河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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2773- ベスト・ワースト2019

2019-12-30 23:27:26 | 演奏会シーズンログ

今年は聴いた演奏会、観たオペラ、諸事情によりだいぶ減りました。

2019年 116回

2018年 174回

2017年 213回

2016年 201回

2015年 145回

2014年 146回




【オペラ・オケ伴付き歌 ベスト8】
1.ドン・ジョヴァンニ、森山開次プロダクション、井上道義、読響、東響コーラス、2019.1.27
2.ドイツ・レクイエム、ベルトラン・ド・ビリー、栗友会合唱団、新日フィル、2019.7.4
3.ロッシーニ、ランスへの旅、藤原歌劇団、園田隆一郎、東フィル、2019.9.5
4.ヘンデル、リナルド、寺神戸亮、レ・ボレアード、2019.12.01
5.ハイドン、四季、ソフィ・イェアンニン、新日フィル、2019.2.15
6.清教徒、イ・プリターニ、二期会、幸田、大澤、甲斐、ハオ、森内、神奈川フィル、2019.9.1
7.シモン・ボッカネグラ、柴田真郁、エルデ・オペラ管弦楽団・合唱団、2019.8.18
8.ヴェルディ、レクイエム、ロレンツォ・ヴィオッティ、東響、2019.1.13

【管弦楽ベスト14】
1.ブルックナー8番、井上道義、読響、2019.7.31
2.ブルックナー8番、ズービン・メータ、ベルリン・フィル、2019.11.21
3.シベリウス6番7番、パーヴォ、N響、2019.9.26
4.ベートーヴェン6番、7番、ヤノフスキ、ケルン放送響、2019.11.21
5.ドン・キホーテ、エロイカ、メータ、ベルリン・フィル、2019.11.19
6.リスト、ファウスト、ミハイル・プレトニョフ、東フィル、2019.10.20&21
7.ショスタコーヴィチ13番バビ・ヤール、テミルカーノフ、読響、2019.10.9
8.マーラー 9番、チョン・ミョンフン、東フィル、2019.2.15&20
9.コープランド、交響曲第3番、ヒュー・ウルフ、新日フィル、2019.2.7
10.ケートヒェン、王女の誕生日、マーラー7番、和田一樹、豊島区管弦楽団、2019.9.16
11.ブルックナー1番、高関健、2019.4.13
12.エロイカ、スダーン、OEK、2019.3.28
13.マーラー2番、復活、ゲーリング、森谷真理、上岡敏之、新日フィル、栗友会、2019.3.30
14.ハチャトゥリアン、交響曲第3番、ミハイル・プレトニョフ、東フィル、2019.3.15&13

【協奏曲ベスト5】
1.ラフマニノフPC3、ブロンフマン、エストラーダ、ウィーン・フィル、2019.11.6
2.ショパンPC2、ヤブウォンスキ、トルトゥリエ、新日フィル、2019.1.24
3.ジョリヴェ、赤道コンチェルト、藤田真央、秋山和慶、東響、2019.4.21
4.ショパンPC2、レミ・ジュニエ、鈴木優人、読響、2019.4.4
5.リストPC1、ダニエル・ハリトーノフ、パブロ・エラス・カサド、N響、2019.12.11

【リサイタル・室内楽ベスト6】
1.前橋汀子、バッハ 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ&パルティータ全曲、2019.12.21
2.ハイドン34、ブラームス3インテルメッツォ、ディアベッリ、ポール・ルイス、2019.10.1
3.ベートーヴェン第1番、29番、三重奏曲、近藤伸子、2019.3.5
4.ハイドン62番、ベートーヴェン32番、シューベルト21番、ヴラダー、2019.9.21
5.オール・ラフマニノフ、阪田知樹、2019.1.16
6.ベートーヴェン、ピアノソナタ31番、チャイコフスキー、18の小品、松田華音、2019.8.6

【いわゆる現代もの系・発掘系 ベスト8】
1.リーム、Ins Offene...、ツァグロゼク、読響、2019.2.22
2.メシアン、幼子イエスに注ぐ20のまなざし、スティーヴン・オズボーン、2019.10.31
3.アダムズ、ハルモニーレーレ、エド・デ・ワールト、N響、2019.5.11
4.ブーレーズ、ピアノソナタ第2番、瀬川祐美子、2019.3.23
5.トゥーランガリラ、ムラロ、ミラー、パーヴォ、N響、2019.6.22
6.井上、メモリー・コンクリート、井上道義、日フィル、2019.9.28
7.作曲家の個展Ⅱ、望月京、細川俊夫、杉山洋一、都響、2019.11.28
8.ヴィトマン、コンブリオ、ケント・ナガノ、ハンブルク・フィル、2019.11.5

【特別賞】
THE DUET 中村恵理&藤木大地、園田隆一郎、2019.12.20

【ワースト1】
林美智子、田部京子、デュオ・リサイタル、2019.2.23 トークショウじゃないんだから。

以上


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【オペラ・オケ伴付き歌 ベスト8】
1. 2667- ドン・ジョヴァンニ、森山開次プロダクション、井上道義、読響、東響コーラス、2019.1.27
2. 2709- ブラームス、運命の歌、哀悼の歌、ドイツ・レクイエム、ベルトラン・ド・ビリー、栗友会合唱団、新日フィル、2019.7.4
3. 2727- ロッシーニ、ランスへの旅、藤原歌劇団、園田隆一郎、東フィル、2019.9.5
4. 2769- ヘンデル、リナルド、寺神戸亮、レ・ボレアード、2019.12.01
5. 2671- ハイドン、四季、ソフィ・イェアンニン、新日フィル、2019.2.15
6. 2724- 清教徒、イ・プリターニ、二期会、幸田、大澤、甲斐、ハオ、森内、神奈川フィル、2019.9.1
7. 2721- シモン・ボッカネグラ、柴田真郁、エルデ・オペラ管弦楽団・合唱団、2019.8.18
8. 2658- ヴェルディ、レクイエム、ロレンツォ・ヴィオッティ、東響、2019.1.13

【管弦楽ベスト14】
1. 2715- ブルックナー8番、井上道義、読響、2019.7.31
2. 2762- ブルックナー8番、ズービン・メータ、ベルリン・フィル、2019.11.21
3. 2736- トゥール、ルーツを求めて、ニルセン、フルート協奏曲、パユ、シベリウス6番7番、パーヴォ、N響、2019.9.26
4. 2761- ベートーヴェン6番、7番、ヤノフスキ、ケルン放送響、2019.11.21
5. 2760- ドン・キホーテ、エロイカ、メータ、ベルリン・フィル、2019.11.19
6. 2747-&2748- ビゼー1番、リスト、ファウスト、イルカー、新国立劇場男声、ミハイル・プレトニョフ、東フィル、2019.10.20&21
7. 2744- ハイドン驚愕、ショスタコーヴィチ13番バビ・ヤール、テミルカーノフ、読響、2019.10.9
8. 2672-&2673- マーラー 9番、チョン・ミョンフン、東フィル、2019.2.15&20
9. 2668- コープランド、ファンフェア、クラリネット協奏曲、重松、交響曲第3番、ヒュー・ウルフ、新日フィル、2019.2.7
10. 2732- プフィッツナー、ケートヒェン、シュレーカー、王女の誕生日、マーラー7番、和田一樹、豊島区管弦楽団、2019.9.16
11. 2691- 4つの最後の歌、森麻季、ブルックナー1番、高関健、2019.4.13
12. 2686- ジュノム、ドゥ・ラ・サール、エロイカ、スダーン、OEK、2019.3.28
13. 2687- マーラー2番、復活、カトリン・ゲーリング、森谷真理、上岡敏之、新日フィル、栗友会、2019.3.30
14. 2679-&2680- スラヴ行進曲、チャイコン、ユーチン・ツェン、ハチャトゥリアン、スパルタクス・アダージョ、交響曲第3番、ミハイル・プレトニョフ、東フィル、2019.3.15&13

【協奏曲ベスト5】
1. 2756- ラフマニノフPC3、ブロンフマン、春の祭典、オロスコ=エストラーダ、ウィーン・フィル、2019.11.6
2. 2663- コジ、ショパコン2、ヤブウォンスキ、冬の日の幻想、トルトゥリエ、新日フィル、2019.1.24
3. 2694- メシアン、讃歌、ジョリヴェ、赤道コンチェルト、藤田真央、ルシュール、マダガスカル狂詩曲、イベール、寄港地、秋山和慶、東響、2019.4.21
4. 2688- ラモー、優雅なインドの国々、ショパンPC2、レミ・ジュニエ、ペトルーシュカ、鈴木優人、読響、2019.4.4
5. 2770- スペイン奇想曲、リストPC1、ダニエル・ハリトーノフ、冬の日の幻想、パブロ・エラス・カサド、N響、2019.12.11

【リサイタル・室内楽ベスト6】
1. 2772- 前橋汀子、J.S.バッハ 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ&パルティータ全曲、2019.12.21
2. 2740- ハイドン34、ブラームス3インテルメッツォ、ベートーヴェン、ディアベッリ、ポール・ルイス、2019.10.1
3. 2676- ベートーヴェン第1番、29番、三重奏曲、近藤伸子ピアノリサイタル、2019.3.5
4. 2735- ハイドン62番、ベートーヴェン32番、シューベルト21番、シュテファン・ヴラダー、ピアノリサイタル、2019.9.21
5. 2661- オール・ラフマニノフ、阪田知樹 ピアノ・リサイタル、2019.1.16
6. 2719- ベートーヴェン、ピアノソナタ31番、シューマン、謝肉祭、チャイコフスキー、18の小品、松田華音、2019.8.6

【いわゆる現代もの系・発掘系 ベスト8】
1. 2674- リーム、Ins Offene...、ブルックナー7番、ツァグロゼク、読響、2019.2.22
2. 2752- メシアン、幼子イエスに注ぐ20のまなざし、スティーヴン・オズボーン、2019.10.31
3. 2698- 皇帝、ブラウティハム、アダムズ、ハルモニーレーレ、エド・デ・ワールト、N響、2019.5.11
4. 2682- オルフェウスの庭、瀬川祐美子ピアノリサイタル vol.7 2019.3.23 ブーレーズピアノソナタ第2番
5. 2706- トゥーランガリラ、ムラロ、ミラー、パーヴォ、N響、2019.6.22
6. 2739- 伊福部、日本組曲、井上、メモリー・コンクリート、リスト、死の舞踏、アリス紗良オット、ハンガリー狂詩曲第2番、井上道義、日フィル、2019.9.28
7. 2766- 作曲家の個展Ⅱ、望月京、細川俊夫、杉山洋一、都響、2019.11.28
8. 2755- ヴィトマン、コンブリオ、エンペラー、辻井、ブラームス1番、ケント・ナガノ、ハンブルク・フィル、2019.11.5

【特別賞】
2771- THE DUET 中村恵理&藤木大地、園田隆一郎、2019.12.20

【ワースト1】
2675- 林美智子、田部京子、デュオ・リサイタル、2019.2.23 トークショウじゃないんだから。

以上


2772- 前橋汀子、J.S.バッハ 無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ&パルティータ全曲、2019.12.21

2019-12-21 23:22:29 | 編集中
2019年12月21日(土) 2pm-5:10pm トッパンホール

J.S.バッハ
無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番 ト短調 BWV1001  18′
無伴奏ヴァイオリン・パルティータ 第1番 ロ短調 BWV1002  29′
無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第3番 ハ長調 BWV1005  24′

Int

無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ短調 BWV1003  24′
無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番 ホ長調 BWV1006  20′
無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 ニ短調 BWV1004  31′

ヴァイオリン、前橋汀子


叡智と体力の限界を越えた偉業プレイ・バッハ。原理的でプリミティブなものがうごめき、怪獣が殻から出る様に鮮やかでアクティブな創造。創造的行為を目の当たりにして言葉もない。無からの創造が強烈なコンセントレーションのもと華開いていく驚愕の佇まい。自由度の大きな音楽の作り込みはヴァイオリンが成しうることが出来るものと今更ながらにこのインストゥルメントに開眼しました。粗野とスタイリッシュなものの表現の大きな幅が自由度の大きさを示している。空間がこれほど音楽的であるとは驚くばかりなり。プレイバッハの空間に徐々に熱を帯びてくる気合いの唸り声が心地よい。

集中力とテンションの高さは自ら休憩を一度と課して追い込んでいって得たものというところもあるのだろうし、それは目的では無くて手段であって、音化、音によるリアリティがぐっさりと耳にくい込んでくる様は、音楽による脳への作用と言えるほどの成功の一因になっていたと言えよう。3曲の束は巨大なものでなにやら連鎖を感じさせてくれる。音楽が繋がっていくことによる積分的効果。譜面無しで最後までやり通すちからの凄味、技術と体力の勝負、それと、最初から最後まで、最後が見えている。インテリジェンスな物言いにひれ伏すのみ。

音楽を聴くというのはこういうことだったのかと。アクティブで前進性のプレイ・バッハに気づきというよりも原点を振り返らせてもらったという話し。これも音楽のちからといたく感激したひと時でした。3時間超の長丁場、実に有意義な時間でしたね。ありがとうございました。
おわり

http://www.toppanhall.com/concert/detail/201912211400.html













2771- THE DUET 中村恵理&藤木大地、園田隆一郎、2019.12.20

2019-12-20 23:41:24 | リサイタル
2019年12月20日(金) 7pm ヤマハホール

H.パーセル*B.ブリテン/トランペットを吹き鳴らせ (duet)

R.クィルター/5つのシェイクスピア歌曲 より“恋に落ちた若者とその彼女”Op.23-3 (duet)

J.S.バッハ/「クリスマス・オラトリオ」 BWV 248 より“シオンよ、備えよ”(藤木大地)

G.F.ヘンデル/歌劇「エジプトのジュリオ・チェーザレ」 HWV 17より “つれない女め、お前の頑なさが” (藤木大地)

G.F.ヘンデル/オラトリオ「メサイア」 HWV 56 より“その時、見えない人の目は開かれ”~“主は羊飼いのごとくその群れを養い” (藤木大地、中村恵理)

W.A.モーツァルト/モテット「アヴェ・ヴェルム・コルプス」 K.618 (duet)

F.メンデルスゾーン/6つのリートより“歌の翼に” Op.34-2 (中村恵理)

F.メンデルスゾーン/3つの二重唱曲より“実りの畑” Op.77-2 (duet)

R.シューマン/「愛の春」よりの12の詩 より“まさに太陽が輝くように” Op.37-12 (duet)

E.フンパーディンク/歌劇「ヘンゼルとグレーテル」 より“夜になって眠りにつくと” (夕べの祈り) (duet)

Int

G.プッチーニ/歌劇「つばめ」より“ドレッタの美しい夢” (中村恵理)

F.レハール/喜歌劇「ジュディッタ」 より“私の唇は熱いキスをする” (中村恵理)

F.レハール/喜歌劇「メリー・ウィドウ」 より“唇は語らずとも”  (duet)

R.シュトラウス/「最後の花びら」よりの8つの歌 より “献呈” Op.10-1 (中村恵理)

G.フォーレ/「レクイエム」より“ピエ・イエズ”Op.48-4 (藤木大地)

E.チャールズ/私の歌であなたの心をいっぱいに (中村恵理)

H.マンシーニ/映画「ティファニーで朝食を」 より“ムーン・リバー” (藤木大地)

G.カッチーニ*V.ヴァヴィロフ/アヴェ・マリア (藤木大地)

A.ロイド=ウェバー/「レクイエム」より“ピエ・イエズ” (duet)

(encore)
Franz Xaver Gruber Silent Night

以上

ソプラノ、中村恵理
カウンターテナー、藤木大地
ピアノ、園田隆一郎

前半36′ 後半(アンコール含む) 44′


もはや、何も言う事は無い。あまりに美しすぎる歌の連続に天国にも上る気持ち。次から次とカウンターパンチの様に極美な歌が滔々と流れまくる。とってもとってもゴージャスなひととき。しびれて悶絶、昇天。極上すぎる。美酒の上澄みのようだ。いやいや、底も同じく美しく、舌鼓。極楽浄土ワールド堪能。

中村さんの芯極まるしなりのきいた美声、かぶりつき席にストレートに飛んでくる。素敵だ。
藤木さんは強弱、太細がおしなべて一様、裏も表もない全部表の様で余りの見事さに唖然茫然。ともに歌い口のうまさとフレーズエンドの終音の切り方が、なんというか、大家を見る思い。端の端まで行き届いた精緻な歌に惚れ惚れ。
デュエットでのハモりは絶妙なバランスで、まるで、一筋の線。しびれる。

オペラ棒オーソリティの園田さんがピアノ伴奏とはこれまた贅沢の極み。歌の呼吸を感じての入り、というよりも彼がオペラモードの入りの呼吸を作り込んでいっている。さすがとしか言いようがないのだ。歌うほうはナチュラルにスッと歌い始める。

プログラム後半、中村さんのプッチーニのつばめ、レハールのジュディッタ。藤木さんをいれたデュエットのメリーウィドウ。中村さんのシュトラウス献呈、藤木さんのフォーレのレクイエム。このシーケンス、一気の盛り上がり。夢の様な瞬間はあっと今に過ぎ去り。レハールには泣けたなあ。

贅沢悶絶ナイト。美しすぎて失神しました。ありがとうございました。
それと、トークが一切なかったのもよかったですね。歌と動きと仕草でステージを作っていく3人衆は本当に泣かせてくれるスペシャリストだなあ。
おわり

https://www.yamahaginza.com/hall/event/003831/










2770- スペイン奇想曲、リストPC1、ダニエル・ハリトーノフ、冬の日の幻想、パブロ・エラス・カサド、N響、2019.12.11

2019-12-11 23:07:03 | コンサート
2019年12月11日(水) 7pm サントリー

リムスキー・コルサコフ スペイン奇想曲   16

リスト ピアノ協奏曲第1番変ホ長調  5-4-3+5
 ピアノ、ダニエル・ハリトーノフ

(encore)
ダニエル・ハリトーノフ 幻想曲第2番Op.6  3

Int

チャイコフスキー 交響曲第1番ト短調Op.13冬の日の幻想  11-11-8-13


パブロ・エラス・カサド 指揮 NHK交響楽団


エネルギッシュで目の覚める指揮に、若々しくてフレッシュなピアノ。さえまくった内容のN響定期。この指揮者の事を知っているN響は心強い。

リストの1番コンチェルト。長身ダニエル、甘いマスクで、ホップステップジャンプの生き生き登場。もう、それだけで、若いって素晴らしいていう感じ。
リストは幾何学的、ぎこちなさとはちょっと違う角のある線の集合体を思わせる。両肘を少し狭めて両手が縦に扇子風な動き、広がりよりも垂直的な深さで刺さる。ストレートに即物風味満点。加えて、アダージョのデリカシーも萌える。対比が鮮やか。
このリストピース、一気に持って行ってしまった。有り余るヤングパワー。アンコールは自作自演で、今の彼のエネルギーの両面を見る思い。


冬の日の幻想。コントラストがよく映えるカサド。音が体に巻き付く。素晴らしく明快な指揮ですね。明確な区切りとシャープな節々、なんだが、リズム丸出しの小ロシアよりは少しばかりウェットな冬の日の幻想が得意な現音振りなのか。そこらあたりの微妙なツボもありそう。もはや、丸見えのレントゲン写真型ではあるのだが、ふくらみとかね、血がかよった白黒写真ね。才知が冴えわたる。
カサドは細川の松風の世界初演をした指揮者、それからサントリーのサマーフェスティバルでグルッペンも振っている。まあ、そちら系のオーソリティ、こわいものなしでしょうね。

ところで、冬の日の幻想、初楽章提示部の終わり展開部の頭のところに出てくるコントラバスの、いかにもチャイコフスキー風なメロディーライン、あれってなぜか、あすこに1回だけしか出てこないのよね。それから、スケルツォからトリオに移る所、フランクのシンフォニーの音型、あれも1回だけ。溢れ出るメロディーメーカーの真骨頂なのか。ああいったところもカサドさん、味わわせてくれる。



2009.8.31 サントリー

リゲティ、時計と雲

シュトックハウゼン、グルッペン

スザンナ・マルッキ(オケⅡ)
パブロ=ヘラス・カサド(オケⅠ)
クレメント・パワー(オケⅢ)
東京混声合唱団
N響

おわり








2769- ヘンデル、リナルド、寺神戸亮、レ・ボレアード、2019.12.01

2019-12-01 22:54:00 | オペラ
2019年12月1日(日) 2pm-5:35pm さくらホール、北とぴあ

ヘンデル 作曲
北とぴあ国際音楽祭2019 プレゼンツ
佐藤美晴 プロダクション

リナルド 1711年版 イタリア語上演、日本語字幕 セミ・ステージ形式 77-53-36

キャスト(in order of appearance, also voices’ appearance)
第1幕
0.魔法使い、ヨナタン・ド・クースター(黙役)

1.ゴッフレート、布施奈緒子(メゾソプラノ)
2.リナルド、クリント・ファン・デア・リンデ(カウンターテナー)
3.アルミレーナ、フランチェスカ・ロンバルディ・マッズーリ(ソプラノ)
4.エウスタツィオ、中嶋俊晴(カウンターテナー)

5.アルガンテ、フルヴィオ・ベッティーニ(バリトン)
6.アルミーダ、湯川亜也子(メゾソプラノ)

第2幕 (キャスト第1幕+)
7.シレーネ、澤江衣里(ソプラノ)
8.シレーネ、望月万里亜(ソプラノ)

第3幕 (キャスト第1,2幕+)
9.魔法使い、ヨナタン・ド・クースター(カウンターテナー)

以上とさらに
使者、ヨナタン・ド・クースター(カウンターテナー)
アクター、打越麗子、加藤典子、敷地理


寺神戸亮 指揮&ヴァイオリン レ・ボレアード


Duration
第1幕77分
Int
第2幕53分
Int
第3幕36分


大昔にメトで観たサムソンにいたく心を動かされ、それ以来ヘンデルの長丁場物はわりと観ている。リナルドはお初。楽しかったですよ。まあちょっと繰り返しが多い気もするが、当時の様式もあろうし、それに乗っていれば劇の進行書きも26歳のヘンデル、ロンドン・デビュー作にして、筆もサクサクと進んだことだろう。この手の忍耐は愉悦のうち。
それに、題名役の方とともに、アルミーダの湯川さんがとっても素敵でしたね。

幕が開く前にマイムがひとつ。幕前で下手に立ち、Rinaldoと書いてある幕をさし、スマホモードでズーム縮小を繰り返しピントを合わせる。
紗幕の有効活用も印象的。

幕が開くと中央少し奥にオケ。そのオケを縁取る大きな斜めの額縁。キーワード的なものでしょうね。捕まえて引っ張る紐替わりだったり、変装するときの鏡だったり、このフレームを色々と駆使しつつ、それぞれの行為行動を印象付けている。

まずはゴッフレート布施の長い歌から始まる。弱めで滑らか。次にリナルド、題名役カウンターテナーのデアリンデによるちょっとやわな感じのセリフが多い第1幕ではある。さすがに終幕に至っては強い役なんだなあとあとで実感。
今度はリナルドの彼女役アルミレーナ。歌うマッズーリ、もう、この種のスペシャリストという感じでただならぬ場数を踏んでいるように見受けられました。歌いなれていて全くぶれない。いい歌声。清楚な感じが垣間見えたりするところもあって、役作りもここまでくればと感心。とにかくナチュラルね。
ゴッフレート女声布施さんの弟役のエウスタツィオはカウンターテナーの中嶋、これもなくてはならぬ役どころで全体の動きを主導していますね。いやあ実に油っぽくて良い。

さて、リナルドの敵側のアルガンテ、地声のバリトンで朗々と歌い切るベッティーニ、これもまたゆるぎないピッチ、役が決まっている。周囲を見渡せば、彼が一番歌いやすいのではないか、地声で勝負できるしね。
そしてアルガンテの相手役アルミーダは湯川。もはや、完全な当たり役というかキャラクター俳優的というか、役を自分のものにしていて大胆な動き、歌、古い言い方かもしれないがモダン。モダンで舞台映えも気持ちよく満点。彼女素敵ですね。魅了されました。誰もかれも虜になるね。

ということで、第1幕で満腹。
第2幕ではシレーネのお二方が例の額の内側で歌う。あとは字幕を眺めながら楽しむことに。この幕、有名歌もあるし、内容的な手ごたえ感で言っても核ですかね。

終幕第3幕、魔法使いはちょっとだけの出番。進行の展開は派手で、ラッパが加わり、戦争モードへ、ドラマチックな鳴りが目立つようになり耳も目も離せなくなる。

合唱は無くて個々の体当たりパフォームが際立つもの。リピートは多いなあとやっぱり思うものの、それは長さを保つためにも、つまり舞台の展開を楽しむためにも歌をじっくりと楽しむためにも必要なもの。
舞台に溶け込むオケ配置、歌い手の動き出入り、アクターのモーション、照明、シックな舞台色合い。こういったところはストーリーと効果を知り尽くした美晴さんの秀逸な演出によるところが大きいでしょうね。
寺神戸さんやプレイヤーの歌手陣との動きの融合なども楽しめた。ボレアードは額縁のようにきっちりとした演奏で隙のないもの。若きヘンデルの秀作にふさわしい演奏で大満足でした。またまたヘンデルに開眼。
ありがとうございました。
おわり