予想通り、そしてシナリオ通り、歌舞伎ワシントン公演が大団円の終演を迎えました。それでも飽きずに報道は「いまだ議会承認が残っており、安心するのは早い」と言い続けています。
こんなにもエンディングが明らかな演目なのに、この一か月みんな一体なにを心配し騒いでていたのでしょう(笑)。
一方格付け会社フィッチ・レーティングスが、米国債の将来見通しを下方修正しました。フィッチ・レーティングスとは、米国債の格付けをトリプルAとしているムーディーズ、AAプラスとしているS&Pに次ぐ有力会社です。格付けの将来見通しは主に3通りあります。
1.安定的 変動を見込まない
2.ポジティブ 上方修正の見込みがある
3.ネガティブ 下方修正の見込みがある
今回の下方修正はトリプルAはそのままに、見通しを1から3へ.つまり安定的からネガティブへの変更です。
この牽制球は的を射ていると思います。要はこの愚かな争いを「いい加減にしろ」という警鐘を鳴らしたのです。
一方あまりニュースにはなっていませんが、IMFも同じようにあきれ果てて、「次からは愚かなことを繰り返さず、債務上限を自動的に拡大せよ」と言っています。
日経ニュースを引用します。
国際通貨基金(IMF)は26日、米国に対して政府債務の上限引き上げを巡る交渉が「米国と世界経済の両方に(危機がシステム全体に波及する)システミックリスクをもたらす可能性がある」と警鐘を鳴らした。今後は予算の承認時に自動的に上限を引き上げる仕組みを設けるべきだと提唱した。
引用終わり
しかし私はIMFの言う自動拡大の仕組み導入を的を射た指摘だとは思いません。何故ならこれでは日本と同じで際限のない債務拡大になってしまうからです。
じゃ、どうすればよいのか。
対処策は実に簡単で、みんなが大騒ぎしなければいい。どうせシナリオ通りの歌舞伎なのですから。
その「みんな」とは、主にエコノミストや債券・株式のアナリスト連中、そしてマスコミです。たとえ瞬間的にデフォルトが起ったとしても、それは格付け機関も認知しているテクニカル・デフォルトであって、将来にわたり利払いや元本支払いができないわけではない、一時的な齟齬だという基本的知識をもって「またか」と言って笑えば済むだけの話なのです(笑)。
新著書も拝読中です
bond TIPS STRIPS債についてご教授いただけないでしょうか。
<やりたいこと>
・ポートフォリオの見直しを進めている。債券への投資比率を高めるために、米国債を探している
<知りたいこと>
・bond TIPS STRIPS債とは何か? 物価連動国債?? bond STRIPS債との違いは何か?
・普段円ベースで資産形成している人がTIPS債なるものを保有することによるメリットとデメリットは何か?
・STRIPS債は償還日に価格100で償還されることは理解しているが、TIPS STRIPS債はどういう値動きになるのか?
償還時点でアメリカの物価(=金利?)が上がっていたらTIPS STRIPS債の価格が変動するのか?
仮に変動するとして、その変動は、日本(円)からみて有利なのか、逆に不利になるのか?
など、訳がわからなくなってきました・・・
<背景>
米国債は日本の証券口座に償還後5万ドル弱保有しており、インタラクティブブローカーズ証券にも口座を持っております。
実はIB証券には、含み損を抱えた株式が100万単位で塩漬けになっております。林さんの米国債投資の話と並行していたのですが、お恥ずかしい状況になっています
わかりやすくて良いと思います!
まだ読み途中ですので引き続き読ませていただきます。
しかし何とも複雑な投資をされていますね。
私からのアドバイスは一つだけ。
「単純な利付債かゼロクーポン債に投資すべき」
そもそもこのブログや著書にもあるとおり、「わけの分からないものには投資をすべきでない」というのが一貫したみなさんへのメッセージであり、私の信条です。
あしからず
ありがとうございます。
1冊目の難しい部分をすべてそぎ落とし、チョウ―簡単な投資の解説にしたことをご理解いただいたようで、うれしいコメントです。
読み終えた感想も是非おねがいします。
忖度なく書かれてすごいと思いました。経済の流れから、ずる賢い金融機関のホンネも出ましたね。
日本財政のみならず、
みんなの大好きなiDeCoやETFも斬りましたね(笑)
私もiDeCoしてますが、再考です。
住宅ローンについてもなるほどと思いました。
米国債だけでなく資産運用のアウトラインにも言及されてますね。
また、なんとなく日本にある嫌米感情も記載されてて思わずうなりましたよ。
証券会社が倒産された場合など面白いトピックもあり、私も調べてみようかと思いました。
いい意味で問題作です!
この本は先生の最初の書籍から10年数後の総集編となっており、その期間に収集された知識と経験が凝縮されていると感じました。
読了後、私はこの知識を次の世代に引き継ぐつもりで、先生の本を私の子供たちが大きくなったらすすめるつもりです。
遅ればせながらではありますが、先生の時間と労力をかけてこの書籍を書いたことに感謝します。
追伸:先日日経新聞の朝刊に大きく広告が出ていましたね。債務上限問題が事実上妥結した翌日だったと記憶しております。幻冬舎も考えているんでなと思いました。
将来、是非お子さんたちにすすめてください。
日経新聞6月3日の朝刊2面、全5段とは大きな宣伝スペースでしたね。
おっしゃる通り、幻冬舎は実にうまいタイミングでうまいキャッチコピーを付けてくれました。
先週、編集者の方々と打ち上げをしたのですが、昨年には出版されていたはずが遅れに遅れたこと、結果としては金利上昇の良いタイミングとなり、しかもデフォルト騒ぎを追い風とすることができ、一同喜んでいました。(笑)