河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

PC版に一覧等リンクあり。
OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

1986- ピーター・ゼルキン、ブラームスPfCon2、ナッセン、都響、2015.9.29

2015-09-30 01:25:03 | コンサート

2015年9月29日(火) 7:00pm サントリー

ナッセン  Flourish with Fireworks, op22  4′

シュエ―ンベルク 映画の一場面への伴奏音楽 op.34  9′

武満徹  精霊の庭  15′

Int

ブラームス  ピアノ協奏曲第2番変ロ長調 op.83  18′+9′、12′+10′
  ピアノ、ピーター・ゼルキン

オリヴァー・ナッセン 指揮 東京都交響楽団


シェーンベルクの音色はもう少しグレーなほうが好み。

後半のブラームス、ゼルキンは、明るさとか暗さとか力強さとかそういったものはもういいから静かに弾かせてくれよという感じ。そんなものはメインテーマじゃなくて、きっと別の境地に達したのだと思う。
フレーズの頭を、こめて伸ばし、逆にお尻の方は縮め気味、癖のようだ。

第4楽章の流し方のコツはドイツ系指揮者の方がよくわかっているような気がする、トップ旋律ではなくハーモニーで流れを作っていく感じですよね。ナッセン棒の第4楽章は全く流れていなかったです、ゼルキンの境地に合わせたわけでもなかったと思いますけれど。


ナッセンをみて、スーパーのかごを押すプレヴィンを思い出した人はいないと思いますが、ナッセンに今必要なのはダイエットでしょうね。

あと、ホルン1番3番でうまさ加減が違うレベル、まして音色の違いがかなり。どちらが先に卒業するのかという問題もあるのでプリンシパルに合わせていくんでしょうけど問題ありです。1番2番は音色あっていますね。
おわり


1985- ドン・ジョヴァンニ、パッパーノ、ロイヤル・オペラ、2015.9.20

2015-09-20 20:49:44 | オペラ

2015年9月20日(日) 1:30-5:00pm NHKホール

ロイヤル・オペラ プレゼンツ
モーツァルト 作曲
カスパー・ホルテン プロダクション
アントニオ・パッパーノ、コンダクティング&フォルテピアノ

ドン・ジョヴァンニ 全2幕

序曲 6′
第1幕 83′
Int
第2幕 77′

キャスト(in order of  appearance)
1.レポレルロ、  アレックス・エスポージト
2.騎士長、  ライモンド・アチェト
3.ドンナ・アンナ、  アルビナ・シャギムラトヴァ
3.ドン・ジョヴァンニ、  イルデブラント・ダルカンジェロ
4.ドン・オッターヴィオ、   ローランド・ヴィラゾン
5.ドンナ・エルヴィーラ、 ジョイス・ディドナート
5.侍女、 チャーリー・ブラックウッド
6.ツェルリーナ、  ユリア・レージネヴァ
6.マゼット、  マシュー・ローズ

ロイヤル・オペラ合唱団
ロイヤル・オペラハウス管弦楽団



序曲途中で幕が上がる。
白から黒への色調感のプロジェクション・マッピングがメインの演出。
1階2階の建物で回り舞台。奥行き感はあまり感じられない。
新国立の奥行きのあるステージではもう少し何かできるのではと、ちょっと物足りなく感じる。
その回り舞台方式、回る壁にマッピングされた窓とか模様が映ってあって、回っているときも壁に描かれたように固定している。つまり一緒に動く。このシンクロナイズはすごいですね。
それから、主の館に漂う女性たち、鉛筆下書きのような色彩感で希薄な存在をよく表現している。
色々あるが、舞台は洗練されていますね。シックにおさまっていてバタ臭さがまるでないもの。さすがと思います。

パッパーノの指揮ですすむオーケストラはマッピングとこれまたよくシンクロナイズしています。先に進むにつれて締め付け度が増していきまして、最後は割とあっけなくエンド。
オケサウンドは比較的柔らかで、重心も上にある。スタンディングで男メンバー多いと知りました。重い感じは無いですね。


ビラソンは体調不良をおして出演という話でしたが、そのようなことは感じさせなかったですね。
1幕終幕に向かう7重唱、その前のエリヴィーラ、アンナとの3重唱。それから2、3ソロでの歌、なんとか踏ん張ったと思います。どうしても、タイトルロールとジョイスに目がゆきますしね。
重唱アンサンブル良く、独唱は聴かせてくれた。それでも、まぁ、誰か1人全力投球するとみんなつられて全員全力投球となる現象は次回いつの日かということで。

それから、あのフルヌードさん。あちらのお国では得意の、あまり脈絡のないところで興味をつながせるあたりの違和感のなさ。洗練されておりますね。
あのシーンはダルカンジェロさんへの拍手がとぎれましたね。お相手をあのまま拍手の間中さらしてはおけないという日本人的な聴衆感覚を感じました。

それから演出でもうひとつ印象的だったこと、それは石像の頭はドン・ジョヴァンニに割られてしまう。これの意味はいまだ不明です。

豪華キャストで演出も含め洗練度の高い充実した内容でした。
ありがとうございました。


(付記)
毎度のことですが、今回のROの2500円プログラムについて、価格不相応のチープな内容でした。プログラムを売るという発想もうやめてもらいものです。
おわり


1984- ラフマニノフPfCon3、イェゴン、グノー、ミサソレ、藤岡幸夫、日フィル、2015.9.19

2015-09-20 00:55:44 | コンサート

2015年9月19日(土) 6:00pm みなとみらいホール

ラフマニノフ  ピアノ協奏曲第3番ニ短調 19′11′15′
  ピアノ、ソヌ・イェゴン
(encore)
メンデルスゾーン(リスト編曲)  結婚行進曲 5′

Int

グノー  聖チェチリア祝日のためのミサ・ソレムニス 48′
 ソプラノ、半田美和子
 テノール、鈴木准
 バリトン、浅井隆仁
 日本フィルハーモニー協会合唱団

藤岡幸夫 指揮 日本フィルハーモニー交響楽団


せっかくの好物のラフマニノフの3番コンチェルト。残念ながら飛んでしまいました。平板で、無意味なリタルダンド、テンポの緩み、指揮者にまで感染。

グノーのミサソレ。
オケはたぶん14型でベース+1、バスドラの音がど迫力、オルガンも空気が揺れる。
合唱はプログラムに載っている人数を数えました。
ソプラノ81人
アルト80人
テノール30人
バス39人
合計230人でした!
巨大。

静けさも激しさも、ややウエットでシンプルな美しいハーモニーが滔々と流れる。
藤岡の明確なアウトライン棒が巨大コーラスを息づかせるお見事なフレーム感覚です。
歌の大海の中にいるようなP席、バックからはオルガンが!
グノーの溢れる歌、堪能しました。
ありがとうございました。
おわり


1833- トリスタンとイゾルデ、シルヴァン・カンブルラン、読響、2015.9.13

2015-09-13 23:47:23 | オペラ

2015年9月13日(日) 3:00-8:15pm サントリー

ワーグナー  トリスタンとイゾルデ (コンサートスタイル)

キャスト (in order of voice’s appearance)
与儀巧、テノール         若い水夫、舵手、牧童
レイチェル・ニコルズ、ソプラノ  イゾルデ
クラウディア・マーンケ、アルト  ブランゲーネ
石野繁生、バリトン        クルヴェナール
エリン・ケイヴス、テノール    トリスタン
アンドレ・モルシュ、バリトン   メロート
アッティラ・ユン、バス      マルケ王

合唱、新国立劇場合唱団男声合唱

シルヴァン・カンブルラン 指揮 読売日本交響楽団

(タイミング)
前奏曲  10′
第1幕  69′
Int 30′
第2幕  75′
Int 30′
第3幕  76′
拍手9′

(ポジション)
メインキャストはオーケストラの前で歌唱、都度出入り。
状況に応じて他キャスト含めオルガンの位置で歌う。
第1幕終結のファンファーレのバンダはLA席奥付近で、バンドマスター付きの吹奏。
第1幕のみの合唱はステージ奥、ティンパニを中央に挟んで横並び。
第2幕の角笛ファンファールはP席両扉開けて通路で吹奏。
第3幕のイングリッシュホルン、トランペットのソロはオルガン位置。

キャストに動きのあるオペラ風のものではなく、純粋なコンサートスタイル。歌の役目が終わればイゾルデの絶唱に関係なく最後は早めに退場のトリスタンといった出入りはあるが。椅子は無い。ブランゲーネのマーンケのみ譜面あり。

先週の1回目の公演はこちら 2015.9.6


先週と概ね同じ感触です。
先週ひどいフラブラがあってみんな痛い目にあったせいかどうか、この日は、愛の死のエンディングのところで照明を落とし、少し経ってから明かりを戻すという策でフライングを阻止。涙ぐましい努力と成果があったわけです。先週は本当にひどいものでしたからね。

歌い手ではこれから声がさらに黒光りするであろうテノールのケイヴス、その四角四面度の高さもタイプです。
ソプラノのニコルズは裏表がなく、あわせて濃淡も同じ感じ。スキル的な乱れは無く、一瞬ドールみたいな現代的感覚を感じさせてくれる。
脇役のラインナップも充実した歌でした。
特に第3幕での石野クルヴェナールの感情の入れ込みが凄い。あの細身のどこからあれだけの声が出てくるのか、既に深手の傷を負っているトリスタンにはこたえる声だろうね。

カンブルランの歌い手への指示は動きの小さいものですけれど完璧ですね、オーケストラル・コンサートと同じく神経がゆきとどいた棒です。
それから、響きへのこだわりはかなりのもので、自分のイメージしているサウンドを完全に持っていて特にトリスタンの寂寥感はお見事。また各幕、爆発への熱狂に対するコントロール、これも冷静にして英知に優れている。それでも、手前から先のほうに腕をグワグワ伸ばすようにして振りまくってるときのカンブルランは、だいぶエキサイトしているところもありました、汗まみれで。

カンブルランの言では今回のトリスタンの2幕300小節越えのカットを全て復元。
せっかく字幕があるのですから、「ここからは慣例の300小節カット部分です」の目印表示は無理としてもなにかテロップ入れるとか(わがままが過ぎるか)
でも、これで2幕75分ですから、結構な猛速ですね、いくらコンサートスタイルとはいえ。

先週は2階センターで全部見回し、今日はLBにすわったのでオルガンポジションよく見えました。
第3幕、船が来た信号のホルツトランペットよく見えました。それからイングリッシュホルンも。両プレイヤーがうまい。

読響のやるオペラってやっぱりワーグナー。三角錐のオケ音場は安定感とド迫力ですね。

あと、
惚れ薬はペットボトルにストローで飲むという新時代が到来したのかもしれない。

2週連続で楽しみました。ありがとうございました。
おわり


1832- マーラー3番、ジョナサン・ノット、東響、2015.9.12

2015-09-13 13:43:51 | コンサート

2015年9月12日(土) 6:00pm サントリー

マーラー  交響曲第3番ニ短調  32′10′17′、10′+5′+27′

メッゾ、藤村実穂子
児童合唱、東京少年少女合唱隊
女声合唱、東響コーラス

ジョナサン・ノット 指揮 東京交響楽団


児童合唱はRD席通路の奥側、女声合唱はP席。
合唱とソロは第2楽章のあとに入場。

締まった演奏でした。天地に音が流れていく感じではなくストレートでドライな響きの強調。グワーンと音の流れがホールに見えるような演奏ではない。
コントロールが少し見えましたね。

フライング・ブラボーをするような曲ではないと思いますが、ブラッ、で止めたフラブラ屋は多少の情けを持っていたという話か。ぶち壊し屋も少しだけ抑制心を持っていたわけです。
おわり


1831- ラフマニノフpfcon3、ルガンスキー、ドヴォルザーク8番、広上淳一、N響、2015.9.12

2015-09-13 13:31:55 | コンサート

2015年9月12日(土) 3:00pm NHKホール

ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番ニ短調 18′11′15′
  ピアノ、ニコライ・ルガンスキー
(encore) ラフマニノフ プレリュード嬰ト短調op32 第12曲  2′

Int

ドヴォルザーク  交響曲第8番ト長調  11′11′7′10′


広上淳一 指揮 NHK交響楽団


ルガンスキーの弾くラフマニノフ3番コンチェルト。両手の縦の振幅がポーンポーンとかなり上のほうまであがる。ダメ押し的な鍵盤への深押しは無いと思われます。ポーンポーン、スーッスーッと気持ちよく弾いていく。広上の圧倒的なインテンポともども幾何学模様の峻烈な演奏でした。ビューティフル!

ひところ多くの指揮者に見られた耽溺ずぶずぶテンポ演奏、最近あまり聴かれなくなってこの日の広上のような演奏が増えてきたのかしら。いいことのような気がする。
おわり


1830- ナタリー・シュトゥッツマン、新日本フィル、2015.9.11

2015-09-11 23:03:46 | コンサート

2015年9月11日(金) 7:15pm サントリー

武満徹 弦楽のためのレクイエム  7′

シューベルト  交響曲第4番ハ短調  9′9′3′7′

Int

ビゼー  アルルの女 第1組曲、第2組曲  16′ 18′


ナタリー・シュトゥッツマン 指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団


シュトゥッツマンと言えば歌ですが、指揮もどこかで見た記憶がある。演奏会丸ごとではなく断片を振ったものだったような気がする。

この日のコンサートは、少し淡いプログラムながら丸ごとの棒。
ナタリーのメリハリ、コントロールの効いた棒に耳が洗われる。ていねいさと大胆さが次々と。
武満のモノローグ風な歌いこみ。中間部の過激な雄弁さ。見事な響きを聴かせてくれました。
シューベルトはがっしりとした骨格、筋肉質な旋律、締まった演奏で手ごたえ十分。聴きごたえありました。
アルルの女の深い沈み込んだ歌。味わい深く。あらためていい曲と再認識。

このオケに要るのはやっぱりトレーナーの才のある指揮者。
さまがわりでした、本当に。
おわり


1829- トリスタンとイゾルデ、シルヴァン・カンブルラン、読響、2015.9.6

2015-09-06 22:47:08 | コンサート・オペラ

2015年9月6日(日) 3:00-8:15pm サントリー

ワーグナー  トリスタンとイゾルデ (コンサートスタイル)

キャスト (in order of voice’s appearance)
与儀巧、テノール         若い水夫、舵手、牧童
レイチェル・ニコルズ、ソプラノ  イゾルデ
クラウディア・マーンケ、アルト  ブランゲーネ
石野繁生、バリトン        クルヴェナール
エリン・ケイヴス、テノール    トリスタン
アンドレ・モルシュ、バリトン   メロート
アッティラ・ユン、バス      マルケ王

合唱、新国立劇場合唱団男声合唱

シルヴァン・カンブルラン 指揮 読売日本交響楽団

(タイミング)
前奏曲  10′
第1幕  70′
Int 30′
第2幕  76′
Int 30′
第3幕  75′
拍手9′

(ポジション)
メインキャストはオーケストラの前で歌唱、都度出入り。
状況に応じて他キャスト含めオルガンの位置で歌う。
第1幕終結のファンファーレのバンダはLA席奥付近で、バンドマスター付きの吹奏。
第1幕のみの合唱はステージ奥、ティンパニを中央に挟んで横並び。
第2幕の角笛ファンファールはP席両扉開けて通路で吹奏。
第3幕のイングリッシュホルン、トランペットのソロはオルガン位置。

キャストに動きのあるオペラ風のものではなく、純粋なコンサートスタイル。歌の役目が終わればイゾルデの絶唱に関係なく最後は早めに退場のトリスタンといった出入りはあるが。椅子は無い。ブランゲーネのマーンケのみ譜面あり。


第3幕の最終シーンは舞台のオペラだと急に人の出入りが多くなりばたばたとして、ちょっと騒々しくて、また、愛の死への移動は少し性急で、ストーリー的にはマルケがはいってきた後もうひとひねり(10分ぐらい)あってから、愛の死が始まるのが劇の流れとしてはバランスするような気がしますが、このようなピュアなコンサートスタイルだとそこらへんのわだかまりが無く、これはこれでうまくバランスしていたと思います。
カンブルランの棒だと愛の死への移動が句読点をみせず、すーっとはいっていく、シームレスにつながっている感じの演奏でした。

全体的に、カンブルランの冷静緻密な棒により、ステージ上のオーケストラがピットとはひと味もふた味も違う明瞭な響きとなり、巨大室内楽サウンドを彷彿とさせ、既にそれだけで快感の音響空間となる。
メインキャストはオーケストラの前で歌うが、声がかき消されることは無い。昔あったような肉厚のパワー歌唱とは異なる精緻なあたりに力点を置いたもので、オーケストラの響きの中、明瞭に聴こえてくる声は、カンブルランの棒によるところが大きいのだろう。精緻なオケと歌、これ以上無く最良のかみ合わせを聴くことが出来ました。
ストーリーのドラマチックなところやターニングポイント的な箇所も思わせぶりな強調が無く、自然な流れの中、滑らかな過熱感が心地よい。しだいに、なんだか、ストーリーは横に置いて、みたいな感興となる。
キャストは粒ぞろいで歌い口としては指揮者の意図を明確に反映したもので、ずらし、やつし、の無いもの。かと言って角張っているわけでなくて喉の滑らかな動きを感じさせてくれる。キャスト変更によるレイチェルは、過激でドラマチックなものはほぼ皆無、均質で、ピッチのブレ無し、裏表の無いイゾルデ、ひ弱感はありません。いざとなれば押し倒しそうな気配。
相手のケイヴスは、几帳面で正確性で上回り、レイチェルと同じ方向感ながらより四角四面度がまさっている。存在感はレイチェルがあるが、別の魅力があるテノールと感じました。
ベクトルが揃っている二人の歌い手による斉唱、重唱はまとまりのある美しいものでした。
オーケストラも含め、乱れない愛です。

歌い手全般では、脇が素晴らしく良い。
コンサートスタイルにおけるコンディションの良さと言う利点が最大限に生きたもので、冒頭の与儀の歌、曇りの無いもので魅力的な声質でクリア、これまた正確性を強調した歌いぶりですが、最初の一声の安定感はこのオペラには欠かせないもの。
ブランゲーネのマーンケ、クルヴェナールの石野、この二役のはまり具合も良いもの、メロートのモルシュを引っ張っていくような、良さが良さを生む相乗効果でみなさんさらに良くなる。
日本勢の与儀、石野の安定感ある清唱は本当に気持ちの良いもので、過度なドラマチック性を意識的に排した様な歌い口で、それに替わる明瞭な響きはコンサートスタイルの良さもあるが、だましのきかない実力の高さをまじまじと垣間見ることとなりました。
一人譜面台の譜面を見ながらの歌唱となったマーンケは、余計な心配をさせることも無く、というのも先般、ノット東響のパルジファルのクンドリを歌った人のひどさを、一瞬脳裏をかすめる譜面台雰囲気にあらぬ危惧感を抱いたりしたのは良からぬ邪念ということで。
マーンケは柔らかく、こなれた歌で一人まろやかソフトな感じがありました。
一番拍手の多かったマルケのユン、彼はパワーなオペラ歌唱を思い出させてくれましたが、カンブルランの選択のなかではちょっとミスキャストとまではいかないが、場違い、彼の場はバイロイトかと思われます。テオ・アダムの気品が忘れられない。
いずれにしましても、みなさん良質で粒ぞろいの歌で(オペラの内容を上回るよさで)、満足。


トリスタンとイゾルデが第1幕でペットボトルの飲料水を飲みつつ歌うその姿は、惚れ薬かと思わせるような雰囲気があり苦笑を誘うところもある。振付が無いコンサートスタイルの為、目立つ行為ではある。
カンブルランの棒はワーグナーの息の長いシンコペーションそれに、スタッカートが雄弁、また歌の伴奏での抑えた、這うような響きがこれまた美しい。ティンパニの連続する弱音は既に1幕ファイナルシーンを感じながらの棒のように聴こえてくる。
この第1幕最終シーンは合唱が加わり、ブラスのファンファーレと、ワーグナー的カタルシスが頂点に達するところ。出番がここしかない男声合唱、張りのある声で動きに統一感があり高性能な歌でした。
また、P席寄りのLA席奥に配したバンダにはバンドマスター付きで想定外のシチュエーションでしたけれど、カンブルランとしては正確性を重視したのだろうとあとで思いました。
ここのファンファーレの刻み、日本人による演奏の場合、いくら速度を上げてもきっちり合わせてくるもので、練習のたまものと言うよりむしろ日本人のDNAを感じさせる。随分昔の日本ワーグナー協会創立10周年記念公演のトリスタンを思い出しました。
このようなカタルシスの中、第1幕がめでたくエンド。

第1音から魅惑的で忘れられないハーモニーとシーンにマッチした第2幕の出だし。すぐにぐっとひき込まれます。
滴る夜の歌は濡れずにドライな趣き、方針だからこうなります。無理に伸縮自在な流れとしないカンブルランはやっぱり、ワーグナーどっぷりというわけではなく、現音オペラ志向というかそちらの方針でワーグナー立ち向かっている。
最後のファイトのあたり、コンサートスタイルだと状況がみえず音だけ聴いていると割と静かだなぁなどと思ったりもしました。ドラマ性を横目に見ながらの棒ですしね。

終幕の心の荒涼感、寂寥感はオーケストラによって響きが完全に醸し出され、舞台は要らない。このオーケストラと指揮者の結びつきがよくわかる漆喰をワイプアウトしてなお一つになる見事なものでした。
オルガン位置でのイングリッシュホルンとトランペットは素晴らしいソロで、サウンドもよく通る。秀逸な演奏でコンサートスタイルの美演を最後まで楽しみ味わうことが出来ました。
バランスよく完成された作品として堪能できました。
ありがとうございました。
おわり


おまけ、
第1幕から最後までフライングブラボーをやり通したクレイジーなかたは、これはこれでエポックメイキングな立振舞いで、自覚症状皆無の自身の存在と恥の上塗りここに極まれりで、あすこまでして目立つフライングを繰り返す脳内回路は何なのかと思うに、精神病院を無くしてほしくないという主張を自らの行為で示している、その意味では自覚症状有りで、なるほど最初の一声だけであとは静かにしている病原体保有自覚症状有りの「意識された感動表現」であって、本当に始末におえないタチの悪いマリグナントチューマーそのものと言える。

おわり




1828- ミヨー、ベートーヴェン、イベール、別宮、山田和樹、日フィル、2015.9.5

2015-09-06 12:12:26 | コンサート

2015年9月5日(土) 2:00pm サントリー

ミヨー  世界の創造  18′

ベートーヴェン  交響曲第1番ハ長調  9′7′4′5′

Int

イベール  アルト・サクソフォンと11の楽器のための室内小協奏曲 4′4′+4′
  アルト・サクソフォン、上野耕平

別宮貞雄  交響曲第1番  8′12′6′8′


山田和樹 指揮 日本フィルハーモニー交響楽団


素晴らしいプログラム・ビルディング。

1曲目のミヨー、世界の創造、これが割と、思いの外、ダークでのっぺりした響き。生で聴くと色々な面が聴こえてきてそれはそれでいいことではあります。

ベートーヴェンは指揮者の意向により、16型配置の倍管編成。
巨大編成の1番で、目をつむると不揃いが聴こえてくるが指揮者のしたいこと、意図はこんなところにはないはず。
1楽章提示部リピート。2楽章、ソロのセカンドヴァイオリンから順次ソロで一人ずつ入るユニークなストリング。シンコペーションはスタッカート気味で。この楽章が指揮者の主張が一番濃い。
全般にわたり、短い音符はもたつきがなく動き回る。爽快感までにはいたらない。巨大編成の小刻み感は迫力のあるものです。

イベール、
サックスの音色は突き刺さる感じが無くて包容感がある響き。滑らかに滑るような演奏で、細かいニュアンスは自然ですね、作為的なところを感じさせない。

別宮貞雄の1番は、同時代の作曲家達の作品とは少し異なっている。
角張った所があまりなく殊の外柔らかい出だしで始まる。当時シンフォニーの形式感は日本のどの作曲家も固定観念的にあったとあらためて思わせてくれるが、最後は少し思わせぶりな主題回帰で弱音終止。
ヤマカズと日フィルは肩ひじを張らず心からの共感棒と演奏でした。

多彩でロングなプログラム、最大級の評価を!!

ありがとうございました。
おわり




1827- バルトークPfCon3、小菅優、青ひげ、デリック・イノウエ、新日フィル、2015.9.4

2015-09-05 11:27:19 | コンサート

2015年9月4日(土) 7:15pm トリフォニー

バルトーク  ピアノ協奏曲第3番Sz.119(1994年改訂版) 7′11′8′
  ピアノ、小菅優
(encore)
バルトーク ミクロコスモスより、ハエの日記 1′

Int

バルトーク  青ひげ公の城  58′
  青ひげ、アルフレッド・ウォーカー
  ユディット、ミカエラ・マーテンス


デリック・イノウエ 指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団


お初で見る指揮者です。手堅い紳士風味。
バルトーク・プログラム。理想的なプログラミングです。

小菅さんのバルトーク、音の一つ一つがぶれない正確なプレイ。それよりもなによりも、全体像がよく見えていると言いますか、一見、縦の響きの強調に集中しているように見えながら、その実、バルトークの歌謡性を濃く感じさせてくれるもので、流れと構築感、その両方がビビッと、くる。
作品と演奏者、両方ファインな納得の演奏!

後半の青ひげ、前回聴いたのが2013インバル、その前は2011デュトワ。割と顔を出すプログラムで、聴く方としてもだいぶなじんでいる。
ステージ後方、右から左まで横長にフル活用、右サイドに花を置いたテーブルがアクセント。左から入場。
マッシブサウンドとドラマチックな盛り上がり、角を過度に強調せず、光と影のコントラストよりもむしろ歌謡性を前面に押し出したイノウエ棒です。
気がつけば、花園領地あたりから完全なオペラ棒(オペラだが)、さばきが素晴らしく乗ってくる。青ひげシンガーがもう一押しあればさらによし。
7個の扉のシーン区切りが必ずしも明確でないので、せっかく字幕があるのですから、節目のところでテロップ活用すればシーンのイメージがさらに湧くような気がしました。1番目2番目・・・・と出ればわかりやすいですね。
張り詰めたオペラで、始まったらあっという間に終わる感じ。
良い内容でした。
ありがとうございました。
おわり


1826- ドヴォルザーク4番、下野、都響、2015.9.2

2015-09-03 01:24:13 | コンサート

2015年9月2日(水) 7:00pm 東京文化会館

コダーイ  夏の夕べ  19′

グリーグ  組曲「ホルベアの時代から」 22′

Int

ドヴォルザーク  交響曲第4番ニ短調  12′12′5′9′

下野竜也 指揮 東京都交響楽団


ドヴォルザークはじわっとくるもので、思うに彼の場合、手垢にまみれていないこのような曲を自分の理論で構築できるという利点を最大限生かすことができる能力を持っている。
土着的歌謡性といったようなものはとりあえず横において物理的な素晴らしさを堪能できる。
第2楽章はもはや(悪いこともしていないのに)贖罪したくなるような演奏でした。
おわり