1990年のケルンRsoによるマーラー第1サイクルがはじまった。
今後12か月の間に今回も含め3回のツアーを行い、マーラーの交響曲全部と大地の歌を演奏するというもの。
第1サイクルの3番目の曲は第5番。どんな感じだったのかしら。
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1990年11月30日(金)
サントリーホール
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マーラー作曲交響曲第5番
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ガリー・ベルティーニ指揮
ケルン放送交響楽団
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ようやく純楽器による交響曲だ。
5番6番7番は次回ツアーの第2サイクルでまとめてやってほしかったような気もする。
今回、合唱とソリストを2番3番のために連れてきているので、この際一気に8番をやってみるのもよかったかもしれない。
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5番のシンフォニックな音楽がこのオーケストラに合うかというとそうでもない。
冒頭のトランペットと第3楽章のホルンを除けば、至難のソロ的要素はあまりない。その点思いっきりシンフォニックな世界に没頭できるはずであるが、放送交響楽団の宿命というか、なんでもおしなべて演奏できなければならず、そのような習性が身についているのか、5番は平均的なたたずまい。むしろ小振りに聴こえてくる。
第2楽章後半のブラスによる輝かしい音楽、第5楽章のゴツゴツとしたなかに飛び跳ねるような快活な音楽。トップオーケストラのようにはなかなかいかないようだ。スケール感が小さい。
あと、ブラスの3連符が不ぞろいだったりして、これまたどうもいかん。
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5番はやりつくされた曲だけに、ちょっとした瑕疵がみんな手に取るようにわかる。聴き手がわりと日常的に5番を聴けるような時代になったということ。それだけに普通のオーケストラの普通の演奏では満足しきれない。
今回のツアーでは、3番2番5番を演奏したわけだが、5番が一番印象が薄かったように思える。
おわり
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