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トランプでアメリカは大丈夫か5 ツイッター映えが生きがいのトランプ大統領

2018年04月13日 | トランプでアメリカは大丈夫か?

    昨日の夕方にアップした記事の内容を一部削除します。削除する部分は以下のカッコ部分です。

「なんとみっともない内閣府ウソツキ2でしょうか。「首相案件と話すことはありえない」が一転、面談したしそう話したとのこと。柳瀬元首相秘書官の告白懺悔、ミエミエのうそがばれましたね。ウソツキ1財務省では死者が出ましたが、今回はその前に降参したようです。』

  夕方の民放のニュースを家内と見ていた時に上記のニュースが流れ、「これは大変なことになったね」と話をしたのですが、その後銅ニュースが流れませんでしたので、削除することにしました。失礼しました。なんだかきつねにつままれたようで不思議です。以下は変更ありません。

  海外ではシリア情勢がきな臭さを増しています。トランプのツイッターでのツブヤキが大きなリスクをまき散らしているからです。彼は次のツブヤキでロシアを煽り、冷戦時代に戻そうとしています。本日のブルームバーグを引用します。

「トランプ氏は米国時間の11日朝、ツイッターで「ロシアはシリアに対するあらゆるミサイルを打ち落とすと公言している。ロシアよ、準備するがいい。新型で素晴らしく、『高性能の』ミサイルが(アメリカ軍から)やって来るからだ。自国民を殺りくし、それを楽しんでいるような化学兵器(を使うシリア)のけだものと仲間になるべきではない!」と述べた。さらに「われわれとロシアの関係は冷戦時代を含め、史上最悪だ。これに道理はない。ロシアは経済への後押しで米国を必要としている」とツイートを続けた。」

( )内は林の補足です。

  トランプの支持率を4割で下支えしている最も大きな要素は何でしょうか。以前も指摘しましたが、私は最大の要素はトランプのツイートの連発が支持率維持に効いていると思っています。維持と言ってももちろん相変わらず不支持が支持を10数ポイント以上上回っていますが、それでも支持率は40%くらいで岩盤に突き当り、決してそれ以下に沈みません。

  「インスタ映え」という言葉があります。若い人たちを中心にインスタでもフェイスブックでも人の気を引き続けることに快感を感じ、魔力にとりつかれている人々がいます。私もフェイスブックでアカウントを持っていますが、フェイスブック上の友人でも、ほぼ毎日写真とともに何らかの記事をアップし、それに「いいね」をしてもらうことを無上の楽しみにしている人たちがいます。そうした人の多くはSNSなどない時代からの目立ちたがりでしたが、SNSという手段を得たことでそれが爆発しているように思われます。しかも注目度を上げるために投稿内容がどんどん過激になっていきます。

  ユーチューバー日本一と言われるHIKAKIN をご存知でしょうか。彼は投稿から収入を得るというインセンティブが働いているため、とにかくユーチューブ上で再生回数を増やすことを至上命題にしていて、投稿内容がどんどん過激になっています。トランプも同じで、ありきたりの投稿ではフォロワーが満足しないため、どんどん過激にならざるを得ません。トランプの場合はHIKAKINよりはるかに必死で、ツイッターが大統領としての命脈を保つ命綱ですから、注目を集める続けるためなら、どんなことでも書いてしまうのです。

   後ほど解説する「ロシアよ準備しろ、ミサイルが飛んでいくぞ」も世界に対するとんでもない挑発ですが、自分の側近たちを辞めさせる時のツイッター辞令も度を超えています。支持者に対し、ニュースメディアよりも早く直接知らせ、「オレ様がキングだ、フェイクニュースのいう事など聞くな」ということを言い続けるのが、彼にとっては毎日快感を得ることのできる最大の楽しみです。それを年に千回も聞かされていれば、フォロワーがトランプだけが信用できる、となってもおかしくありません。

  トランプもフォロワーも完全にツイッター中毒で、そうした中毒患者からもしSNSを奪ったら、狂い死にするに違いありません。それは置いておきますが、トランプは毎日・毎時こうしたネタ探しに奔走し、ツイッター映えする政策を今後も連発するに違いありません。

  かわいそうなのは敵国やトランプの気まぐれに翻弄される同盟国ばかりではありません。一番大変なのは政権内部の人たちです。それでなくともトランプがどんどん首を言い渡して人材不足なのに、その上気まぐれ不規則発言の火消しに追われます。昨日、大統領府の女性報道官もさすがに参って言葉に詰まっていました。というのもこれまでトランプはシリアや北朝鮮問題などで武力行使に出るときに、「オレ様は予告など一切しない」という宣言を繰り返していたのですが、一転しシリア攻撃をツイッターでつぶやいてしまったからです。

  ABCニュースはこれまでの「予告などしない」発言を5通り放映し、なのにツイッターで攻撃を予告したというニュースを流しました。それに沿って大統領府の毎日の記者会見でABCの記者がその矛盾を報道官のサンダースに突いたのです。そると彼女は「いや、大統領は攻撃のスケジュールには言及していないし、すべての選択肢を持っていると常々言っているだろ、その一環だ」とぜんぜん言い訳にもならない答えをし、果ては食い下がる質問者を無視して次の質問に移りました。あの苦虫顔のサンダース女史、毎日々々苦虫を食べて、おなか痛くならないのでしょうか(笑)。

 

  ではトランプのツイッターのどこがいけないのでしょうか。衝動的でますます過激になる内容が世界を揺さぶり、株式、為替、石油などの商品市場を揺るがしています。2月の大荒れ相場の後、1か月半もNYダウはトランプ発言の度に大きく揺れています。そのため市場関係者は彼のツブヤキにますます注目せざるを得なくなり、ファンダメンタルズの分析などそっちのけになっています。

  シリア攻撃のツブヤキで原油価格はWTIで67ドル、北海ブレントで70ドル超えになっていて、それが株価の足を引っ張っています。やがてそうした商品相場の値上がりは我々のフトコロを直撃することにもなります。

世界の地政学上のリスクはサイバー上にあり!

震源地はトランプなのです。

  もし、彼のツイッターがシリア攻撃の最中に何者かに乗っ取られ、乗っ取り犯がトランプになりすまし「シリアを防衛しているロシア軍も直接攻撃をするぞ」などとつぶやこうものなら、地中海に展開する米海軍空母打撃群をロシアがあわてて直接攻撃し米ロが戦闘状態になるかもしれません。サイバー上のリスクは、そうしたこともあり得る恐ろしさをはらんでいるので要注意です。

 

コメント (1)
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