ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

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ウソばかりの世の中だから、本物に投資をしよう

2017年03月19日 | 米国債への投資

  この1・2年、世の中がウソであふれているように思いませんか。

  特に国家を動かす側の人間のウソが目に余ります。

   昨年はBREXITキャンペーンで離脱派のボリス・ジョンソンやファラージがイギリスのEUへの拠出金を3倍に水増しするウソをつき、勝利しています。しかも勝ったとたん2人ともに逃げるというまさに公約違反のウソをつきました。

   トランプは選挙中言っていることの75%がウソとデマカセだと統計を取られています。その後も得票数でヒラリーに負けると、ヒラリー票の300万票がウソだとウソをつき(笑)、証拠が出せないので黙った。

   就任演説の聴衆数でオバマにメチャ負けているのに、史上最大だとウソをついた。それを指摘するメディアはウソツキだとウソを言った。大統領顧問の女性、コンウェイは、このウソは「オルタナティブ・ファクトだ」というウソで有名になった(爆)。

  先週私がアメリカにいた時、報道はトランプのウソ一色だった。トランプはウソを指摘されることに全くめげず「オバマがトランプタワーの電話を盗聴した」とウソ言い続け、上下両院の情報委員会が証拠はないと否定、そしてFBIからも証拠がないと完全否定された。

  それでも彼が最もよく使う言葉の一つが、

   BELIEVE  ME ! (爆)

  ジョークを通り越している。いくらウソがバレても支持者、いやトランプ大主教の信者数は減らない。


   日本でも防衛省制服組が証拠を隠し、廃棄したとのウソをついたがバレた。東京都は築地移転問題でウソのつきっぱなしだった。

   前都知事が2人もそれぞれのウソで失職し、来週はまた大本命の元都知事が知らぬ存ぜぬのウソをまき散らしそうだ。ついでに南場智子氏のDNAも、おまとめニュースでウソを2万件もつきまくりだった。

   森本学園問題では財務省や渦中の人間など、いったい何人がどれほどのウソを言っているのか、見当もつかないほどウソのテンコ盛りだ。

   すぐバレるウソを平気でつくのがサイコパシーだとすれば、世の中はサイコパシー人間であふれている。いったいどうしたのだろう。

  これでは世の中の情報の大半がウソだと思っていないと、正直者の我々は道を誤る。

   こんな世の中を間違いのないように泳いでいくにはどうしたらよいのか。どうやら自分でウソとホントを見分けるワザを身に付ける以外になさそうだ。

 

 さて、ではホントの話をしましょう。

    ブログのコメント欄では「米国債投資が損失を出している、どうしたらよいか」という書き込みがありました。

     このところ米国債長期金利が上昇し、投資チャンスが到来していますが、その一方で昨年までの低金利の時に投資をした方は、年限によっては評価損が出ています。

    特に地方銀行は、昨年来マイナス金利で利の乗った日本国債を売却し、そのカネで外債投資を行ったため、今期決算で損失を計上する見込みだと報道されています。

   今回はそうした評価損がどの程度であるか、個人投資家はどうすべきかをアドバイスします。

   例として金利の低かった昨年の8月1日に投資したとして、現時点での金利上昇のインパクトを計算し、評価損益をお示しします。10年債と30年債を例にとります。

・10年債 金利1.6%を 16年8月1日に為替レート102円、価格100で購入

・30年債 金利2.3%を   以下同

   現在の10年債利回りを2.5%、為替を113円とすると、評価損はどうなっているかを計算します。厳密には9年半くらいの残存ですが、9年半のイールドを入手できないため、近似値としてそのまま10年の利率を採用します。

 するとドル建ての

・10年債価格は、100が92.53になったためロス

・30年債価格は、    84.65になったためロス

 一方、為替は 102円だったドルが113円に上昇 113÷102=10.8%ゲイン

 その結果昨年8月1日にそれぞれ100万円購入した場合、現在の評価は

・10年債 102.5万円

・30年債  93.8万円

  10年債は価格の下落より為替の上昇が大きく、25,000円の評価益が出ている。それに加えて、年率1.6%の金利の7か月分9,300円を得ているため、単純計算で 34,000の益となる。

  30年債は価格の下落のほうが為替の上昇より大きく、62,000円の損失が出ている。しかし7か月分の金利13,400円を得ているため、48,600円の評価損となる。

  債券の評価損益の計算は複雑でわかりづらいので、私はキャピタルゲイン・ロス、為替のゲイン・ロス、金利のゲインと3つの要素に分けて数字をお示ししました。

  これがゼロクーポン債でも、さほど大きくは変わらないのですが、ゼロクーポン債の場合、金利が元本変動に含まれていてわかりづらいため、ここでは通常の利付債を例にとり、計算をお示ししました。

   では、30年債のように大きな評価損が出ている場合、どうするべきか。

   そもそも債券投資を複雑にしているのは、地方銀行のように四半期ごとに評価損益を算出するからです。なぜそのようなことをするのか。それは地銀のような機関投資家の多くが、持ち切り投資を前提に投資しているのではなく、途中での売却を前提にするからです。もちろん会計原則も、評価損益を計算しろとなっているからですが、我々一般の個人投資は違います。償還まで持ち切るので評価損益を気にする必要はありません。

  私がみなさんにお薦めしているのは、あくまで持ち切り投資です。債券はいくらで買おうが最後は必ず100で償還されます。100より高い価格で買う場合、クーポン金利が十分に高いため、最後まで持ち切って金利を得ていれば、ドル建てで損失することはありえません。

   その安心感が債券投資の安心感の大元です。最近相談された定年退職さんや地方勤務医さんも、円のリスクに目覚めてヘッジのため米国債投資を考え、ストレスフリーの世界に入ろうとされています。

   もちろん為替変動や金利の変動で超長期債は評価損・益が大きくなりがちです。それでもこれまで米国債を買われた大勢の方が、ストレスフリーの資産運用を心からエンジョイされています。これから投資をされる方も、買ったらあとは慌てず騒がず寝て暮らしましょう。

   最後に「フィクスト・インカム」について。

   アメリカでは債券投資のことを「フィクスト・インカム投資」と呼びます。私のブログのサブタイトルにも「フィクスト・インカムの専門家」と表示しています。今回コメント欄でいただいた質問にアドバイスを差し上げている中で、多くの方が定期的に金利収入を得られるフィクスト・インカムに目覚められたようです。それこそが本来の意味での債券投資です。金利上昇の果実を収入として得ることを、是非選択肢の一つとして検討してみてください。

コメント (11)
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