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ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

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大統領候補TV討論会第1ラウンド、クリントン圧勝

2016年09月27日 | アメリカアップデート

  全米、そして世界が注目するクリントン対トランプの一回目のTV討論が行われました。討論の出来栄えによっては今後のアメリカ、ひいては世界動向を左右するほどの影響があるので、私も注目しています。

   市場関係者は「トランプの勝利など、市場は全く織り込んでいない」。

   ということはつまり、もし逆に彼が勝利をするとBREXITどころではなく、世界の金融市場が一瞬にして大混乱に陥るだろうということです。世界の株式は暴落し、ドルも暴落。これが一般的見方で、私も同感です。付け加えるなら、「しかしなぜか米国債だけは暴騰してしまう」、でしょう。

   今回の会場はNY州ヘムステッドのホフストラ大学という聞きなれない大学です。実は私の妻と大学で同期の仲の良い日本人女性が、この大学で教授をしています。彼女によりますと、「本日のキャンパスはいつもとは全くちがう異様な雰囲気で、千人もの報道陣と両氏の関係者が訪れ、セキュリティーも厳しく、全学が休講になってしまったと」のこと。学生はTV討論を会場で直接聞くことができるので、期待して待っていたそうです。

   共和党と民主党の大会のあと両者の支持率は10ポイント以上の開きになり、私はヒラリーの楽勝を予想して選挙戦のことをアップデートしなくなりました。両者の支持率がかなり拮抗してきた現在も同じスタンスで、心配していません。なぜ心配しないのか。

   理由は単純で、ブログでアップデートしていた時にみなさんに紹介した世論調査の集計サイトであるリアル・クリアー・ポリティックスを、より詳しく見ているからです。アメリカの報道も日本の報道も同じサイトを見ていて、数ある個別の世論調査結果を集計し平均値を出しているこのサイトを利用しています。

   私はサイトの紹介で、「重要なのは平均支持率ではなく、選挙人の獲得予想数だ」と申し上げていました。大統領選挙はあくまで選挙人の数で決まるからです。そして、同サイトにある選挙人獲得数のアップデート欄も紹介しました。

  選挙人の総数は538人、過半数は270人です。現在の予想数は、クリントンの188人に対してトランプは165人、未定185です。マスコミ報道で言われる「差はわずか2ポイントだ」というのは、かなりミスリーディングなのです。といっても選挙人予想も一時は250対120くらいだったので、差が大幅に縮んでいることは確かです。こちらもだいぶ接近してきているので、今後はまたアップデートしましょう。

   今回私はTV討論を見ていましたので、まずその第一印象からお伝えしますと、クリントンの圧勝でした。

   今回は3回ある討論の初回で、テーマは「繁栄の達成、アメリカの進路、安全の確保」です。各論点の両候補評価などは今後大いに報道されると思いますし、私は選挙のプロではありませんので、報道におまかせします。私は討論中の二人の言動、所作、心理状況をどう見たかについて、お伝えします。

   クリントン圧勝の評価は、そうした観点からは特に圧倒的だったと言えます。司会者はABCの優秀なコメンテーターで、二人は彼の指示に従い発言することになっています。まずテーマごとに2分ずつのスピーチをして、その後討論します。スピーチは耳で聞くことができるので、私の眼はしゃべっていない方の候補の所作に注目していました。

   まず、単純な統計から。

 その1.お邪魔虫

クリントンのスピーチ中にトランプが邪魔して割り込み、司会者が「今はクリントン氏の時間だ」ととがめたのは実に8回。そのうち1回は、クリントンが始めた途端にギャーギャー言いはじめたため司会者が止めに入り、クリントンが思わず笑いながら「時計を最初に戻してくださいね」というほどのひどいものでした。とがめられない程度の邪魔は最初はカウントしていたのですが、あまりの多さにやめました(笑)。

   一方、トランプ氏のスピーチ中クリントン氏が割って入り制止されたのは1回。制止されないほどの邪魔の数はたぶん30対1くらいでした。

 その2.回答はぐらかし

司会者は重要なポイントを両候補に質問し、両候補は答える義務を負っているのですが、それに対して全く答えずはぐらかしに入って、司会者が思わず「質問はこれこれですよ。こたえてください」と言われたケースは、トランプが3回。クリントンはゼロ。トランプの3回では、いずれもその後も回答はせず逃げまくっていました。つまり重要事項ではほぼクリントンがトランプをやり込めたのです。

その3.そわそわ

 相手のスピーチ中の所作もなかなかの見ものでした。トランプは都合が悪いことを言われると体が揺れ始め、みけんにしわを寄せ、肩をすぼめてマイクに向かい口をすぼめます。「Wrong」、のウをサイレントで言い誤りだと示唆するのです。

もし私と彼がポーカーをしたら、彼のハッタリなど簡単に見分けられるので、絶対に勝てます。名前はトランプなのにね(笑)。

 そして不利になったことがもっとわかるのは、反論する時に声がどんどん大きくなって、子供がウソの指摘をかわそうとするのと同じように体まで大きく揺れることです。

それに対してクリントンは正々堂々と構え、全くスキを見せませんでした。あえて厳しく見ますと、相手が必死の反撃をしているときにも笑みを浮かべ、ちょっと顎が上がってアロガントに見えたことでしょう。

   これらの分析と討論内容の勝敗点数をつけるなら9:1でクリントンの圧勝と私は見ました。

  CNNにはすでに1回目の世論調査結果が出ていて、見出しは「第1ラウンドはクリントンの勝利」。テレビを見ていた人の判定カウントは、62:27でクリントンの勝ちでした。

 今回のコメントはここまでです。

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アメリカ経済と世界的金利低下 その6(ほんとは7回目)

2016年08月25日 | アメリカアップデート

  「アメリカ経済と世界的金利低下」のシリーズも終わりに近づきました。前回までに述べたことを少し振り返りますと、

1.アメリカ経済の足元は、雇用・小売り・住宅関連で結構強い。すでに景気循環の上昇局面が数年継続しているので、ちょっと休んでもよさそうだ

2.世界的なカネ余り状態が金利を押し下げていると言われるが、カネ余りとは相対的なもので、絶対的に数字で示せるものではない。しかし各国の金利を見る限り、先進国・新興国を問わず金利は低下しているので、カネ余りであることは確かだ

3.地政学上のリスクを見ると、中東などをめぐる戦争のリスクのみならず、先進国でもBREXITトランプリスクなど、予想もつかなかったリスクが頻発している。そのたびに米国債への「質への逃避」が起こってしまい、米国債金利を下げてしまう

4.金利下落リスクとして今後覚悟すべき最大のリスクは、中国の政治・経済の崩壊と日本の金融財政破綻リスクだ

5.7月に史上最低レベルの1.3%台まで米国債金利は下げたが、それに匹敵するレベルは12年7月にもあった。そこから3%に回復するのに、1年半ほどかかかった

  ここまでこうしたことを述べてきました。

  では先を見通すにあたり、直近のアメリカ経済はどうか。

  一昨日、米商務省が発表した7月の新築戸建て住宅の販売戸数は、年率換算でなんと前月比12.4%増の65万4,000戸で、8年9カ月ぶりの高水準。つまりリーマンショック前の高水準に肩を並べています。

  同日に発表されたトール・ブラザーズという超高級住宅販売会社の5-7月期の業績は、収入が24%増とこれまた絶好調。ちょっとバブルの心配をするほどです。住宅販売は幅広い住宅関連消費につながるため、非常によい材料とみなせます。もっとも昨日発表の中古住宅販売は若干見劣りする数字でした。原因の一つは価格が高すぎることと解説されています。しかしこれも含めアメリカ経済が依然として好調であることは間違いありません。

   一方、世界の金融市場は週末のジャクソン・ホールでのイエレン議長の発言内容を気にして、動きのとれない状況です。何人かの地区連銀総裁は、利上げに積極的な発言をしていますが、イエレン議長は驚くような発言はしないだろうと私は見ています。


   では、みなさんの関心事である今後の金利を私がどう見ているかです。

   私の基本的考え方は変化していません。それは、金利は何といっても「物価と雇用だ」という例の考え方です。雇用が絶好調ですので、残るは物価です。

   物価を見るにあたり、まず賃金から見てみましょう。アメリカの雇用者賃金は、雇用全体が好調なため穏やかな上昇を続けていて、それが消費を押し上げる原動力になっています。8月発表の平均時給の前年比上昇率は2.6%と、それまでの傾向を維持しています。アメリカ経済の特徴はGDPに占める個人消費が7割と高いことで、その中でもサービス消費が半分を占めることです。賃金上昇はサービス価格の上昇に直結しますので、物価の底上げにつながります。

   さらに石油価格がひところよりだいぶ持ち直してきました。物価というのは前年対比でみるので、価格の絶対レベルが低くても前年を下回らなければ全体の足を引っ張らなくなるのです。WTIなどの石油先物価格は1年前のレベルを上回り始めています。

  そして今後ですが、OPECにも生産を抑え価格維持をすべしとの機運が出てきていますので、エネルギー価格が物価抑制の主役の座を降りるのは近いと思われます。

  物価を見るにあたり、エネルギーと食料品価格を除くコア物価がより大事だと言われますが、エネルギー価格の変動はすべての物価に大きく影響を及ぼすので、その上昇は物価全般に大きなプラス材料なのです。

   そして先日触れたその他の国際商品価格全般の値上がりも物価上昇には好材料です。

 

  こうしてみてくると、「物価と雇用」のうちの物価にも上昇の兆しが見えてきています。これは今後の金利上昇には明らかに好材料です。

   しかし世界経済がグローバルにつながり一国内で完結することはないため、アメリカの金利動向は国内要因だけでは決まりません。世界のその他の国の低金利も影響するため、上昇していくにはかなりの時間を要すると思われます。

  先進国はこの数年がそうだったように、金利低下が景気上昇に直結していません。一方、新興国は資本が必ずしも自国に潤沢にあるわけではないため、企業は金利低下を渇望しており、低下が設備投資や住宅投資につながり、経済を成長させます。世界の金利低下はすべての国にデフレをもたらすわけではないことを忘れないようにしましょう。


   ではそうした先進国と新興国の状況を織り交ぜて考えて、アメリカの金利はこの先どうなるのか。

   私は低下したままでいるとは思っていません。あくまで循環的な動きが今後もあると思っています。7月の1.3%台への低下はむしろBREXITなどの外部要因が大きかったため、それがボトムである可能性もあるでしょう。

  しかし循環するとは言え、1980年代から始まった長期低落傾向がここで長期上昇傾向に転ずるのは難しいだろうと思います。長期低落に歯止めがかかったとしても、一進一退での循環的な上下動に留まりそうだ、とういうのがこの先半年1年の私の見立てです。

 

  ということで昨年12月の見通しのように3%をターゲットにするのは、しばらく難しいと思われます。上昇があっても2%台をターゲットにせざるをえないでしょう。

   では、マクロ経済のモデルを使った予想はどうなっているでしょうか。今年の予想を出した昨年末にみなさんに紹介したサイト、Trading Economicsの予測数値によりますと、17年第2四半期までは1.6%という低い予想になっています。そして20年でもわずか1.8%という低い予測です。私はそこまで悲観的には見ていません。 モデルは単に数字を統計処理して延長しているので、あくまで参考程度にご覧ください。


   これでこのシリーズ、「アメリカ経済と世界的低金利」を終えますが、この話題は今後ももちろん折に触れて書いていくようにします。

   最後に一言申し上げておきたいことがあります。

   それは米国金利関してある方から、「林さんは金利の上昇を望んでいるんですか」という質問を受けたことについてです。きっと私が米国債投資をこれからしようという方に向けた物言いになっているきらいがあるので、こうした質問が出てきたのだと思います。もちろん私はそれを望んでいるわけではありません。

  金利が投資のリターンであると考えれば、今後投資する方にとって高いにこしたことはありません。一方すでに投資をされた方にとって金利低下は債券価格の評価益につながります。私は両方の方に対して物をいう立場にいるので偏りは禁物なのですが、コメント欄は圧倒的に今後投資をされる方からの質問が多いため、あたかも私が金利上昇を望んでいるようになってしまっているのでしょう(笑)。ちょっと反省します。

  現在のような超低金利は一国の経済にとって決して望ましい姿ではありませんが、一方超高金利はもっと望ましくありません。企業の体力を奪い、財政を圧迫するからです。では望ましい金利レベルがあるのか。

   以前も触れたことがありますが、それは一国の発展段階によって変化するし、金利は景気循環をスムーズにする調整弁でもあるため、一概に何%が望ましとは言えません。

   望むらくは、ある程度の金融資産を持っている方が、キャピタルゲインなどなくとも、年金と安全な債券の金利で暮らしていけるレベルは欲しい、と私は願っています。

  このシリーズは以上です。

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アメリカ経済と世界的金利低下 その5

2016年08月06日 | アメリカアップデート

リオデジャネイロでオリンピックが始まりましたね。

  頑張れニッポン!

  好きなゴルフがオリンピックの種目に採用されたのですが、ジカ熱の影響で世界の有力選手が出場しないため、イマイチ応援に身が入りそうもありません。


   一方、アメリカ大統領選挙の現在のキーワー ドは、「Political Correctness」と「Psychopathy」に移りました。CNNなどに精神分析医が登場し始め、トランプの支離滅裂さの本格的分析が始まって います。そこで使われている言葉がこの二つです。

   まずポリティカル・コレクトネスに関してウィキペディアの説明を引用します。

引用

1980年代に 多民族国家アメリカ合衆国で始まった、「用語における差別・偏見を取り除くために、政治的な観点から見て正しい用語を使う」という意味で使われる言い回し である。「偏った用語を追放し、中立的な表現を使用しよう」という運動だけでなく、差別是正に関する活動全体を指すこともある。

引用終わり

  トランプの言動にはアメリカ人が大事に育ててきたこのポリティカル・コレクトネスが欠けている、というのが議論の中心です。

  またサイコパシーも同じくウィキペディアを引用しますと、

引用

反社会的人格の一種を意味する心理学用語であり、主に異常心理学や生物学的精神医学などの分野で使われている。犯罪心理学者のロバート・D・ヘアは以下のように定義している。

  • 良心が異常に欠如している
  • 他者に冷淡で、共感しない
  • 慢性的に平然と嘘をつく
  • 行動に対する責任が全く取れない
  • 罪悪感が皆無
  • 自尊心が過大で、自己中心的
  • 口が達者で表面は魅力的

引用終わり

この説明と定義、あまりにも的を射すぎているように思えます。

  そして共和党内は大統領選挙と同時並行で行われる下院の予備選挙で下院議長のポール・ライアン議員をトランプが支持しないと表明し、これにも大ブーイングが起こりました。トランプも今度ばかりは、前言を撤回する事態に追い込まれました。

  前回お知らせしたReal Clear Politicsの大統領選挙ページでは、トランプに対してヒラリーが差を拡げ、NBC/Wall Street Journal調査で9ポイント差、FOXで10ポイント差になっています。

 

さて、本題です。

   昨日発表された7月のアメリカの雇用統計は強い雇用を再確認する数字でした。それをうけてNYダウは大幅高ですが、円はさほど安くなっていないように思えます。アメリカではこの統計により、年内の利上げ論が再燃しています。

   世界的金利低迷の謎を少しでも解明しようというのが、今回のテーマです。これまで及び前回の記事をまとめますと、金利低迷の要因としては、

1.世界的な経済のスローダウンによる資金需要の減退

2.数字的な説明は難しいものの、カネ余り

3.地政学的リスクの高まり

   こうしたことを主な原因として挙げてきました。私の見解のレビューとともに少し補足します。

1.経済のスローダウンに ついては、アメリカの景気拡大も数年続いているため、そろそろ一休みさせてあげてもいいのではないか。しかし本格的リセッションに至る兆候はなく、心配に は及ばない。一方、巨大化した中国経済のスローダウンはあなどれず、一気に崩壊しないと逆に世界経済への影響は長引く。

2.カネ余りと はクリアーな数字で説明のつくものではなく、儲かると思えばいくらでも出てくるし、損しそうだとなればあっという間に引っ込む、心理的要素に大きく左右さ れるものだ。日本のバブルしかり。そしてリーマンショックもその好例で、儲かると思えばクズ同然のサブプライム・モーゲージ債券にいくらでもカネを出し、 バブルを形成。しかし怪しいとなればあっという間に引っ込んで、バブルは瞬時に崩壊する。それでも世界的にカネが余っていることは確かで、他の投資機会が 枯渇しているため、一朝ことが起こるたびに米国債が買われてしまう。

3.地政学上のリスクは各方面で大きくなる一方で、従来のような戦争の脅威やテロだけでなく、きのうまで平穏だった先進国の政治にすら潜在的に潜み、突然顕在化するものだ。BREXITしかり、トランプしかり。

  これらの要素は一見拭い去ることなど簡単にはできそうもないことのように思えます。しかし米国金利について言えば過去にも現在のような低金利に見舞われたことがあり、その回復はさほど長期間を要するものではありませんでした。

  超低金利の最近の例を見てみましょう。2012年7月です。そのとき米国債10年物金利は今回とほぼ同レベルの1.4%に低下しました。欧州が金融危機に見舞われたときです。

  この危機の最中にPIGSという言葉が使われ始めました。はじめのうちは財政基盤の弱いポルトガル、イタリー、ギリシャ、スペインをPIGSと呼び、後にアイルランドを入れてPIIGSとも呼ばれました。

2012年7月がどんな状況だったかを時系列で簡単に追いますと、

・2011年11月:イタリア国債が売られ、ベルルスコーニ政権崩壊
・2012年 2月:ギリシャの第二次支援決定
・2012年 5月:ギリシャ政権の迷走から国債が売られ、ユーロ離脱懸念
・2012年 7月:スペイン国債が売られ、EUが支援

  PIGSが最も深刻なソブリン危機に見舞われたこの7月に、米国債が1.4%台という超低金利になっています。その後ECBのテコ入れが奏功して危機的状況は回避され、米国債の金利も戻しました。

  米国債金利がどこまで戻したか振り返りますと、12年7月から約1年半後の13年12月末に3%を付けました。他人事である欧州金融危機からの回復に、1年半の年月がかかったということです。その間の金利上昇は緩慢ながらもコンスタントでした。

  今回の金利低下を振り返りますと、今年の年始は2.25%でスタートしました。そのすぐあと、株式や商品が大きく売られた2月に1.64%をつけました。その後はやや回復し2%弱の水準で小幅な上下動を繰り返していました。

  そして6月下旬、BREXITの寸前は1.74%でしたが急落し7月初めに1.37の最低水準を記録しました。

  では、12年からの金利回復時と現在で何が違うか。大して違わないなら、1年半くらいで回復するかもしれない、という発想の元に見てみます。

  12年は先に述べたとおり、主因は欧州のソブリン・クライシスです。現在もイタリアの銀行が 再度危機的状況にあると言われてはいますが、ECBを始め危機対応力は格段に向上し、しかも各国へのパニック的な波及もありませんので、欧州は大きな危機 状況ではありません。しかしBREXITにより、EU離脱の動きは以前より不透明感を増しています。世界を見回すと、12年より現状が明らかにスローダウ ンしているのは中国と中国に頼っていた周辺国です。

  そしてあとは日本です。日本はリーマ ンショック後に急回復しましたが、民主党政権下ではしばし低迷。12年は株式も低迷したままでした。しかし年末に安倍政権になり、13年に入ってからはま ず株価が急上昇し、経済も回復傾向になったため、少なくとも米金利の足を引っ張る側にはいなかったと思います。

  しかし実は経済成長率はその後一向に上昇せず、自民党政権下になっての成長は限りなくゼロ成長に近い低迷がつづいています。その限りにおいては、12年との比較では大差なしです。

  どうやら決定的に違うのは中国を巡る周辺国とそれを原因とする原油や鉄鉱石などの原材料価格の低迷。そしてそれは中東やロシアにも大きなマイナスの影響を及ぼしています。

  アメリカ国内の大きな要素であるFRBのスタンスを振り返ると、金利が上昇した12年~13年はまだ量的緩和が継続し、それを収束させていくいわゆるテーパリングは金利がピークを付けた時期である13年12月に決定され、14年を通じて実施されています。

  雇用統計を見ても、13年末の失業率は7%で、その後2年間で2%もの急激な低下を実現しています。14年以降については、テーパリングの終了と雇用を見れば金利が上昇してもおかしくないのですが、実際には徐々に低下しました。

  その頃から一貫して私が言っていたことは、「金利はひとえに物価と雇用だ」ということでした。雇用は実に目覚ましい回復をみせているのですが、物価は低迷を継続しています。

  こうしてみると、あとは物価さえ上昇してくれば、金利は少なくともこれ以上低迷することはなく、ある程度の回復は見込めるのではないか。私の昨年末の見通しからはだいぶ時期がずれてしまっていますが、それが現在の私の見方です。

  今後、アメリカの金利見通しと、世界の金利見通しをもう少しクリアーにして、このシリーズを終えたいと思います。

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アメリカ経済と世界的金利低下 その5

2016年07月31日 | アメリカアップデート

  おかげさまでこのブログのアクセス数が200万件にあと一歩となりました。

これもひとえに皆様のご支持のたまものです。

ありがとうございます。


  民主党大会はヒラリーによる受諾演説で幕を閉じました。トランプとヒラリーの受諾演説を比較すると、トランプは内容が全くない「オレを信じろ」に対して、ヒラリーはより具体性のある政策を示していました。CNNなどの主なコメントは、

・トランプの「アメリカは真っ暗だ」、に対してヒラリーは「明るいアメリカ」を示した

・その二人を象徴するキーワードは、トランプがAmerica First、ヒラリーはStronger Together

・トランプは世界に対してもアメリカ社会に対しても壁を作り分断させようとしているのに対して、ヒラリーは人種・宗教・思想・党派・性別を超えての結束呼びかけた

・トランプはそのままの自分を出し続けて支持者以外からヒンシュクをかった。ヒラリーは自分のイメージの転換を意図したが、成功したとは言えない

  では内容ではなくスピーチ自体の質はどうか。私なりの分析は、言うまでもなくヒラリーに軍配があがります。トランプは高齢者にありがちな「オレ様だけが常に正しい。オレに任せろ。オレを信じろ」の一点張りで内容が空虚で非常に後味が悪い。ヒラリーは内容を伴い、会場にいる様々な階層の人達にもれなく伝えようとしていて、優等生過ぎるきらいはあるものの、後味はよい。

   オレを信じろで思い出すのは、どこぞの宇宙人が言った Trust Me! です(笑)。低所得層の白人男性に広く支持されていると言われるトランプですが、彼は製鉄所が閉鎖された地方で失業者に向かい、「オレが中国から製鉄所を取り返してみせる」と言っていますが、新鋭設備を有し人件費が数分の1の中国から製鉄所など取り返しようもありません。すぐにホラがバレるに違いありませんが、信じる人たちがいるという厳然たる現実があります。

   そして民主党大会直後に行われた調査の支持率は両者が同率と拮抗したままでしたが、昨日のロイター・イプサムの調査ではヒラリーがトランプを6ポイントリードしたと出ています。もう少し時間が経過するとヒラリーがさらに挽回するのではないかと私は勝手に思っています。

    しかし、この二人の候補者を支持するかしないかは、政策内容や実行力などではなく、ただ単に好きか嫌いかだけのようにも思えます。従って今後予定されている二人の直接のディベート対決などの勝敗もあまり関係なく、好きなものは好きだし、嫌いなものは嫌い。好悪だけが選挙の行方を左右してしまうのではないかとの懸念もあります。

    それでも私はヒラリーが勝つと確信しています。理由はまだ4分の1ほどいる「決めていない」という層が、今後論戦を経れば、まともな人間を支持してくれるだろうという期待からです。

   

  さて、やっと本題です。

   前回は世界中で有り余るオカネが、一方的にリスク回避に回っているのではなく、NYの株式は史上最高値を更新し、新興国株も買い戻され、リスク商品の代表格であるコモディティーやジャンクボンドにもオカネは回り始めていることを数字で示しました。いずれも今年の2月にボトムを付け、BREXITで一時的な反落はあったものの、ボトムからは2割程度回復しています。

   ところで「カネ余り」と一口に言いますが、どこまでが不足で、どこからが余りなのか、それを数字で特定できるでしょうか。私はそれは困難だと思っています。ソロス指数などのように、通貨供給量を総額でとらえて推定することに意味はあるでしょうか。私はないと思います。そのことをまず説明します。

   例えばソロス自身が10億ドルのファンドを運用していたとして、彼がこれは絶対に儲かると思う対象が出てくると、その自己資金を元に借り入れでレバレッジを掛け、2-3倍にすることは容易にできます。それどころか先物やオプションを使えば数十倍にするのはいとも簡単です。FXをされている方が日常的にレバレッジを利用しているのと同じです。

   日本でもバブル時代のことを考えれば、企業がこぞって財テクに走り、自己資金に数倍のレバレッジを掛けて株式投資や不動産投資にのめりこみました。その裏付けとなる資金を銀行はここぞとばかりに貸し込みました。現在のように銀行が国債売却資金を日銀の当座預金にブタ積みすることなどなく、それどころか銀行は日銀からめいっぱい借り入れをして企業に貸し込みました。相手が個人の場合ですら、株式投資やマンション投資、果てはゴルフ会員権投資をしたいと言えばいくらでも貸し込んだのです。日本のバブルはそうして形成されました。

   つまり人は儲かると思えばタンスからでも銀行借り入れでも何でもして資金を捻出するし、銀行もサポートする。そうでなければおカネをビタ一文動かそうとはしません。住宅金利が10年固定で0.5%になったところで、あるいは35年フラットで1%台になったところで、買わないものは買わないのです。

  なので、どの中央銀行がカネをいくら刷ったかとか、世の中にいくらおカネが存在するかなどを静的に捉えたところで全く意味はない。ソロス指数などはしょせんその程度の静的数字に過ぎないと私は思っています。ということで、「カネ余り」を数字でとらえるのは困難だし、意味はないのです。

   では世界のマネーがまがりなりにもリスクを取り始めているのに、米国債が低金利のままでいることを、どう考えたらよいのでしょうか。私は二つの要因があると思っています。

   一つはここまで言ってきたことと若干矛盾しているような感じがするかもしれませんが、基本的需給要因としてやはり「カネ余り」です。株式市場や商品市場にカネが戻っているとは言え、バブルを形成する時のように債券を売ってでも株や不動産や商品に投資をするまでには至っていない。

  供給余力の大きい原油価格は依然として40ドル台だし、鉄鋼や非鉄金属なども供給力が大きく減ったわけでもない。中国をはじめとする新興国経済はスローダウンに歯止めがかかっていないので新興国株式も買えない。つまりリスク商品も、暴落すれば反騰狙いの買いは入るが、腰を据えた買いまでにはいたらない。

   すくなくとも日本では、個人も企業も待機資金を大きく抱えたままで、アグレッシブにM&Aに走っているのは孫正義氏や日本電産の永守重信氏くらいかもしれません。その証拠に日本企業の手元資金は増える一方だし、個人の金融資産も預貯金に溜まる一方です。

   安全資産が買われるもう一つの原因は当然ながら「安全志向」です。

  特に最近の安全志向の大きな理由はBREXITと、その後に予想される他の欧州諸国のEU離脱懸念。そしてやはりBREXITから連想されるトランプ・クライシスという「地政学上のリスク」です。イギリスがEUからの離脱を決めたくらいで世界のあらゆる相場が一気に崩れたのですから、もしトランプが本選で勝ちでもしたら、金融市場へのインパクトは瞬間風速ではリーマンショック並みになるかもしれません。

  しかもBREXITと違い、影響は長引きます。彼の言いたい放題は拍車がかかるでしょうから、極端に言えば大統領在任期間の3分の2程度。あとの3分の1はトランプ降ろしに集中し、次の大統領選に関心が移るからです。こうした政治的リスクとテロなどの爆発的ひろがりを含む地政学的リスクの高まりが、金利上昇に水をかけている。この地政学上のリスクも数字にはできないリスクです。

 以上2点が私の推論の主な点です。

   トランプ・クライシスが進行中のアメリカですが、今後の直接論戦の結果などでかなりの程度ヒラリーの当選が見えてくると、金利はある程度回復する可能性があると思われます。その裏付けはなんといっても米国経済の底堅さです。先週FRBはFOMCで利上げを見送り、アメリカの4-6月期のGDPがスローダウンしています。それでもイエレン議長などが言っているとおり、国内景気に不安要素は少なく、利上げをしないのはひとえに物価と海外経済に配慮してのことでしょう。

   では今後長期金利が上昇する可能性はあるのか。あるとしたらそのスピードや回復の程度はどうか。それを次回のテーマにします。

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民主党大会 アップデート

2016年07月28日 | アメリカアップデート

  ブログのアップデートが滞りがちで、すみません。理由は共和党と民主党の党大会の様子をライブで見ているためです。アメリカ国債をみなさんにお薦めしている私が、最大のリスクであるトランプ・リスクをしっかりと評価できなくては無責任極まりないため、CNNをしっかりと見ています。私自身が大統領選挙の推移を見通し、それをみなさんにお伝えする義務があると思ってのことです。

   先週は共和党大会の様子を私なりにお伝えしました。それに対して現役の大阪のTVジャーナリストで、主に政治問題を扱っている方から、以下のようなコメントをいただきました。その要旨は、

   林さんの解説、トランプ氏の解析、本当に興味深いです。「大衆扇動者たちの手口は世界共通」、「今が悪いのはコイツのせいだと悪者を作り出し、俺が退治して見せる、 という古典的手口」は、まさにテレビ受けするもので、彼の発信するキャッチコピーは短く力強い、しかし内容がないとのコメントは、何度も何度もニュースやワイドショーで流れました。日本の政治でも同様な手法を使う政党があり、無責任発言で人々をひきつけています。この手法は、人々に政治的関心を呼び起こさせる良い一面もあるのですが、一方で、複雑な問題を矮小化して誤認させ、安直な解決方法を信じ込ませるという取り返しのつかない一面もあります。

   というものです。現役のジャーナリストの方からこのような言葉をいただけるとは光栄です。

   さて、現在は民主党大会の3日目が開催されていて、私はそれを見ながら書いています。まずハイライトが初日に来ました。ミッシェル・オバマのスピーチをライブで聞いたのですが、これは本当に感動ものでした。女性代表として彼女が言ったのは、

 ・高かったガラスの天井をヒラリーが破ることになる

・すべての女性の夢を実現し、遂に女性が大統領になるときが来た

・これから4年あるいは8年、我々の子供の将来を任せられるのはヒラリーだ

・トランプはMake America Great Againと言うが、アメリカはまぎれもなく今も地球上で一番グレートだ

・人種や思想信条を超えて、この国の将来をヒラリーに任せよう

  アメリカというのはスピーチの国です。一国の歴史をスピーチで変えうる国です。リンカーンのゲティスバーグ・アドレス、ケネディーの就任演説、スティーブ・ジョブズのスタンフォード大学卒業式スピーチなどがグレートスピーチの代表でしょう。私が大学に入ってESSに入部したとたんに丸暗記させられたのは、決して短くはない、ケネディー大統領の就任演説でした。アメリカがスピーチの国であること初めて知った瞬間でした。

   女性大統領が誕生すると、ミッシェルのスピーチはヒラリー礼賛ではありますが、歴史に残る名スピーチの一つになる可能性があると思いました。

   そしてヒラリーの競争相手であったバーニー・サンダースのスピーチもスケジュールを前倒しにして初日に行われ、それもライブで聞きました。彼も自己主張を徹頭徹尾抑え切り、これまた感動ものでした。

   大会寸前に民主党内のスキャンダルが飛び出しました。公平であるべき民主党全国委員長が裏でバーニー・サンダースを阻止し、ヒラリーに加担したことがバレて辞任したのです。    

   それにも関わらず、彼は怒ったりせず火消し役になって民主党をまとめるために、スピーチの順序を初日に前倒しにして、ヒラリーを完全に支持しました。あの曲者爺さんとは思えないほどの寛容さを示し、報道からも称賛されていました。

   普段客観的な姿勢を保つ報道もこの二人のスピーチはほとんど手放しで称賛していました。アメリカ大統領選挙は党大会でのスピーチが大きく左右することがたびたびあります。その決定打が2連発された、それが私の抱いた初日の感想です。

   いま実は3日目の様子をライブ見ているのですが、その前にトランプのトンデモ発言がアメリカを駆け巡り、非難の嵐が起こっています。トランプはヒラリーの消えたメールについてロシアのハッカーに「これを聞いていたら、ハッキングして見つけてくれ」と言い放ちました。これにはすべての報道をはじめ共和党のポール・ライアン下院議長までがトランプ発言を非難しています。

   民主党の応援演説もこれに触れ、軍人代表などが「命を賭して国を守っている我々の仲間を見捨てるつもりか。プーチンを仲間に入れるなどという人間に、絶対に軍の全権を掌握させてはならない」と言わせました。なんともよすぎるタイミングでの放言です。

   ついでに本日のマイケル・ブルームバーグの応援演説にも触れます。これも秀逸でした。彼はもともと私の先輩でソロモン・ブラザーズのボンド部隊にいて、共同経営者・パートナーになり、その後ブルームバーグ社をゼロから立ち上げ、世界一の金融情報会社にした実績を持ちます。そして共和党からニューヨーク市長になり、現在はどの党も支持しない独立派です。

   彼が言っていたのは、

・自分はどの党の支持者でもないのに、どうしても言いたいことがあり、ここに出てきた

・アメリカと言う国をトランプなどに絶対にまかせてはならない。大統領選挙は賭け事ではない

・選択肢は国内政治と国際政治に実績を持つヒラリー以外ありえない

・同じビジネスマンとして言うが、彼のビジネスのやり口は騙しと借金の踏み倒しで、訴訟を何千件も抱え、何千人も首切りをし、まともに自慢できるようなビジネスマンではない

・その上自分の税務申告書を公表しないが、プーチンに近いロシア人へカネを流している可能性があるからだ

・このような人間にアメリカの未来を賭けてはならない

   かなり強烈なスピーチでした。ニューヨーク市長時代、給与を年1ドルしか受け取らずに3期も務めた実績を持つブルームバーグならではの迫力のスピーチだったと思います。

  3日目の最後はオバマ大統領の出番でした。オバマの最初の言葉は事の本質を突いていました。

 「今回の選挙を外国からみたら、ちっともわけが分からず、『いったいこいつらは何をしているんだろう』と思うにちがいない。」(爆笑)。

 

 そして主旨は、

・共和党のレーガン大統領は「アメリカは山の頂にある光り輝く国だ」と言ったが、トランプは「犯罪の巣窟で、失業者があふれ、外国に乗っ取られようとしている国だ」と言っている

・トランプが言うようにアメリカは沈んでなんかいない。今でも地球上で一番偉大だし、一番強い国だ

・この大会を開催している独立宣言の街フィラデルフィアは、自由・平等と人権を重んずる国を象徴している。民主党はそれを守り、ヒラリーはそれを実行してくれる人だ

・ヒラリーはこれまでいつもブレずに仕事を堅実にこなし何事からも決して逃げない。その姿勢は私が一緒に働いた時もそれ以前も、そして将来も同じだ

・ビンラデンを追い詰めたときも決断力発揮したし、オバマケアの元を作ったのもファースト・レディー時代のヒラリーの仕事だ

・(同盟国に費用負担をさせることに関して)NATOなどの軍事同盟にプライスタグを付けるとは、トランプは何を考えているんだ。ビジネスマンらしさが裏目に出ている

・司令官として国のすべてを任せきれ、大統領に最もふさわしいのは、私でもなく、夫のビルでもなく、ヒラリー、あなただ

   この他に夫であり将来のファースト・ジェントルマンであるビル・クリントンや副大統領候補に正式指名されたティム・ケインの演説もあったのですが、私の心をわしづかみにするほどではありませんでした。

   大事なのは明日のヒラリーの受諾演説後の評価で、民主党がまとまりを示したと評価されるか否かです。民主党は少なくともサンダースがきれいな引き際を示し、党内融和を図る演説をしたことで、点を稼いでいます。

   逆に共和党はすでに分裂症状を示しているため完全にミソを付けています。それでも共和党大会直後にヒラリーとトランプの支持率が逆転したことに驚いている方も多いと思われます。これは拮抗する選挙の時のいつもの出来事で、共和党大会後は共和党候補がリードし、民主党大会が終わると今度は民主党候補がリードする。従って、両者が終わってしばらくした時点での評価が本物と言われています。                  

   次回はシリーズに戻ります。

コメント (7)
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