前回は、債務がローンの形であればさほど膨らむことはない。それが債券の形となると膨らみやすい、というお話をさし上げました。おもしろい話を聞きましたので紹介します。出所はNHKの特番だったと思います。
話は江戸時代です。幕府は資金に窮して大商人にローンを借りました。具体的には、1813年に三井家をはじめとした商人に54万5千両を借りた記録が残っています。現在の価値で436億円相当だそうです。ということは、千両箱1個は1億円弱の価値があったんですね。借入の返済期限は50年で、元利をすこしずつ返済し年利は3分、つまり3%です。これって今とかわりないかも、という超低金利ですね。江戸幕府も信用あったんですね。
でも貸し手の三井家の記録では当初1万両を貸し1842年まで返済が行われ、その時点の残高は6千両。それが滞るようになって期限を1863年から1882年に延伸。もちろん68年の明治維新で残高はすべてパーになりました。記録のあるものでは、日本国のデフォルトその1ですかね。
国家でもローンの形だととても今のように1千兆円の債務を積み上げるなんてことはできっこありません。ローンの使い勝手が悪いのは、特に借りてにとってです。みなさんが住宅ローンを借りると、毎月返済をしなければなりません。会社も銀行融資はすこしずつ返済をしています。江戸幕府もそうでした。
しかし債券は償還期限まで途中返済はなく、借り手にとってはとても好都合です。債券という武器を持つと、自分の返済能力の限界をいとも簡単に突破できてしまうのです。武器は容易に膨張し、いつの日か投資家の手元で爆発するのです。
今後も世界を震撼させる火薬庫は膨張した債券です。そしてそのありかは日本です。そのバブルの匂いをしっかりと嗅ぎ分けましょう。
国家債務の膨張ということでは、アメリカも決して例外ではありません。ただ日本との違いは、財政赤字の膨張を止めるメカニズムが機能する国なので、いまのところそして予見できる将来に問題はありません。予見できる将来とは、国家予算の予想が示されている数年間です。アメリカは日本と違い予算は単年度主義ではなく、数年先までの見通しも立てています。そしてなにより日本と違うのは、経済が成長しているので税収の自然増があり、返済能力が成長とともに高まるところです。しかしそれらの条件が大きく変わるようだと、たとえアメリカでもバブルの匂いが立ち込めるかもしれません。今後も注意していきましょう。
ということで、投資対象が株であれ債券であれ金などの商品であれ不動産であれ、常にバブルの匂いがしないかを嗅ぎ分けるようにしましょう。それが投資で一番大切なことです。
バブルの匂いを嗅ぎ分けるには、どうしたらいいの?
みなさん当然こうした疑問をお持ちだとおもいます。それが次のテーマです。
つづく