ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

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世界の投機資金について

2011年09月12日 | 資産運用 

  投機資金の大きさを推定するのは、とても困難です。自分は投資をしている、と言う人はいても、投機をしているなんて自ら言う人はいません。レバレッジを効かせたFXの博打でも、自分は為替に投資していると思っている人がほとんどですからね(笑)。

  そこで視点を変えて、投機を代表する足が速いと言われるヘッジファンドのサイズを見てみましょう。ヘッジファンドでも長期投資もあればコンピュータ・プログラムによって行う超短期投資もあります。でもおしなべて見ればいわゆる投機筋と言われる投資家は、このカテゴリーに入るとみてよいと思われます。
 
  世界にはヘッジファンドの動向を調査する専門会社がいくつもあります。ヘッジファンド・リサーチ社、ユーリカヘッジ社などが有名で、それらのリサーチ会社は、世界の3000前後のヘッジファンドの動向を常にウォッチしていて、それぞれのファンドのパフォーマンスから、業界全体の動向を調べて情報提供しています。

  その一つであるヘッジファンド・リサーチ社の調査によると、2011年6月末の世界のヘッジファンドの合計額は、2.04兆ドルです。80円で日本円に換算すると180兆円です。これを前回のマッキンゼー社の調査による投資マネーの合計額180兆ドルと比較すると、わずか1%強です。日本円に換算すると180兆円と、とても大きな金額ですが、全体に占める比率は意外と小さい比率ですよね。
 
  ここまで何故こうした全体像にこだわってみなさんに数値を示しているかといいますと、もちろん「敵を知り己を知れば、百戦危うからず」という戦陣訓にならったわけです。
  
  今回のシリーズのテーマは、「今後の投資はどうしたらいいのか?」という漠然としたテーマでスタートしました。その第一歩は、世界の投資の全体像を知ること。そして次のステップは、日本の投資の全体像を知ること。その二つを比較すると、日本の投資のゆがみを見つけることができます。

次回はそのゆがんだ日本の投資像を見てみましょう。
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