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初歩の投資教室 34 来年に向けての投資対象

2012年12月10日 | 初歩の投資教室
   来年に向けての投資対象が、今回のテーマです。

   2つに分けて考えます。まずすでに私のお薦めで、著書の出版されたタイミング(11年8月)に投資したと仮定して、すでに投資している上記の4つの投資対象は、継続すべきか否か。それからいきます。

  私のお薦めは、もちろん継続です。ひとつずつ解説します。

  まず「米国債」。債券と為替の二つに分けて考えます。「債券」として見た場合の安全性ですが、去年8月にデフォルトのカラ騒ぎがありましたが、今年は全く揺らいでいません。出版時期と前後して格付け会社S&Pが間違ったデータによってダウングレードをしましたが、他の格付け会社はAAAを継続しています。S&Pの社長の首はすぐ飛びましたが、ダウングレードはそのままです。
  
  格付けより重要なのは市場の評価です。米国債金利もCDSのスプレッドも非常に安定していて、いわゆる財政の崖問題が話題になっても米国債そのものは全く揺らいではいません。

  為替はどうか?今年は第一四半期にドル円が一時80円台をつけ、その後第4四半期に入る前まで70円台が続きました。そして現状は80円台の前半で推移しています。今後70円台へ戻る可能性はおおいにありと私は見ていますが、日本の経常収支の黒字幅が減少する傾向は今後も継続が見込まれるため、大幅なドル安の見通しはすっかり影をひそめました。

  ということで米国債はすでに投資している方には継続をお薦めします

  次に「豪州国債」はどうか。こちらも債券としての信用力は抜群で、先進国の中でももっとも財政赤字の少ない国の一つです。
  また豪ドルレートの行方ですが、金利の低下により一時豪ドル安が懸念されましたが、その方向には向かっていません。理由は、経済成長はわずかに低下していますが、先進国の中では優等生で、資源国の優位性は継続しますので大きな心配はないと思われます。しかし資源価格同様、豪ドルの変化率が米ドルより大きいことは大いにありそうです。

  こちらもすでに投資された方は高金利をエンジョイしてください。為替変動に負けないでしょう。

  「バークシャー・ハサウェイ株式」のことは、今年の4月くらいにこのブログでアップル株との比較をしながら私の見方をお伝えしました。

  その時に私が言ったのは、「600ドル近いアップルの株価はバブルだ。もうひと山くらいあってもこの株価は継続しない。バークシャーはバブルではない」。実は両者はその時いずれもPERが20倍ちかくに買われていて、アメリカ株の平均である15倍より突出していました。

  その後アップル株は9月に700ドルまで行ってピークを打ち、そこからは暴落に近い下げが続き、現在は533ドル。昔のソニーショックを思い出します。PERは現在12倍になっています。平均の15倍に対してアップルの12倍は安いようにも思えますが、株と言うのはいったんモメンタムを失うとなかなか戻りません。4月に議論をしたときにある方は、「アップル株価はバブルじゃない」とおっしゃっていましたが、どうやらこの勝負、私の勝ちのようです。

  では、バークシャー株はどうか。これももし保有していたら継続をお薦めします。債券ではないので盤石とは言えない投資対象です。バッフェト氏の年齢もありリスクは大いにあります。そのリスクを取る覚悟の有る方には継続をお薦めします。現在のPERは16倍程度です。為替については債券のところで述べたとおりです。

  「米国REIT」はどうか?これも投資をされている方には継続をお薦めします。

『アメリカの不動産バブルは崩壊した。日本同様全治10年』という報道は、「全くの間違いだ」と何度も申し上げてきました。崩壊したのはサブプライムという限定された住宅市場です。もちろんそれは住宅市場全体に影響しますので、住宅は11年まで価格が低迷しました。しかし11年を底に上昇過程に入り、現在は回復が顕著となっています。

  それにも増して大事なことは、住宅以外のオフィスビル、商業モール、ホテル、リゾートなどはバブルと言うほどの不動産価格の上昇はなかったという事実です。これが日本の不動産バブルとアメリカのサブプライムバブルの決定的違いで、エコノミストや報道が大きく間違った原因です。アメリカの不動産はもう完治しています。

  その見方を裏付けるように、米国のREIT市場は株価も配当も非常に順調で、この先不安要素は見当たらないので、継続をお薦めします。

  
  こうしてみると私の著書での4つのお薦めは、結局来年に向けても全部お薦め状況に変化はないようです。

つづく
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