2018年6月14日(木) 7:00pm 武蔵野市民文化会館大ホール
グラズノフ 中世より 前奏曲 8
グリーグ ピアノ協奏曲イ短調Op.16 14-7+11
ピアノ、奥井柴麻
(encore)
ラフマニノフ ひな菊Op.38-3 3
Int
ストラヴィンスキー 火の鳥(1945年版) 33
(encore)
チャイコフスキー 雪姫より 道化師の踊り 4
ミハイル・プレトニョフ 指揮 ロシア・ナショナル管弦楽団
●
今回のロシア・ナショナル管の来日公演は11回。ソリストに、木嶋真優、反田恭平、牛田智大、と並ぶ中、奥井紫麻さんが、この日1回のみ出演。若いソリストのラインナップの中にあって一段と凄い2004年5月生まれ。別の方のリサイタル等でお顔は拝見しておりました。今日のピアノも楽しみにしていました。
細身ですらっとしていて腕が長くて手が大きく指を立てながら正確なタッチのプレイ。割と骨太の弾きっぷりで大胆で落ち着いた物腰。年齢は年齢としても経験がかなり豊富と見える。しっかりとした響きが魅力的なグリーグで鮮やかな佳演でした。
この作品は聴き尽くしている感があるのだが、魅力的なプレイヤーによる演奏だとあらためてじっくりと聴きたくなるもの。
カデンツァで棒を振るのをやめて立っている時のプレトニョフの背中には凄味が有りますね。ピアニストがピアノを聴く全部耳状態の背中。
オーケストラ指揮と奥井さんのアイコンタクトを含めた呼吸は見事なもので、奥井さんが信頼しきっているだろうことは、カデンツァで、一人で弾いている時でもなにかプレトニョフの背中から電波を感じているように見えるのだ。瞬間瞬間の閃きのようなピアノは素晴らしく美しくて魅了されました。素敵でしたよ。
●
二日前にイオランタの名演を聴いたばかり。この日はグリーグのコンツェルト含め通常のプログラム。火の鳥1945は昨年2017年に東フィルでも振っており、プレトニョフ好みの曲なんでしょう。フィナーレの刻みそのまま版、バッ、バッ、バッ、・・・・、間隔を置いたラッパがしつこく鳴らすもので、その後のシームレスな流れフィニッシュとの対比が鮮やかといえば言えるかもしれない。
このオーケストラはなにやら、一つのピッチに幅があるように聴こえてくる。極太といったことではなくて、太め透明といった感じ。火の鳥は完全に仕上げて置いて、そこからワイルドな表現をしているように聴こえてきて練った余裕を感じさせてくれる。味な演奏ですね。
弱音プレイから大圧力まで力みがなくて軽く持ち上がっていくようないい動きを聴かせてくれる。まぁ、プレトニョフの意のままなんでしょう。彼の棒なら全曲版も聴いてみたくなります。
1曲目のグラズノフは一昨日のオープニング以外の日全てに置いてあり露払い的なプロなのだろうと思うが、その前奏曲なかなか魅力的な作品でした。
おわり
ブログでは奥井さんの演奏についての記事をなかなか見なくて、ようやく探し当てました。
>腕が長くて手が大きく指を立てながら正確なタッチ
YOUTUBEで彼女の多くの動画を見ましたが、まさにこの一音を弾き出す指先に見入りました。
当日の演奏を思い出しました、楽しかったです。
これから日本で聴く機会が増えればいいですね、楽しみです。