河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

PC版に一覧等リンクあり。
OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

2252- ベスト・ワースト2016

2016-12-29 16:55:24 | 音楽夜話

今年2016年は201回通いました。下記リンクに一覧があります。

2015-2016シーズン(一覧その1)
2015-2016シーズン(一覧その2)
2016-2017シーズン(途中)

今年はいい演奏会がたくさんありました。ベストのほうはすぐに溢れてしまいましたので、神棚ランクを設けました。

【神棚】
バレンボイム/ベルリン国立 ブルックナー全集
バレンボイム/ベルリン国立 モーツァルトPC選集20,22,23,24,26,27
【神棚ab順位】
5-8-7-8m-9-4-6-1=2=3


【オペラベスト16】
1. フィガロの結婚、ムーティ/ウィーン国立 (11.10)
2.ラインの黄金、ティーレマン/ドレスデン国立 (11.20)
3.ナクソス島のアリアドネ、ヤノフスキ/ウィーン国立 (10.25)
4.ドン・カルロ、ゲルギエフ/マリインスキー (10.12)
5.ジークフリート、ヤノフスキ/N響 (4.7, 4.10)
6.サロメ、新国立、エッティンガー/東響 (3.6, 3.12)
7.蝶々夫人、ミュンフンチュン/東フィル (7.22, 7.24)
8.ワルキューレ、新国立、飯守/東フィル (10.2, 10.5, 10.8)
9.オネーギン、ゲルギエフ/マリインスキー  (10.15)
10.イェヌーファ、新国立、ハヌス/東響  (2.28)
11.ジークフリート、神々の黄昏 抜粋、インキネン/日フィル  (9.27)
12.トスカ、藤原歌劇、柴田真郁/東フィル (1.31)
13.オランダ人、沼尻/神奈川フィル (3.19)
14.セビリアの理髪師、新国立、アンジェリコ/東フィル (12.7)
15.トリスタン、コボス/読響 (9.11, 9.18)
16.コジ、ノット/東響  (12.9)


【管弦楽ベスト18】
1.ロメジュリ、前奏曲、ティーレマン/ドレスデン国立 (11.23)
2.ブルックナー7番、メータ/ウィーン・フィル (10.10)
3.ブルックナー7番、MTT/サンフランシスコ響 (11.22)
4.シューマン2番、エルガー2番、アシュケナージ/N響 (6.22)
5.レニングラード、テミルカーノフ/ペテルブルグ (6.20)
6.ショスタコーヴィッチ10番、ロジェストヴェンスキー/読響  (9.26)
7.ドンジョ序、海、シュベ8、メータ/ウィーン・フィル  (10.9)
8.ショスタコーヴィッチ6番、15番、ラザレフ/日フィル  (5.21, 7.8, 7.9)
9.田園、ミュンフンチュン/東フィル  (9.23)
10.コリオラン、運命、皇帝、辻井&オルフェウス  (6.15)
11.マーラー8番、ハーディング/新日フィル  (7.1, 7.2, 7.4)
12.ブルックナー8番、ノット/東響  (7.16, 7.17)
13.プロコフィエフ、十月革命、ゲルギエフ/マリインスキー (10.11)
14.ドヴォルザーク、スターバト・マーテル、ヘンヒェン/新日フィル  (10.21)
16.ワルソー、ルル、ブラレク、ノット/東響  (4.24)
17.ラフマニノフ2番、ラザレフ/日フィル (11.19)
18.ショスタコーヴィッチ8番、インバル/都響 (9.20)

(15位、欠番)

 

【協奏曲ベスト6】
1. ショパン、PC2、ユジャ・ワン、MTT/サンフランシスコ響 (11.22)
2. ラフマニノフ、PC3、河村尚子、山田/バーミンガム市響 (6.28) 
3. ラヴェル、PC、グリモー、ヴェンゲーロフ/東フィル (5.19)
4.ショスタコーヴィッチ、PC1、ユジャ・ワン、MTT/サンフランシスコ響 (11.21)
5.ブラームス、PC1、ブッフビンダー、メータ/ウィーン・フィル (10.7)
6.シルクレット、トロンボーン協奏曲、中川英二郎、秋山/東響 (8.11)


【リサイタル・室内楽ベスト10】
1.ベートーヴェン、ピアノソナタ29、ユジャ・ワン (9.4, 9.7)
2.展覧会の絵、他、ガヴリリュク(7.14)
3.ブラームス、ピアノソナタ2、グリモー (5.16)
4.ベートーヴェン、ピアノソナタ1-24-17-21-32、小菅優 (10.14)
5.シューマン、ピアノソナタ2、他、マスレエフ (6.10)
6.鳥のカタログⅠⅢ、ピエール=ロラン・エマール、(5.3, 5.5)
7.モーツァルト、ヴァイオリンソナタ、イブラギモヴァ&ティベルギアン (3.25)
8.バーバー、ピアノソナタ、野尻多佳子 (3.5)
9.ベートーヴェン、ピアノソナタ30、他、岡田博美 (11.12)
10.ベートーヴェン、ピアノソナタ、8-21-14-23、清水和音 (12.11)


【現代もの系ベスト12】
1.グラス、VC2、マフチン、ジア/マカオ管 (5.3)
2.リンドベルイ、PC2、小菅優、板倉/都響 (8.29)
3.柴田南雄、ゆく河、他多数、山田和樹/日フィル、東混、(9.2, 9.3, 9.6, 11.7)
4.グラス、エチュード、滑川真希、久石譲、フィリップ・グラス (6.5)
5.フェラーリ、もしピアノが女体、佐藤紀雄/ノマド (8.27)
6.リゲティ、アヴァンチュール、他、杉山洋一/日本現代音楽協会 (12.11)
7.ライリー、トーキー、カーター、タワー、ライヒ、演:有馬 他、(3.15)
8.リゲッティ、VC、神尾真由子、板倉/東京シンフォニエッタ (8.25)
9.ベリオ、セクエンツァ1-2-6-7-9-12、プレイヤー多数、(4.14, 4.15)
10.ブーレーズ、主なき槌、半田、板倉/東京シンフォニエッタ (12.7)
11.ルツェルンから、佐藤/アンサンブル・ノマド (3.4)
12.細川俊夫、旅Ⅶ、ベルワルツ、アンサンブル・レゾナンツ (12.15)

【ワースト3】
1.ワルキューレ、フィッシャー/ウィーン国立(11.9) ダメ演出ダメオケ演奏ダメ価格
2.ブーレーズ、弦楽四重奏のための書 (4.14, 4.15) 演奏日分断ダメポリ企画
3.パリ管 (11.24, 11.25)  華無し

以上


2250- バルビローリ、ニューヨーク・フィル時代、オリジナルフォト

2016-12-28 11:28:10 | NYP

この写真は、1939年、ニューヨーク・フィルの全米ツアー(含むカナダ)の際、寄ったボルチモアでの公演をオンエアするよと、CBSがオケに伝えた連絡メモに一緒になっていたもの。
ですので、だいたい当時の写真です。

 

バルビローリのニューヨーク・フィル音楽監督時代は1936-1941。そんなに長いものではありませんけれども濃い時代。この時代の演奏は多数ブロードキャストされていますので、音源は結構残ってますね。バルビローリの音源CDも色々と出ています。

CBS(コロンビア・ブロード・キャスト)は、日曜の夕方3時から4時55分のWABC-CBSで放送の旨あります。

このときのツアーは、1939年11月20日から12月3日にかけて行われ、11月29日を除いて13公演敢行(含むカナダ3公演)、指揮は全てバルビローリ。
ツアー二日目の11月21日はメリーランド州のボルチモアでの演奏。プログラムは次の通り。

1939年11月21日(火) リリック・シアター、ボルチモア、メリーランド
ウェーバー 魔弾の射手、序曲
レスピーギ ローマの泉
ワーグナー マイスタージンガーより抜粋
Int
ベートーヴェン 交響曲第7番イ長調

ジョン・バルビローリ 指揮 ニューヨーク・フィル

当地のボルチモア・サンを読めれば、状況がよりわかることと思います。
ニューヨーク・タイムズでは前日20日の初日のことを伝えています。14都市と書いておりますが、29日はお休みで実際は13都市のようですね。
初日の20日、ペンシルヴェニアのスクラトン、メイソニック・テンプル、ここからツアー開始とあります。ツアー後の定期についてもふれて言います。12月末までの公演予定ですね。


 


2248- 第九、フルシャ、都響、2016.12.26

2016-12-26 23:56:44 | コンサート

2016年12月26日(月) 7:00pm サントリー

ベートーヴェン 交響曲第9番ニ短調 15′14′13′24′

ソプラノ、森谷真理
アルト、富岡明子
テノール、福井敬
バリトン、甲斐栄次郎
合唱、二期会合唱団

ヤクブ・フルシャ 指揮 東京都交響楽団


年末恒例のイヴェントとはいえ、真剣なプロの技、ソリストは冴えた技が昇華しました。

指揮はこの振りだとかなり厳しいものがある。音楽の流れの呼吸を作り出せない指揮で、オケをドライブできない棒、ベートーヴェン第九は板についていない。
オケもどうしたことかいつのも精度が無い。トラがいるせいなのかもしれないが、細かい音符パッセージなど、緊張感が明らかに欠如していて、結果がもろに出る。
双方問題演奏。指揮者はこの第九だと今はまだ自分のものとしていないのは明白、これからの人間だろうから、さらなる成長を望む。オケは選択した指揮者のもとで頑張るのみ。

合唱の手前に配した4人のソリスト群。非常にレベルの高いもので、満喫できました。バリトン甲斐のメロウに流れて安定感抜群、説得力のある歌。テノール福井はいつものめいっぱいコントロール。オペラで感じる横広感よりもむしろストレートな黒光りテノールでした。甲斐福井、強烈なコンビですな。ソプラノ森谷のハイテンションで最高音まで突き抜けてくれる歌唱はそう快。アルト富岡、いい声ですね。味わいあります。バランス感覚最高ですね。
ソリスト陣はスケルツォが終わったところで登場。次のアダージョ楽章はじっと指揮者を見つめています。百戦錬磨の彼らの事ですし、どのような思いでこの指揮者の振りをみていたのだろうか。近くなのでよくわかる。八つの眼はそうとう厳しいものがあると空気伝導しました。同じく、冒頭からいる合唱の眼、これもこわいこわい。
おわり


2247- ピエール・ブーレーズ、NYP音楽監督さよなら定期に集まったアメリカの現代音楽作曲家たち、1977.5.12

2016-12-22 18:16:34 | NYP

ピエール・ブーレーズがニューヨーク・フィルの音楽監督として振った最後の定期公演は、
1977.5.12(木) 5.13(金) 5.14(土) この三日間。
通常は翌週の火曜日もあって四日間なのだが、3回で終わってます。たまにあるのでそんなイレギュラーな話ではなくて、日月と空きますしね。

それで、初日の5月12日、フェアウェル・パフォーマンスということで集まったアメリカの作曲家の方々の写真です。
1枚目は勢ぞろい版。2枚目はちょっと少ない版です。

【勢ぞろい版(名前付き)】


【勢ぞろい版】

4列目左から(立ってる人物たち全員)
Charles Wuorinen チャールズ・ウォリネン
Carman Moore カーマン・ムーア
Sydney Hodkinson シドニー・ホドキンソン
David Del Tredici  デイヴィッド・デル・トレディチ
Earle Brown アール・ブラウン
Steve Reich スティーヴ・ライヒ
Stanley Silverman スタンリー・シルバーマン
John Cage ジョン・ケージ
Elliott Carter エリオット・カーター

3列目左から
Donald Martino ドナルド・マルティノー
Donald Harris ドナルド・ハリス
Daniel Plante ダニエル・プランテ
Morton Gould モートン・グールド
Vincent Persichetti ヴィンセント・パーシケッティ
Roy Harris ロイ・ハリス

2列目左から
David Gilbert デイヴィッド・ギルバート(アシスタント・コンダクター)
Stephen Jablonski スティーヴン・ジャブロンスキ
Jacob Druckman ジェイコブ・ドラックマン
Roger Sessions ロジャー・セッションズ
William Schuman ウィリアム・シューマン
Aaron Copland アーロン・コープランド

1列目左から
Milton Babbitt ミルトン・バビット
Lucia Dlugoszewski ルチア・ドルゴスツェウスキ
Ulysses Kay  ユリシーズ・ケイ
George Rochberg ジョージ・ロックバーグ
Mario Davidovsky  マリオ・ダヴィドフスキー

And
Pierre Boulez ピエール・ブーレーズ


【ちょっと少ない版】

4列目左から(立ってる人物たち全員)
David Del Tredici  デイヴィッド・デル・トレディチ
Earle Brown アール・ブラウン
Steve Reich スティーヴ・ライヒ
Stanley Silverman スタンリー・シルバーマン
John Cage ジョン・ケージ
Elliott Carter エリオット・カーター.

3列目左から
Donald Martino ドナルド・マルティノー
Donald Harris ドナルド・ハリス
Daniel Plante ダニエル・プランテ
Morton Gould モートン・グールド
Vincent Persichetti ヴィンセント・パーシケッティ
Roy Harris ロイ・ハリス

2列目左から
David Gilbert デイヴィッド・ギルバート(アシスタント・コンダクター)
Stephen Jablonski スティーヴン・ジャブロンスキ
Jacob Druckman ジェイコブ・ドラックマン
Roger Sessions ロジャー・セッションズ
William Schuman ウィリアム・シューマン
Aaron Copland アーロン・コープランド

1列目左から
Milton Babbitt ミルトン・バビット
Lucia Dlugoszewski ルチア・ドルゴスツェウスキ
Ulysses Kay  ユリシーズ・ケイ
George Rochberg ジョージ・ロックバーグ

And
Pierre Boulez ピエール・ブーレーズ

あと、これは、音楽監督就任公演1971.9.21(火)の二日後にニューヨーク・タイムズに載ったハロルド・ショーンバーグのレビューです。訳はいつかします。
この日のプログラムは以下です。

1971年9月21日(火) 
ゲイラ・オープニング・ナイト、ペンション・ファンド・ベネフィット・コンサート
ワーグナー ファウスト序曲
ベルリオーズ トロイヤの人々、より 王の狩と嵐
リスト 死の舞踏  ピアノ、ホルヘ・ボレット
ドビュッシー 牧神の午後への前奏曲
ストラヴィンスキー 春の祭典

ピエール・ブーレーズ 指揮 ニューヨーク・フィルハーモニック

以上


2246- エグモント序曲、第九、シュテンツ、読響、2016.12.20

2016-12-20 23:43:27 | コンサート

2016年12月20日(火) 7:00pm サントリー

ベートーヴェン エグモント、序曲   8′
Int
ベートーヴェン 交響曲第9番ニ短調  15′14′12+24′
 ソプラノ、アガ・ミコライ
 メッゾ、清水華澄
 テノール、デイヴィット・バット・フィリップ
 バス、妻屋秀和

合唱、新国立劇場合唱団
マルクス・シュテンツ 指揮 読売日本交響楽団


一言で言うと、圧倒的な臨場感。
このホール、客がプレイヤーを包み込むような空気感、指揮者シュテンツによってさらにグッと身近に迫ってくるアトモスフィア、一体感がフツフツと醸しだされる。

シュテンツは一度聴いたことがあります。2010年、N響とのマーラーのリザレクション。結構なディテール大胆拡大解釈の印象。指揮ぶりは、たたき上げで板についていて、つきまくっているお見事棒でした。
ということは6年ぶり。印象は前回のお見事さがさらに昇華。指揮棒、指揮姿、一連の動き、パーフェクト。音楽解釈と表現、じっくりと熟成されていたものが一気に湯気のようにそこここに立ち込めるような感じで、素晴らしすぎる。
指揮棒イコール腕みたいな感じ。音楽の塊。ぶ厚い音、躍動感、指揮者とオーケストラの一体感をビンビン感じます。圧倒的な指揮でした。

読響の第九は7回あるようですが、今日だけエグモント序曲が前プロで演奏された。読響特有の音場が正三角形にそびえ立つ重厚な音響と奥行き感。もはや三角錐ですね。
このような本格派エグモントを聴くと、指揮者が解釈を日本のオーケストラに植え付けに来て、それがパーフェクトに表現開花したという実感を強く感じます。
ベースの地を這うような動きから、弦のトップまでのバランスが最高、奥からギュッと光るウィンドアンサンブル、バランス重視のブラスセクションは手前に配列されているインストゥルメント群ともお見事アンサンブルで、オーケストラの醍醐味を満喫。
メインの第九はそれやこれやの表現力がさらに前面に出てくる。惚れ惚れする真性ドイツ・ベートーヴェンの響き満載。迫力ありますね。
読響集団のこの地響きアンサンブルはサントリーだと1階席で聴けばその迫力がよりわかる。ベースの刻みの圧力、迫力あります。そのベースを基底にした正三角形音場の迫力。ベートーヴェンも草葉の陰で大喜びしている。見守るだけじゃ気が済まないぐらいのものだろうよ。

指揮者とオケのアナログ的な波長が1曲目のエグモントからよくシンクロしている。読響の間口の広さには驚く。まぁ、コンマスの小森谷さんも読響アジアナンバーワンと言っているぐらいだし、謙虚な自負、説得力ある言ではある。それに熱狂型オケ、それから年功序列無し。そう言ってるし、これらが色々と絡み合ってこのような演奏が出来るんでしょうなぁ。

ぶ厚いサウンドが3楽章まで見事にのたうち回る。ほとぼりをさまさせることもなく終楽章へアタッカ突入。
真性ベートーヴェンが心地よい。
ソリスト群は余裕の妻屋バス。そして、圧倒的にきめにかかるソプラノのミコライ、彼女の歌は頂点音までそう快、メリハリ感が秀逸。清水さんは今年何回聴いたかな。たくさん聴きました。厚みあります。ミコライとの重唱も威力あり。テノールのフィリップは直進性のあるもので聴き位置により聴こえにくいかもしれない。
合唱が凄い。びっしりと高密度で隙間が無い。壁の中から輝く響きが出てくるようなおもむきで充実のサウンド。オーケストラとの一体感。

と、良い事尽くめ、なんですが、

ホルンが今ひとつ安定しない。ここはきめないといけないという個所できまらない。スケルツォ楽章の終わりのところ、ティンパニを抜いた解釈かと思いますが、弦がすっと終わる、指揮者のツボ解釈のところでポロッとやる。これではツボが半減。
それから3楽章の上昇ソロのところもどうもこんがらかってしまった。N響の2番さんが4番でトラしてたので彼が吹くのかなと一瞬思ったのだがそうでもなかった。
プリンシパルさんの音は少し細くて、今日はいなかった若いもうひとかたのほうが読響サウンドにマッチしてる気がします。


今日は火の玉集団の協賛だったようで、らしくない連中が色々とおりましたが、基本的に奥ゆかしいものがありますよね。ジャマジャマの演奏会ではありませんでした。いつも通りピュアな演奏会を楽しむことが出来ました。
おわり


2245- マルティヌー5番、ショスタコーヴィッチ10番、ヤクブ・フルシャ、都響、2016.12.19

2016-12-19 23:22:45 | コンサート

2016年12月19日(月) 7:00pm 東京文化会館

マルティヌー 交響曲第5番  9′9′12′
Int
ショスタコーヴィッチ 交響曲第10番ホ短調  25′4′12′12′

ヤクブ・フルシャ 指揮 東京都交響楽団


このコンビによる一連のマルティヌーもの。今回は5番。
第2楽章のラルゲットも含め、どんどん前進していく曲。この指揮者はむしろじっくりと受けとめるような解釈でかなりしっかりと踏みとどまっている。
ミニマル風な展開、シンコペーションの妙、スタッカートの切れ味鋭く、心地よく滑っていくストリング、これらはむしろ都響のものだろう。
5番はあまり振り慣れていないのだろうか。譜面に頻繁に目を落とすのは別に悪い話ではないが、少々ぎこちない指揮。譜面が要らないところだけ激しく振りジャンプする姿はそれを増長する。いずれにしてもこのオーケストラの機能性にだいぶ助けられている。
マルティヌー作品はこのオケにはよくあっている。まず、明確に、クリアな演奏。そこが原点。これは作品を広めるには一番の利点。音に深みがあればさらにいい。
全体的に、比較的緩めのテンポの中、シャープなオケが光る演奏でした。

後半のショスタコーヴィッチはこの指揮者のインターナショナルへの出入り口の肝の一つでしょう。頻繁な譜面チェックと変拍子のぎこちなさがちょっと気になります。腕達者なプレイヤーたちに助けられている部分多いです。
おわり


2244- レーピン、デュトワ、N響、2016.12.17

2016-12-17 21:30:12 | コンサート

2016年12月17日(土) 3:00pm NHKホール

ブリテン ピーター・グライムズ、4つの海の間奏曲 4+4+4+5′

プロコフィエフ ヴァイオリン協奏曲第1番ニ長調 9′5′8′
ラヴェル チガーヌ 10′
 ヴァイオリン、ヴァディム・レーピン

Int

オネゲル 交響曲第2番  12′9′5′
ラヴェル ラ・ヴァルス 13′

シャルル・デュトワ 指揮 NHK交響楽団


判然としないプログラムでとりあえず1曲ずつ楽しむ感じで。
オネゲルの第1楽章というのは主題と副主題が別の時代物のように聴こえる作為的なものと思う。第1主題のジャングルジム的幾何学模様が自分としては好み。副主題は塗りこめられたシェーンベルクという感じなんだが、主題と主題がかけ離れてい過ぎる。
この楽章、主題のミラー配置がよくわかる演奏でこのコンビの凄さを再認識。終楽章のトランペットは弱めに吹奏されていました。弦がそうとう強烈だったので部分的にかき消されてしまったところもあった。あっけないものでした。

レーピンはちょっと雰囲気変わったかな。
おわり


2243- 旅Ⅶ、ベルワルツ、ゴルドベルク、アンサンブル・レゾナンツ、2016.12.15

2016-12-15 23:17:27 | コンサート

2016年12月15日(木) 7:00pm 小ホール、東京文化会館

CPE.バッハ フルート協奏曲イ長調Wq168  5′10′5′
 フルート、瀬尾和紀

細川俊夫 旅Ⅶ(トランペット協奏曲)    18′
 トランペット、イエルーン・ベルワルツ

Int

JS.バッハ ゴルドベルク変奏曲
(DY.シトコヴェツキー・アンサンブル・レゾナンツによる弦楽合奏版) 61′

(encore)
バッハ ゴルドベルクより  1′

アンサンブル・レゾナンツ


初来日のアンサンブル。お初で聴きます。
メンバー表を見るとパーカス2、チェンバロ1をいれて18人の編成。
第1音、強靭なストリング・アンサンブル。ちょっと規模は違うが今年聴いたオルフェウス室内管の弦のような筋肉質のサウンド。ノンビブでグイグイ弾いてきます。
CPEバッハの作品は大きいもので、お父さんのことは横に置いて、よくできた作品と思います。中間のラルゴ楽章が殊の外長くて緊張感あるもの。独奏の瀬尾さんの暖かみのある音色と自然な技、堪能しました。

2曲目の細川さんの作品。独奏はベルワルツ。このかたを聴くのは2度目。2013年にハンニガン、準メルクル、東フィルの演奏会で2曲吹いてます。その時の彼の名前表記は、ジェロエン・ベルヴェルツ。今回の表記とどちらがより近いのかわかりませんけれども、イエルーン・ベルワルツのほうが座りがいい感じ。

1506- バーバラ・ハンニガン ワールド、リゲティ、マカーブル、細川俊夫、松風アリア、霧の中で、フィリデイ、全ての愛の身振り、準・メルクル、東フィル

旅Ⅶは、わからないぐらいの弱音から始まりそれに終る。中間部は盛り上がりというほどのものは無くて、一つの細い曲線が空中を浮遊しながら動いている。
概ねミュートをつけて奏する。感情の高まり曲線でミュートを取り払うこともあるが、光り輝く効果を狙ったものではない。2013年に聴いた細川の2作品、松風アリア、霧の中で。
この後者のほうであったマウスピースをはずしての吹き。今回の旅Ⅶでも同じ奏法ありました。日本の縦笛の音程をグイッと下げたような響き、スモーキーさが増します。
作曲家ご本人の弁をかいつまむと、独奏者は人、バックの小オーケストラは自然や宇宙の象徴。人から自然や宇宙への色々な作用、そして一体化へ。そんなイメージかと思います。
随所に、フレーズを伸ばさずに和太鼓で切っていくような日本風なイントネーションが出てくるのが印象的。
この曲では女性の奏者と思われる方が、指揮をされていました。拍子を取るというよりバーの出を示す感じ。
曲の編成は変えられそうですが、この小ホールサイズより大きいところでの演奏は厳しいものだろうし本人もそんなことは望んでいないと思う。ユニークで細川さんが刻印された作品ですね。ベルワルツに捧げられた作品で、演奏後舞台にあがった細川さんも満足そう。

バッハでサンドイッチされた細川作品。サンドイッチ片側メインはJSバッハ。
ゴルドベルクの編曲もの。シトコヴェツキーが弦楽三重奏版に編曲、それを弦楽合奏版に昇華させたもの。弦楽器のみによる60分オーバーの変奏。緊張感あふれる演奏。
チェロの独奏がほぼ全部を覆う。メインになったり伴奏になったり、チェロ独奏の技量が演奏の良否に決定的なものですね。それから、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、一本ずつの弦楽三重奏的な表情がすごく多い。ときに、セカンド・ヴァイオリンやベースなども一本加わり弦楽四重奏風味も。
結果、オリジナルの弦楽三重奏版の色が濃い。弦ソロが目立ち、逆に言うと他の方は弾かない時間が長くそれがかなり目立つ。楽器を置いている時間が長い。ときに合奏となるが、伴奏的な色付けというよりも音量増量的な効果のためと思われ、ダイナミズムの点で最初のCPEバッハのようなきつめの強靭サウンドをえられることがあり、強弱による濃淡狙いが目立つ程度。まぁ、弾かない時間が長い人は忍耐が要るかもしれない。
全体的にディテールの鳴りがカヤカヤと細やかでデリカシーに富んでいる。バッハの波打つ膨らみをもった豊かな進行のイメージはあまり得られない。
プレイヤーはみんなテンション高く、アンサンブルとしての駆け引きがよくできているし、総体の音色も確立していると思われます。
楽しめたゴルドベルクでした。
おわり


2242- ドヴォルザークVnCon、シュパチェク、マーラー1番、ヤクブ・フルシャ、都響、2016.12.14

2016-12-14 23:34:00 | コンサート

2016年12月14日(水) 7:00pm サントリー

ドヴォルザーク ヴァイオリン協奏曲イ短調  11+12′10′
 ヴァイオリン、ヨゼフ・シュパチェク
(encore)
イザイ 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番、第4楽章 3′

Int

マーラー 交響曲第1番ニ長調 16′7′11+21′


フルシャがこれまでに演奏してきた一連のマルティヌーもの、続きは来週聴けるので楽しみに取っておいて、今日のプログラムは前半のドヴォルザークがなんといっても素晴らしい。
シュパチェクは強い弾きで音幅があり聴きごたえ満点。共感のドヴォルザークですね。ものすごく巨大な作品に見えました。彼の演奏は初めてですが、ドヴォルザークの作品ということよりもヴァイオリンの楽曲をたくさん聴きたくなるような魅力ある演奏。

このドヴォルザーク、頭の1,2楽章の弾きは圧倒的で渾身の没我プレイ。あまりの素晴らしさにのけぞりました。横に流れるというより縦に効いていて音一つ一つがツボにはまっていく感じ。
これに寄り添うオーケストラがこれまた良い。響きに余裕があり、よく、こなれている。ゆらゆら音が余裕の揺れ。鋤いて戻すようなおもむきのフルシャの棒が心地よい。指揮者の思うつぼ通りの演奏。スバラシイ。

後半のマーラーは、指揮者、オケ両方とも懸命にエモーショナルではあるのだがその質方向にちょっとずれがある。思いが少し別のところにあるのかなという感じ。
オケは一生懸命なのだが、一生懸命プレイしても指揮者が思い描いているものと同じというわけではない。オケの技術レベルはあるのだが、それが目的化している。換言すると音楽の表現の手段としてもっている技術レベル、それ以外に思い浮かぶものがあまりない。ほかに何かをつかむべきなのだということ、それがない。音楽表現の内面化に欠ける。
フルシャは皮相的な滑らかさやドラマチックなものあるいは音響的効果、それよりもほかにしたいことがあるのにそれがドヴォルザークほどには出来ていない。自分の主張がうまく伝播していないのではないか。押しの弱さの問題かもしれないし、マーラー演奏に一家言を持つオケの自意識の眼があって、それやこれやで双方の技があまり良い方向に作用していないのではあるまいか。マルティヌー会長がマルティヌー演奏で魅せる際立った主張はここにはないもどかしがある。
都響は、今回のプログラミングは、ドヴォルザーク~マーラー~マルティヌー、このチェコ風味の流れを感じながらの演奏が実感できていればよかったとも思う。

演奏は、ストレートと伸縮自在の中間ぐらい。方向感のつかめないもの。内容も前半のドヴォルザークには比さずともおよばない。
マーラーの方向感というのはヴァツラフ・ノイマンが最晩年にキャニオンに収録したマーラー、薄いと思えるぐらい澄み切ったパフォーマンス、チェコフィル独特の髪を梳くような流れ。フルシャはインターナショナルな活躍指向なのかどうかは知りませんけれども、満足のゆくことをして欲しいですね。

マーラーでは2列目3番ホルンの隣にトロンボーン1個ありました。音量効果狙いだと思いますが、音量は、もう、いいような気もしますがね。
おわり

 


2241- ジェルジ・リゲティ没後10年、日本現代音楽協会、2016.12.11

2016-12-11 23:59:38 | コンサート

2016年12月11日(日) 5:20-8:20pm 石橋メモリアルホール、上野学園

リゲティ ポエム・サンフォニック 40′(5:20-6:00pm) 聴衆持参メトロノーム
リゲティ コンティヌウム(1968) 4′          cem、新垣隆
鈴木純明 リゲティーヤナⅡ(2016) wp  12′    org、近藤岳+アシスタント2名
リゲティ 管楽五重奏のための10の小品(1968) 15′  fl(pc)-ob-hrn-fg-cl
リゲティ アヴァンチュール(1962)  15′ *1
Int
リゲティ ヴォルミナ(1961-2)  13+3(無音)′        org、近藤岳+アシ2名
松平頼暁 オートル・アヴァンチュール(2016)wp 12′  org、近藤岳+アシ2名
リゲティ ヌーヴェル・アヴァンチュール(1962-5) 10′6′ *1

*1
演出、大岡淳
指揮、杉山洋一  副指揮、橋本晋哉
fl-hrn-vc-cb-perc-cem-pf
歌唱、ソプラノ、アルト、バリトン
パフォーマー、ソプラノの影、アルトの影、バリトンの影
ダンサー、3人
人形遣い、1人
音響、照明、衣装、映像


アヴァンチュール、ヌーヴェル・アヴァンチュールの一挙上演。約15分ずつ30分の上演。
奇抜な面白さでユニーク過ぎ、これがリゲティのしたいオペラだったのかと妙に納得の空気感。
上演状況はとても言葉で書き尽せるようなものではない。映像をとってあると思うので是非それを見れるようにしてほしいものだ。
三つ目のセーラー服女子が三つ目のアヒルを撫でる。こういったことの連続。もう、書くのは無理。

ステージ左半分に楽器群。歌と演技は右半分とオルガンのある奥を使う。聴衆席通路も活用。
登場拍手の抑止。暗くしてから、指揮の杉山さんが登場してポーディアムで振る。細身で上背があるのでこういったあちこち向いて振るのに向いてますね。スーツ姿にさりげない赤のスニーカーと、大ホールで観る彼の姿とはちょい違う。
副指揮者はステージ下、右寄り最前列席あたりに陣取り歌と演技用の指揮ですね。
歌い手3人は原色系の奇抜なコスチューム、まぁ、声も奇抜。ステージ右半分に横に並び歌うのが基本姿勢。
パフォーマー3人がそれぞれの歌手の影としてアクションする。まぁ、目が凍りつくような面白さだ。
それに、奥のオルガンの位置で、ダンサー3人が動く。ダンスをしている雰囲気は無くて、奇抜な衣装でくねくねと歩き回り、オルガンの奥に消える。
高さ3メートルほどの人形遣いは最後、衣装が取れて爆笑となる。これは後半のヌーヴェル・アヴァンチュールのほうだけに出てくる。
天井にはなにやら蜘蛛の巣のような映像が動く。アヒル、歌手によるメガホン声、その他盛りだくさん、トリッキーで脈絡のない事が次から次へとハプニングしまくる。

異様な光景だ。
リゲティのアンタイ・オペラの一つの表現なのだろうか。
脈絡やストーリーとは別世界の事をしているのではなくて、ことごとく反対の事をしていると思えばいいのだろうか。まぁ、観ていてそんなことを考える暇はない。視覚に吸い込ませなければならない。
今日のプログラムノートを読んでいるとリゲティの体験と思考のことを少し理解できる。

リゲティのリアリティーはどこにあったのかという話ですね。

今回の公演、はたと気がつくと、そこらへんにころがっている田舎芝居(失礼)を1パーセントも思い出させない。プロによるパーフェクト上演と思います。これがあればこそ作曲家も浮かばれるというものだ。
まず、インストゥルメントの技がさえている。ビシバシ、シャキッとした響き。研ぎ澄まされた音。アンサンブルの正確性は指揮の杉山さんによるところが大きいと思うし、個々人のスキルハイなプレイヤー自身によるものがまず第一だろうとも思う。それやこれや、もはや明白明瞭。慣れがなれ合いになっていないフレッシュなものを感じました。プロの技ですな。
そして歌い手3人衆。奇抜な原色系の衣装そしてポイントをついた動き、のみにとどまらず、包帯で巻かれても動じない信念で歌い尽くす。
声は色々と技法技巧を尽くしているんでしょうね。ユニークな響きがアンタイ・オペラへの妙な充実感を誘う。正確性に優れた歌唱があって、雄弁な動きがある。完全なプロ技ですね。凄いもんだと思いました。

演奏と歌がこれだけ締まっているから上質のものが出来上がる。そしてパフォーマー、ダンサー、ポイントをついた切れ味のある動き。演奏、歌唱と良くマッチした動きでシンクロしている。
全てハイレベルで、結果、充実の上演。一点にコンセントレートしていく様はお見事でした。
ワンダフルです。

アヴァンチュール、ヌーヴェル・アヴァンチュールのアンサンブルに加わっていた新垣さんが一曲目のコンティヌウムでチェンバロ独奏。
ちょっとテレビとかの印象があったんですが、やっぱり、そのことに至る前の、なんというかストイックというか、本質的なものは演奏にあらわれる。そういうことなんでしょう。
虫の音のような細かい響きが折り重なるようになっていく様は幾何学的ではあるが、トンボの眼のような動きでもある。お見事なプレイでリゲティワールドの一曲目を満喫。

管楽5重奏のための10ピース。
グレイななめし皮のような響きから、明るくて、淡白だったりする、色模様が魅力的。
曲の構成感は明白なものです。
プレイヤーの技がさえているので曲の事がよく理解できる。高性能、緊密なアンサンブルで作品を堪能。

オルガン独奏によるヴォルミナ。強烈な持続音で開始。トーン・クラスター盛りだくさん作品。クラスターによる多数の色あいや質感を表現、確かにそう感じる。スコアはグラフィック・ノーテーションになっているとのこと。オルガン演奏なので、客サイドから楽譜が見える。目を凝らすと太い帯のようなものが横に流れているように見えましたね。
右と左に2人のアシスタント付き。フメクラーとオルガンの補助役といったところですかね。
演奏を終えて送風機をオフにして、音が消えた後30秒間その状態を続ける、一連のことが終わり切って演奏が最終的にフィニッシュ。実際のところは3分間ほど無音の空白が出来ました。長かったです。
リゲティの押し込まれた音の状態変化といったあたりの醍醐味を味わえる作品でした。

リゲティの作品の間に、鈴木純明のリゲティーヤナⅡ、松平頼暁のオートル・アヴァンチュールの初演が挟まれた。
現実の世界に引き戻される具合で、リゲティのリアリティーとの距離の違いというよりも世界観の相違に、都度、催眠術から目が覚める感じ。こういった作品が挟まれたのは意義あることなのかもしれない。

開場時から鳴っていたメトロノームのポエム・サンフォニック。あれはノット東響の壮大な実演を思い出す。
2020- ショスタコーヴィッチ15番、ジョナサン・ノット、東響、2015.11.22
2021- ショスタコーヴィッチ15番、ジョナサン・ノット、東響、2015.11.23


ということで、
リゲティ没後10年記念の公演、いい企画と内容、圧倒的でした。
ありがとうございました。
おわり



曲目、出演者
http://www.jscm.net/?p=4122


リゲティ/コンティヌウム(作曲1968年)
 Ligeti/ Continuum – cemb
チェンバロ、新垣隆

鈴木純明/リゲティーヤナII(作曲2016年/世界初演)
Jummei SUZUKI/ Ligeti-jana II pour orgue – org
オルガン、近藤岳

リゲティ/木管五重奏のための10の小品(作曲1968年)
  Ligeti/ 10pieces woodwindquintette – fl, ob, cl, fg, hrn
フルート、木ノ脇道元
オーボエ、大植桂太郎
クラリネット、勝山大輔
ファゴット、岡本正之
ホルン、猪俣和也

リゲティ/アヴァンチュール(作曲1962-63年)
Ligeti/ Aventures – sop, alto, bar, fl, hrn, perc, cemb, pf, vc, cb
*1

リゲティ/ヴォルミナ(作曲1961-62年)
Ligeti/ Volumina – org
オルガン、近藤岳

松平頼曉/オートル・アヴァンチュール(作曲2016年/世界初演)
  Yori-Aki MATSUDAIRA/ Autres Aventures – org
オルガン、近藤岳

リゲティ/ヌーヴェル・アヴァンチュール(作曲1962-65年)
Ligeti/ Nouvelles Aventures – sop, alto, bar, fl, hrn, perc, cemb, pf, vc, cb
*1
 

*1
演出:大岡淳 指揮:杉山洋一 副指揮者:橋本晋哉

S、松井亜希     A、澤村翔子    Br、青山貴
S影、平井光子 A影、佐藤萌子 Br影、小野良太     パフォーマー
ダンサー、市川まや、今村よしこ、新宅一平
人形遣い、小原美沙

フルート、木ノ脇道元
ホルン、猪俣和也
チェロ、山澤彗
コントラバス、佐藤洋嗣
打楽器、倉田瑞樹
チェンバロ、新垣隆
ピアノ、中川俊郎

音響、有馬純俊
照明、加藤瑞穂
衣装、富永美夏
映像、山田泰士

***************************************




2240- 悲愴、ワルトシュタイン、月光、熱情、清水和音ピアノリサイタル、2016.12.11

2016-12-11 23:33:27 | リサイタル

2016年12月11日(日) 2:00-4:00pm コンサートホール、オペラシティ

オール・ベートーヴェン・ピアノソナタ・プログラム

第8番ハ短調 悲愴         8′4′5′
第21番ハ長調 ワルトシュタイン   11′4+9′
Int
第14番嬰ハ短調 月光        5′2+7′
第23番ヘ短調 熱情         11′5+7′
(encore)
ショパン 英雄ポロネーズ       7′

ピアノ、清水和音


ベートーヴェンの有名どころを4曲。
協奏曲ではよくわからなかったところが見えてきます。力強い強烈な押し、そしてさっと切り上げるさっぱりした芸風ですな。
タッチはそうとうに強く激しく音がデカい。不明瞭なところはどこにもないと言っている。
いっぽう、緩徐楽章はさらりと進む。変に深刻ぶらない、沈みこまない。熱情の2楽章なんか進むにつれてどんどん速くなっていく。スピード感ある緩徐楽章といってはなんですが、先に進む力、推進力ある演奏で、力感がみなぎる。
また、ワルトシュタインの緩徐部はその経緯とは別にインスピレーションを強く感じさせるもの。点がつながっていく、きれいに光り輝き謎めいていて魅惑的。続く終楽章の圧倒的な演奏。水面(みなも)に水切りの輪が広がっていく様はこれぞベートーヴェンの美しき音楽かな。

まぁ、やっているほうは4曲とも朝飯前っていう感じ。
アンコールでは、ベートーヴェンとは別の面で主義主張をモロに出してきて、多才さを見せつけてくれた。

この4曲では月光の形式感が他と異なる。ソナタ形式の第1楽章が欠落したものと見ればわかりやすい気もする。清水さんの歩みは、冒頭に緩徐楽章があるという具合の入り、適切なテンポで惹きつける。ブルーな月光でベートーヴェンの形式感とご本人のスタイルがこの曲でも見事に、ぶれない。
悲愴は超有名な緩徐楽章にあまりウエイトを置くことはなく、3楽章のバランスがいいですね。やっぱり、彼の芸風だとこうなるんでしょう。

以上。4曲とアンコール、存分に楽しませてもらいました。
おわり

 


2239- 始源への眼差Ⅲ、WCon、ライン、飯守、日フィル、2016.12.10

2016-12-10 21:57:50 | コンサート

2016年12月10日(土) 2:00pm サントリー

湯浅譲二 始源への眼差Ⅲ 14′

ブラームス ダブルコンチェルトハ短調 18′8+9′
 ヴァイオリン、千葉清加
 チェロ、辻本玲

Int

シューマン 交響曲第3番変ホ長調 ライン 9′6+5+6+5′

飯守泰次郎 指揮 日本フィルハーモニー交響楽団


今日ご近所の席で自作を聴いておられた湯浅さん、彼の作品を初めて聴いたのはたぶん1977.4.22で、曲目は、オーケストラの時の時、
随分と昔のことになってしまった。

849- オーケストラの時の時 ギーレンN響 1977.4.22


今日の演奏会の曲目は、始源への眼差Ⅲ。初演時のプログラムノートが載っていて、日付が二通りあるのでどっちが本当なのかわからない。たぶん2005年2月のほうだろう。
文節ごとの意味は理解できるが、それがどう前後の文節と関連しているのかやや判然としない。
現代音楽系の自作説明にはこのように難解な文章で意味合いもよく理解できないものが多い。ただでさえわかりにくい音楽なのだから、説明ぐらいはもっとシンプルにすればいいと思うのだが、なぜそれができないのだろうか。
曲は線のように伸びる音とその上に時折、点のように音が舞う。作曲者自身がその曲の未聴感との会話を試みるっていうことかな、湯浅さん、何を言いたいのか、シンプルにわかりやすく書いてほしい。

ブラームスのダブルコンチェルトは当オケのかたがソリスト。チェロがメインのような作品で、辻本さんの鳴りがいい。千葉さんのヴァイオリンは殊の外、力があり、双方流れるような具合でなかなか聴き応えありました。
指揮者の近くに座った辻本さん、飯守さんの棒の動きが邪魔になってましたね。近すぎるのか指揮者の動きか過剰なのか。

このブラームスもそれからシューマンも鳴り切らないもどかしさを感じる。特にパッセージの頭がきれいに磨かれた爪のようにならず、だいたいささくれ立っている。
まぁ、あの棒でよくこれだけの音が出せるものとオケメンには真のプロを感じないわけにはいかない。パーカスさんはいっぱいいっぱいのように見えましたが。
オケメンの集中力をさらに高めようという棒なのかしら。合わないので鳴り切らない、と認識できれば別の解決策を模索してもいいような気はする。
おわり


2238- コジ・ファン・トゥッテ、ジョナサン・ノット、東響、2016.12.9

2016-12-09 23:46:28 | オペラ

2016年12月9日(金) 6:30-10:20pm ミューザ川崎

モーツァルト 作曲
トーマス・アレン ディレクション
コジ・ファン・トゥッテ (コンサートスタイル)

キャスト(in order of voice’s appearance)
1.フェルランド、アレック・シュレイダー(T)
2.グリエルモ、マルクス・ウェルバ(Br)

3.ドン・アルフォンソ、トーマス・アレン(Br)

4.フィオルディリージ、ヴィクトリア・カミンスカイテ(S)
5.ドラベッラ、マイテ・ボーモン(Ms)

6.デスピーナ、ヴァレンティナ・ファルカス(S)
合唱、新国立劇場合唱団

ジョナサン・ノット、ハンマーフリューゲル&指揮 東京交響楽団

(duration)
序曲 4′
ActⅠ 86′
Int
ActⅡ 95′


盛り上がるモーツァルト。素晴らしすぎる6人衆の歌唱、背骨反り返らせ両腕が蝶のように舞うノット。快演。

これから先が長いノット時代。色々とやりたい企画がたくさんありそう。
今回のコジ、演奏会形式は、ダ・ポンテ3部作をすべてやるという企画の一発目のようですね。
ノーカット上演。ノットの弾き振り。6人衆の豪華キャストは残念ながら2名交代、まぁそれでも凄い。
ストーリーがヘビーかどうか別にして、ナンバーが独唱、重唱、大変に多くて、2幕で3時間を越える。

演奏会形式とは言え、オケは弦6-6-4-3-2、それと2管。コンパクトなアンサンブルでステージはだだっぴろくスペースありますので比較的自由に使える。
ディレクションをしたトーマス・アレンがアルフォンソ役で他の5人、それに16人の合唱団をうまく動かしている。
変装はあってないようなものですがとりあえず目印となるものがあるので、その目で見れば問題なし。
声がちょっと体育館っぽく響く感じはありますがじきに慣れる。音も後半になって変化してきたような気もする。

動かし役がアルフォンソのアレンで、大柄な彼自身まだまだよく動けるので全体の動きがとてもいいし、歌の出番は多くないが重唱など味わい深いですね。他の5人は全員主役みたいなもんです。
中でも女中デスピーナ役のファルカスがさえている。お嬢様姉妹越えのスポーティーな動き。女中の雰囲気は無くてむしろけん引役、結果全体の、オペラ愉しみレベルを押し上げているような感がある。あたしお金に弱いの、とストレートな物言いで、老哲学者とは息が合うかどうかは別にしても渡すものを渡せばよく動く。ストレートな役柄で、キャラクター的にもきまってますね。姉妹をそそのかすあたりのシーンでは女声3人衆となってしまうがソプラノ、メッゾの声種は明確にわかる。輪郭がクリアでキーンなしなりがよく目立ち美しい。考え方も大胆な今風女中ですな。

2男×2女
グリエルモBr×フィオルディリージお姉さんS
フェルランドT×ドラベッラお妹さんMs

なんだか懐かしい緑色の字幕、姉、妹を明確に書いているので、フィオルディリージお姉さん、ドラベッラお妹さん。
フィオルディリージはパーションの代役ソプラノのカミンスカイテさん。同じソプラノのデスピーナ役のファルカスとキーンなところは似ていると思いますが、歌うシーンはナンバーで明確に分けられているし、重唱での混ざり具合はむしろ圧力あります。
ドラベッラのボーモンさんはメッゾで、役どころの歌はよくわかります。
ナンバー的にはフィオルディリージの歌のほうがよく目立ちます。とりあえず、貞淑な役ですし、ウェットな独唱ロングナンバーが美しい、圧巻です。

男のほうは、グリエルモのウェルバがバリトン。フェルランドのシュレイダーがテノール。
見た目は逆な声質の雰囲気。
それぞれの独唱は聴き応えありました。重唱は手堅さがにじみ出ますね。ウェルバさんはハンマーフリューゲルのノットのほうに寄っていったりして色々な動きを楽しませてくれた。

この4人のキャラクターはコンサートスタイルの舞台でもよくわかるもので、出色の出来でした。

偽結婚、公証人、ラスト15分あたりからのモーツァルトの音楽的盛り上がりが凄い。圧倒的。思わず身を乗り出してしまいます。

ノットの腕はますます冴えわたる。
ハンマーフリューゲルは前のほうで動く歌い手たちより奥にセットアップしているので、弾きながら後ろを見ないといけなくてちょと窮屈かもしれない、ものともせず、立ったり座ったりでの弾き振りはお見事。両手はいつの間にかヒラヒラと動き回りモーツァルトと化す。最高の指揮でしたね。

3階正面席がほぼガラガラだったのが気になった。休憩の後は結構うまってましたが。
料金設定が変なのだと思う。呼び水効果等、当局は少し商売のことを考えた方がいい。
音が変わったと感じたのは、あすこに客がいるのといないのでは少し音響も違ってくるのかもしれない。
おわり