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ロビンフッダーよ、図に乗るなかれ

2021年02月02日 | 株式市場

  前回アメリカの株式市場で巻き起こっているロビンフッダーの動きについて書きましたが、追加で一言。

  今回の成功に味をしめ、彼らが新たなターゲットとして銀相場に目を付けたというニュースが流れ、銀相場と銀鉱山株が上昇しています。私は、彼らは今回は失敗すると見ています。その理由は、彼らは資産運用で最も重要な要素である「流動性」を無視しているからです。ゲームストップ株を上昇させた要因は彼らの力だけでなく、小規模企業株の流動性の低さにあります。   

  もともと株数の少ない、つまり流動性のない銘柄に大量の買いをいれれば暴騰するのは当たり前。空売りをしていたヘッジファンドも、プロにあるまじきポジションの取り方をしていました。空売りは大型株を対象にしないと痛い目に遭う。相場師の常識です。例えば株数の多いアップル株ではそう簡単に価格を持ち上げることなどできませんし、売り崩すこともできません。

  銀は金ほどではありませんが、流動性は十分です。現物も先物もオプションも十二分に流動性を持つため、簡単に大幅値上がりを作り出すことなどできません。

 

  かつてそれで大失敗したのが南部アーカンソーの石油王ハント兄弟です。79年に世界中の銀を買い占めると宣言して先物買いに走り、確かに価格は一時5倍と急騰したのですが、出てくるは出てくるは、いくら買っても出てくる売り物に買いが追い付かず、価格は暴落。遂に追証を払いきれずに敗退。大損害だけが残るという結果に終わっています。

  その時には本当かどうか知りませんが、家庭にある銀食器を溶かしてインゴットにして売却したというエピソードまでありましたとさ(笑)。

 

  流動性の大切さとハント兄弟のエピソードを知っているはずのプロの投資家は、きっと冷ややかにロビンフッダーを眺め、天井での空売りチャンスを見極めているに違いないのです。

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