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中国の恐ろしさ

2020年02月10日 | 中国の恐ろしさ

   新型コロナウィルスの拡散が止まりません。専門家の意見はけっこう割れていますね。インフルエンザを例にとり「感染者数や死亡者数は大したことない」という意見と、「まだわからないウィルスのため、用心はおこたりなく」という意見です。

  我々はどちらの意見を信ずるべきでしょう。こんな場合私は当然安全性の高い選択肢を選びます。「君子危うきに近寄らず」。手洗いを励行し人混みは避け、やむおえない場合はマスクをする。と書くと神経質そうですが、実はそうでもなく、適当にずぼらで手抜きです(笑)。

  今回の中国の対応ですが、初期対応はいつもの「隠ぺい」でした。それどころかもっとひどい「情報のもみ消しでした」。その証拠に最初に危険性を指摘した中国の医師を、「社会の秩序を著しく乱す」「虚偽の発言をした」と警告し、もうしませんの誓約書を書かせました。今月のBBCニュースを引用します。

引用

中国・湖北省武漢から発生した新型コロナウィルスをめぐり、アウトブレイク(大流行)の可能性についていち早く警鐘を鳴らしていた医師が、7日未明に死亡した。入院先の病院が公表した。医師は先月、新型ウイルスに感染し治療を受けていた。

李医師は昨年12月、2003年の世界的エピデミック(伝染病)を引き起こしたSARSに似た、とあるウィルスによる7つの症例に気が付いた。

12月30日、李医師はチャットグループに入っている同僚の複数医師に対し、アウトブレイクが起きていると警告するメッセージを送信。防護服を着用して感染を防ぐようアドバイスした。しかしその後、警察から「虚偽の発言」をやめるよう指示された。それから4日後、中国公安省の職員が李医師を訪ね、書簡に署名するよう求めた。その書簡は、李医師を「社会の秩序を著しく乱す」「虚偽の発言をした」として告発する内容だった。

引用終わり

  こうした強引なもみ消し工作がなければ、ここまでひどい拡散は防げたかもしれません。

  そしてもうひとつ指摘しなくてはならないことは、WHO世界保健機構の中国寄り政策です。WHOは1月30日に緊急事態を世界に宣言しましたが、その1週間前の緊急ミーティングでは宣言を見送り、その間に感染者数は10倍になってしまいました。その後もWHOの事務局長は、中国はよくやっていると繰り返しています。

  現在のWHOの事務局長テドロス氏はエチオピア出身ですが、エチオピアは一帯一路を掲げる中国に篭絡された国になっています。それが今回の対策の遅れを招いた可能性があります。

  私は昨年5月にファーウェイの危険性を指摘した投稿で、エチオピアの首都に置かれているOAUアフリカ統一機構のシステムから、機密情報が中国本土に流れていて、そのシステムがファーウェイ製品だということを書いています。ファーウェイの危険性を明らかにした証拠です。中国によるアフリカ篭絡の実態は次の18年11月のAFP通信の記事をご覧ください。

引用

中国の投資先の1位はナイジェリアで492億ドル(約5兆5500億円)、2位がアンゴラの245億ドル(約2兆7600億円)、3位がエチオピアで236億ドル(約2兆6600億円)だった。事業別では、道路、鉄道、橋などの交通インフラとエネルギー関連がそれぞれ全体の3分の1を占め、鉱業がそれに続いた。

 中国の投資は現在、アフリカの債務全体の約5分の1を占めており、国際通貨基金(IMF)などは、アフリカ諸国の返済能力に懸念を示している。

引用終わり

  これがエチオピアが中国に対しモノが言えなくなった理由です。

  では返済できないとどうなるか。そのよい例がスリランカです。スリランカはやはり一帯一路に組み込まれ、甘い言葉に乗せられて投資を受け入れたのですが、予定通りの返済ができず、そのカタに港湾施設を乗っ取られてしまいました。18年5月の産経ニュースを引用します。

引用

スリランカ国営企業と中国国有企業は昨年7月、スリランカ側が中国側に港の管理会社の株式の70%を99年間譲渡することで合意した。11億2千万ドル(約1240億円)の取引の合意文書に調印し港は先月、中国側に渡っていた。

 そもそも、港は親中派のラジャパクサ前政権時代に着工されたが、約13億ドルとされる建設費の大半は中国からの融資だ。しかし、最高6.3%にも上る高金利は財政が苦しいスリランカにとって「悪夢」とされ、リースの形で中国に引き渡されることとなった。

引用終わり

  一帯一路によるインフラ整備はまことに結構なのですが、甘い罠はアジアからアフリカの途上国全体に広がり、高金利で搾り取られただけでなく工事中は技術者派遣の名のもとに非熟練労働者もしっかり輸出し、甘い汁を吸っています。もともと返済能力のないインフラへの投資は、最後は中国に乗っ取られる運命にあります。

  この結果、中国の国土は実質植民地を加えて拡大の一途をたどっています。我々はWHOも中国に篭絡され汚染されていることを念頭に置き、今後は新型コロナウィルスに対し、早め早めの対策を取るべきだと思います。

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2 コメント

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Unknown (tama)
2020-02-12 16:05:32
初めてコメントさせていただきます。
いつも参考にさせていただいております。
私は現在20代後半のワーキングマザーです。
子どもが生まれ、教育資金を・・と考えていたところ、定番の学資保険は利回り
(学資保険だと返戻率)も悪く保険で運用するのもどうなのかなと感じ投資信託も含め色々検討していました。
子供の教育資金が目的なので元本割れしないで利回りのよい商品と考えていたと
ころ林先生のブログと著書に出会い(キンドルで購入しました!)
とても参考になり、債券投資をしようと思い、証券口座の開設をしました。

必要になるのが16年後くらいなので
償還まで10年くらいのストリップス債を購入して、ドルで受け取り為替のタイミングを見て円に戻したら為替差益も多少得られるのではと考えています。

私自身、国内株式投資を余剰資金で行っているのですが、株式は損してもいいや~
という感覚なので出来るのですが、今回は子どものことですし絶対元本割れをしたくないので未だに飛び込めていない状況です。
今回の国債専用に新に別口座を開設しましたがネットで取引が出来ないようで仕事しながら取引出来るか不安・債権の購入が初めてで不安、更にドルなので不安
と不安3連続です。

今後やろうと思っているのが
1.テストで、少額を償還が1年後くらいのストリップス債(税引き前利回り)1.147%を購入してみて、不安な点を解消
2.1で問題なかったら年50万~100万ずつくらいで分散して購入(トータル400万くらい)
で考えています。

しかし、最近10年債権も利回りが1.6くらいで1年前より1%近く落ちており、購入のタイミングを計るのが難しいです。
長々コメントして申し訳ありません、何が言いたいかと言いますと、色々初めてのことで不安な上に、投資をしている知人でもアメリカ国債に手を出
している人が一人もいないのでこれで大丈夫なのか・・と漠然とした不安があり、手を出せていない状況です。

住宅購入も考えているので、それが落ち着いたら老後資金も債権で少しずつ運用できたらと考えています。
購入のタイミングと私の考え方で問題ないかアドバイスをいただければと思いコメントさせていただきました。

新しい著書の出版楽しみにしております!
返信する
tamaさんへ (林 敬一)
2020-02-14 10:11:24
お待たせしました。

そして初めまして。私のブログと著書をお読みいただき、ありがとうございます。

シングルマザーのお悩み、よくわかります。
というのも私がアドバイスを差し上げている方で、同様な方がいらっしゃるからです。
その方に比べるとtamaさんのケースはかなり有利な状況にあります。
その一番大きな理由は年齢です。その方は40台になられていて、しかも出産は高齢出産だったため、時間的に余裕がないからです。

Tamaさんはお若いのによく将来のことを考えておいでですね。しかも数ある中で債券投資という安全な投資を見つけたとのことですが、投資初心者の方でそこに気づかれる方はほとんどいないと思います。

Tamaさんの目的は、先日のぽんきちさんの目的とかなり似ています。つまり将来のある時期に必ずある程度大きな金額のニーズがあり、それにむけて米国債投資をする、という部分です。私からのアドバイスは、基本的にぽんきちさんへのアドバイスと同じです。大事な400万円の教育資金は一時点の償還に集中するのは避けましょう。為替への投機になってしまうからです。

ではtamaさんの書かれていた次の投資方針を見てみましょう。まずテストから。

>1.テストで、少額を償還が1年後くらいのストリップス債(税引き前利回り)1.147%を購入してみて、不安な点を解消
2.1で問題なかったら年50万~100万ずつくらいで分散して購入(トータル400万くらい)
で考えています。

テストで買う少額の短期債についてですが、この半年ほどドル円レートは膠着状態が続いていて日々の値幅は小さいのですが、相場がちょっと荒れ気味なると一日で1円以上、つまり短期債1年分の金利が飛んでしまうような動きはよくあることです。

従って、そのれへの投資で不安を解消する可能性はあっても、勝率は5分5分でしかありません。

ですので、
>今回は子どものことですし絶対元本割れをしたくない

であればなおさら、お試しであってもあまりお勧めできません。

そして大事な内容は最後の部分です。

>最近10年債券も利回りが1.6くらいで1年前より1%近く落ちており、購入のタイミングを計るのが難しいです。

そのとおりですね。
10年物米国債の金利が1.6%台では、リスクをとっても報われない可能性は大いにあります。ただし先日のぽんきちさんへの返答で簡単化した計算式で示したように、16年くらいの金利を1.7%と仮定すると、16年では単利でも累積27%になりますので、複利のゼロクーポン債であれば30の円高には耐えられます。

さらにぽんきちさんに示したアイデアは、より長期の債券に投資することでした。例えば金利が2%を超える30年債です。償還時期はなるべく長い超長期債にしましょう。金利も高くなります。教育資金は奨学金やローンもありえると思いますので、入学時に損失が出ているときは売却を避け、もし利が乗って売却可能であれば売却というフレキシブルな運用がお勧めです。

この先の金利動向を予測するのはとても難しいので、より高い金利を求めるなら一度に投資するのではなく、金利が高くなったと思われるときに分散して投資をする。それで満額の投資に至らなくとも、株式投資のように大きな損失可能性におびえる必要もないし、すくなくとも日本の将来リスクから若干でも逃げることはできます。

以上が私からのアドバイスです。参考になるといいのですが。
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