問に対する回答では、正しい方向だ41%、正しくないが56%でした。選挙結果もそのとおりです。
2. トランプはよくやったが、オバマもよくやった
トランプのことはすでに記した通りで、中間選挙での勝利はレアケースです。一方、トランプの攻勢に対してすでに現職を退いて2年を経た元大統領のオバマ氏の応援はそれなりに影響力を持ったと思います。
3. キーワードはやはり「女性」だった
私は選挙の始まるよりだいぶ以前に、今回の選挙を左右するキーワードは「女性」だと申し上げていましたが、候補者にも当選者にも女性の台頭がとても目立ちました。あれだけトランプにバカにされていた女性が、やっと目覚めたということですが、遅い!大統領選で何故目覚めなかったのか、逆に糾弾しておきます。そのことはヒスパニックをはじめとする非白人の有権者たちも同じです。
さて、この結果を受けて、今後の世界はどうなるのか。これからのことをもっともよく言い当てているのは、下院民主党ナンバー1の院内総務ナンシー・ペロシ氏の次の言葉です。
「明日、アメリカの新しい1日が始まる!」
そのとおりでしょう。上下両院を押さえていた大統領にとって、自由にならない下院を抱えるのは、あってはならない世界です。もちろん下院では弾劾手続きが開始されるでしょうし、財政問題を無視した減税2など、国会を通らなくなります。
大統領が絶大な権力を握っているのは事実です。特にトランプがカードを切りまくった大統領令でできる範囲のことは。しかし、政策にとって大事なのは予算の裏付けですが、予算は国会が握っていて、下院はことごとくトランプの切り札を破り捨てるでしょう。また予算だけでなく、アメリカは議員立法の国ですから、大統領は法律を作れません。
ということで、明日からのアメリカのことを私なりに一言で言うと、
「トランプは破壊できても、何も作れない」。国境の壁もだし、新たな国際的合意事項も国会承認なくして批准なしなのです。そしていよいよレームダックの始まりだ、とも言っておきましょう。
これぞまさしく「ドナルド・ダックのはじまりはじまりー」です(笑)。
ゴメンなさい、ディズニー・ファンのみなさん。
最後の記載、国際的な合意事項、条約などの承認は、上院で可能でした。
訂正いたします。
2016年の大統領選挙は民主党候補が
ヒラリーじゃなければ勝てた可能性が高かったのではと思ってます
ヒラリーもトランプほどではなくても好き嫌いが分かれる人物でしたし
またクリントン家から大統領が出るというイメージもマイナスでした
2020年の大統領選挙ではフロリダとペンシルバニアの2州を民主党が勝てるかでしょう
両州合わせて大統領選挙人の数が49人になりここの敗北がヒラリー落選の決定打になりました
世論調査が当たらないという批評も両州の世論調査が誤差の範囲でしかなかったのが
マスコミはヒラリー有利と決めつけたのが一因だったように思います
確か大統領戦直前のフロリダ・ペンシルバニアの世論調査は
若干ヒラリー有利程度で大差にはなってなかったと記憶しています
両州が取れるようなら他のスイングステートも勝てる可能性が高いのでは?