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オレ様独裁者たちのたそがれ

2022年11月10日 | ニュース・コメント

  これまで私が批判してきた「オレ様独裁者」とは、トランプ、プーチン、習近平、小粒ながらプラジルのボルソナロ、フィリピンのドゥテルテなどで、いずれも独善的論理をもって普遍的人権や法律を無視するような政治家です。

 

  トランプが大統領になったころから彼らは独裁的政治があたかも世界的潮流であるがごとくのさばり続けました。しかし2年前にはまずトランプが脱落、今回の選挙でも応援による存在感は示しながらも「ビッグ・レッド・ウェーブ」を巻き起こすことはできず、退潮間違いなし。今年になってドゥテルテが交代、ボルソナロ敗退、プーチンも敗戦に向かっています。

  習近平は10月の共産党大会が彼の絶頂で、今後は成長を支えてきた不動産市場がクラッシュに近い状況になり、間違いなく中国経済の成長が鈍化し、習近平が断末魔を迎えるに違いない。中国はかつて日本がたどったバブルのピークから長期停滞への道を着実に追いかけています。日本はまず株式が90年に暴落し、追って91・2年くらいから不動産がクラッシュし始め、その後労働人口が減り始め、総人口減少が追い打ちをかけて今に至りました。それと全く同じ状況が中国にも生まれているのです。高成長時代は終わり、株式市場が低迷し、経済成長と政府の財政を支えていた不動産市場がクラッシュ中です。労働者階級の不満を成長による恩恵で隠していましたが、今後その化けの皮がはげ落ち、労働人口は減少し、総人口も減少。経済成長というニンジンを失えば、独裁者も人民への抑圧を続けられなくなるに違いない。

 

  こうしたオレ様独裁者に共通するのは、人の話に耳を傾けず独走を始める。民主主義の根幹である報道を制限し、フェイクニュースと決めつける。それが道を誤る第一歩です。

 

  ついでに言えば、日本のオレ様独裁者であり、オールマイティー幻想を抱いている日銀総裁黒田氏の来年3月の交代もあげておきましょう。日銀が金利を完全にコントロールし、財務省がドル円をコントロールできるとみる愚かな政策は長続きしません。亡くなった方を悪く言うのははばかられることではありますが、安倍氏も8年に渡る官邸独裁的政権運営を世界のオレ様たちと同時期に続けていました。

  そしてこうしたオレ様たちはみんな仲良しのお友達でした。

  私はこうしたオレ様独裁者が何故世界のあちこちで同時発生するのか、またそれが同時的にたそがれを迎えるのかの理由はわかりません。しかし同様なことは過去にもありました。日独伊の独裁者たちによる第2次大戦の勃発と独裁者の敗退を見ると、共通項のあることを感じざるをえません。早くオレ様独裁者がいなくなり、世界に民主主義が戻ることを祈ります。

   以上、オレ様独裁者たちのたそがれでした。

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