2013年4月26日(金) 7:00pm みなとみらいホール
ブーレーズ ノタシオンⅠⅣⅢⅡ
ストラヴィンスキー 火の鳥 1919版
ストラヴィンスキー 春の祭典
金聖響 指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
●
素晴らしいプログラム。春の祭典初演100周年記念につられるような形で、ブーレーズまで出てきた。それもノタシオン(英:ノーテーション)。
このオーケストラの2月の定期はマーラー10番全曲版だった。今回もいいプログラム。過激に意欲的というわけではないが、在京オケもこのようなスタイルのプログラムをもっとやって欲しい。
.
冒頭のノタシオンは生音で聴くのは初めて(たぶん)。録音では知っている。
4曲中2曲目を最後に置いているのは、音響的な効果のためだろうか。このⅡはメシアンのトゥーランガリラ9曲10曲あたりとムードが非常によく似ている。刻み節はメシアンの方が炸裂的に決まっているのだが、ブーレーズは短い曲の中に凝縮させた。4曲で10分強の曲集という認識でしたけれど公演プログラムノートには18分と書いてある。ちょっと興奮気味に聴いていたので実測できませんでした。
編成は18型のように見えます。この弦群と同規模の弦以外の楽器の揃い具合に圧倒されます。編成は大規模ながら音圧に圧倒されるというより多彩な音色色彩が素晴らしく、ここらへんトゥーランガリラと少し異なるような気もします。
ブーレーズ最初期の作品、ピアノのための12曲からの編曲ということのようですが、そのオリジナルを聴いたことが無く判然としません。後年オーケストラ用に編曲して拡大したのがこの日演奏したもの。厚さと色彩がうまくミックスした、ブーレーズ閃きの一瞬。
メシアンのトゥーランガリラは80分の大作、ノタシオンは10分強、どちらも労作。でも後々聴いてみると双方一瞬にして造った曲のように思える。双方ともに天才の閃きの曲なんだろうと。
確信犯のフライングブラボーがありました。(この順番で、もう、1000回ぐらい聴きこんでいるような人かもしれませんね)。
このような曲はシチュエーションによっては、現代音楽を作曲家と同じ時代に生きている実感としての時代音楽のようにとらえて、認めて生かすような沸き立つものがあったりして、フライングブラボー自体、これはこれで違和感はありませんでした。但し半世紀遅かった。
.
ノタシオン管弦楽編曲には7番もあります。この日は演奏されませんでした。
この曲の日本語副題は見たことありません、どういう意味なんだろう?
「「音符にする」ということ」なら、なんとなくわかる。
.
●
ということで前半2曲目の火の鳥。ノタシオンとハルサイに挟まれる格好となりました。火の鳥よりもブーレーズをもう一曲欲しいような。ムードを少し変えるならメシアンでも。
この日のプログラムでは一番あまめの曲が火の鳥、一部、睡眠中の人を起こしてしまうところがあって現実、ご近所の人がビクッとしたり、心地いい曲。
.
●
プログラム後半はハルサイ
第一部16分
第二部18分
.
何回聴いてもワイルド。
二階センター席、オケの腰が重くない。
響きはわりとデッド、奥行き感をあまり感じないのはこのせいか。ティンパニがよくとおる。
全体的に筋肉質でストレート、それでいながらアンサンブルはウェットで余裕ありあり。このホールを濡らすのは大変かと思われる。
響きにきらびやかさがあり好演。地を這うような響きではなくもっと腰をグイッと上にあげたような音場が心地よい。
横に広がり過ぎのような気もしますが、規模的にはこうならざるをえない。マスとしてよりも機能分解された鳴りはこのオーケストラの力量を示している。あらためて新鮮なハルサイを楽しむことが出来ました。
指揮の金聖響は振りが非常にオーソドックスで目障り感が皆無。良い棒だと思いました。虚飾を排した棒と当夜のユニークなプログラミングに打たれた一夜でした。
ありがとうございました。
おわり