先週金曜日に私は日本経営合理化協会さんで講演を行いました。準備などでしばらくブログに投稿ができずすみません。このところのドル高と、アメリカ国債の金利が上昇したことで、10年ぶりに私にお呼びがかかったのでしょう(笑)。協会のサイトには、以下のような私のページがあり、過去の分を含め講演の音声CDなどが販売されています。
https://www.jmca.jp/prod/teacher/1734
今回の講演は協会のメンバーの方向け、かつ3時間に及ぶ長丁場でしたので、著作権のこともありそのままお伝えすることはできませんが、かいつまんで要点をみなさんにもお伝えしたいと思います。コロナ禍でもあり協会のホールに直接いらした少数の方とライブのオンライン配信をご覧になる方へ、ハイブリッド方式で行われました。
その1.日本政府の財政問題
私の話のポイントは、みなさんがほとんどご存じない政府予算の実態とそのファイナンスについてです。みなさんも毎年編成される政府の予算案はある程度ご存知でしょう。また先週決まった補正予算も30兆円にもなったことくらいはニュースで聞かれていると思います。これまでも補正予算は毎年作られてきました。
政府予算をおよその平均値でみると、歳出100兆円、税収などの歳入60兆円、赤字40兆円=新規国債発行額です。しかしこれだけ見ていては、本質を見誤ります。実際の決算では歳出額は毎年とんでもなく予算をオーバーしているのです。その結果国債発行額は21年度には236兆円にもなったことをご存知の方はほぼいらっしゃらないでしょう。
それは報道も同じで、当初予算と秋にプラスされる補正予算だけで、決算時には大幅な予算オーバーになっています。当初予算はニュースになっても、それ以外は報道されないか、政府発表もローキーのため目に留まることはありません。それにより赤字額も平均の40兆円が実際にはその2倍近い80兆円だと知る方は皆無に近いと思います。いいですか、歳入が60兆円なのに歳出は140兆円ですよ!
いつも報道は予算だけですが、それはあまり意味がありません。どうぞ予算ではなく、結果の決算数字をご覧ください。
報道はまた借換債が議論に入っていないことがほとんどですが、一部の方は問題なしと考えているようです。何故なら「それによって国債発行残高が増えることはない」という理由からです。毎年の借換債は100兆円から140兆円にものぼります。それが問題ないとは?
国債の残高維持こそ、将来日銀が破綻する端緒になりうる大問題ですが、それはまた次回解説します。
ほとんどの方は予算しかご存じないと思いますが、数字ヲタクの私の目はごまかせません。会社も予算ではなく結果がすべて。真実は、財務省のサイトに行けばすぐ見ることができます。財務省のサイトでは「年度の予算」ページもありますが、目に留まることのないようにひっそりと(笑)「年度決算」のページがありますし、実際の国債発行実績もあります。
ではその決算数値などを見てみましょう。以下のようにとんでもなく予算を超過し、国債発行も莫大な数字になっています。
当初予算 決算 国債発行額 うち借換債
20年度 102兆円 147兆 257兆 108兆
21年度 106兆円 143兆 236兆 147兆
22年度 107兆円 137兆(見込)245兆(見込)
もちろんこのところ3年間の大きな予算超過はコロナ対策の影響が大ですが、コロナの無かった平年の補正予算も巨額です。22年度は当初予算にプラスし、先週成立した30兆円の補正予算を私が単純に追加しました。
なんというひどい予算超過でしょう。会社であれば社長は株主からすぐ首にされます(笑)。この真実を知らずして、日本財政を語るなかれ。
今回はここまでです。次回は日銀の本当の姿をお目にかけます。