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芸術の秋だ、 もっくんどうもありがとう!

2022年10月08日 | アートエッセイ

  先日NHKのBS番組で、とても素晴らしい番組を見ました。

  私の参加しているサイバーサロンのメンバーでもある本木雅弘さんが主人公となって日本画・琳派の世界を案内し、実演するというアートの番組です。

番組名;「アート疾走 X 本木雅弘」、

副題; 金と黒の本木雅弘

 

  ただ古い絵画を見せて、それを論評するだけの番組ではなく、琳派を深く勉強できたし、それに感化されて絵を描いたり、踊りを振りつけたりするもっくんの技も見ることができました。

  琳派の代表作として取り上げられていた尾形光琳の紅白梅図屏風や、MOA美術館にある尾形光琳屋敷の金屏風なども専門家の解説で見ることができました。MOAは何度も行っているのに、あの屋敷には行ったことがありませんでした。

  そして一番驚いたのは、もっくんの毛筆の技です。家内が、もっくんに子供ができた時、命名書きを実際に毛筆で書いたのを見ていて、「すごく達筆で驚いた」と言っていましたが、それから年月を経て一層磨きがかかったにちがいありません。

  番組では、もっくんが画家の教えに従い、墨のたらし込み画法で描いた絵の上に毛筆で文を書いていましたが、その筆使いの見事さには本当に驚きました。とてもシロウト技ではありませんね。まるで俵屋宗達の鶴の群れの絵の上に本阿弥光悦が和歌を毛筆で書いた有名な合作のように思えました。

 

  そしてもう一つ。私が嬉しかったのは、久々に大好きな日本画家である鴻池朋子氏が出演し、もっくんと彼女の作品を見ながら対談していた部分です。

  彼女は、現役の日本画家としては3本指に入る私のお気に入りです。彼女がもっくんに投げかけた問いは、「琳派の画家が一枚のキャンバスとも言うべき用紙に絵を描くのではなく、真ん中が割れてしまっている2枚ものの屏風や、枠が邪魔する襖になぜ描くのか」という疑問で、彼女がその理由を説明していました。

  彼女は真ん中が割れている屏風の割れ目にこだわっていました。それは邪魔者ではなく、屏風に作られている内部の異世界への入口だというのです。それを聞いて私が思い出したのは2009年にオペラシティーで行われた彼女の展覧会です。

  私がこれまでに見た多くの展覧会で、勝手ながら最も高い評価をしている展覧会で「インタートラベラー 神話と遊ぶ人」と名付けられたストーリー性を持った展覧会です。

 

  一般的にある特定アーティストの展覧会といえば、その作家の作品を時系列に並べて展示するものがほとんどです。しかしこの展覧会はそうしたものとは全く異なり、彼女の持つ世界観が会場全体を使って表されていて、一方通行の会場を進むにつれてどんどん引き込まれていくストーリー展示でした。

 初めに巨大な襖絵があり、その襖絵が開かれていて、その入口を入るというところから始まり、さまざまな作品を見て歩くうちに、どんどん彼女の世界に引きずり込まれ、最後には真っ暗な地球の核にまで到達するという展開が待っていました。その地球の核にあったのは、怒った顔をした巨大な金属でできた子供の頭で、アース・ベイビーと名付けられていました。

 今を去る13年も前の展覧会ですが、ネットで検索してみるとその一端を見ることのできるサイトがありましたので、URLを貼っておきます。

https://www.operacity.jp/ag/exh108/

 

  ついつい鴻池朋子の話に逸れてしまいましたが、今一度もっくんに戻します。

  今回の番組構成は実に秀逸で、単なる芸術談義の域を超え、もっくんは絵画に合わせたダンスを振付け自ら踊り、絵画の技法を学びながら実際に描き、さらにお得意であろう書をその絵の上に書いて見せる。彼の素晴らしいマルチタレントぶりを存分に見ることができ、大満足の一時間でした。

  芸術の秋にふさわしい番組でした。

もっくん、どうもありがとうございました!

 

 

コメント (1)
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