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2813- 国内外のツアーはオーケストラにとってキーになる重要なものだった。パンデミックがそれを打ち砕いた。2022-2-22 nyt記事意訳

2022-02-24 15:30:58 | NYT
ニューヨーク・タイムズ2022-2-22の音楽記事意訳、2月25日、26日、27日のカーネギーホール公演を絡めての記事です。

国内外のツアーはオーケストラにとってキーになる重要なものだった。パンデミックがそれを打ち砕いた。
クラシック音楽を麻痺させたコロナウイルスから2年、多数のアンサンブルは再び世界のステージに戻りつつあるけれども、彼らは重大な課題に直面しています。

2022-2-22
何回ものパンデミックの間、ウィーン・フィルはその財力とブランドを奮い立たせ、コロナウイルスよりうまく立ち回った数少ないオーケストラのひとつでした。ウイルスがクラシック音楽業界の多くを麻痺させた中にあって、そのアンサンブルは日本、韓国、エジプト、イタリアへのツアーを推し進めたのでした。

2022年ニューイヤーコンサートでワルツが奏でられる中、オミクロンの変種が急増した。
1月下旬までに数十人のプレイヤーが陽性反応を示し、予定されていたフランスとドイツ、3都市でのツアーはキャンセルを余儀なくされた。今月初め、ツアーを振る予定だったロシアのヴァレリー・ゲルギエフも陽性反応を示し、オーケストラの計画は混乱しました。

「すべてのことが非常に予測不能です。」ウィーン・フィルのチェアマン、ダニエル・フロシャウアーはインタビューで答えた。「私たちは自分たちの音楽のために戦わなければならないと感じている。」

今週3年ぶりにカーネギーホールで演奏する予定のウィーン・フィルのこれらの経験は、クラシック音楽が依存する重要な部分である国内外へのツアーコンサートへの復帰を目指す中、最も機敏で資金力のあるアンサンブルでさえ直面している課題であるということです。

コロナウイルス感染はここ数週間、世界中で大幅に減少しており、ツアーが戻ってくることができそうだと感じられている。ニューヨーク・フィルやフィラデルフィア管弦楽団、等々、パンデミック後、初めての国外ツアーを、今後数か月間、ヨーロッパで行うことを推し進めています。

しかし、重大な課題は残っています。オーケストラは依然としてウイルスの将来の波による混乱の可能性に直面し、計画を困難にしています。中国を含む一部の活況な国際マーケットでは、検疫ルールは非常に厳しいので、ツアーはほとんど不可能です。

そして、文化機関を荒廃させてしまったパンデミックの継続的な財政の混乱により、チケット販売や不確実な予算見通しの中、ツアーの価値について新たな疑問が湧いてきています。
パンデミックの前、ベトナムと韓国へのツアーを予定していたミネソタ管弦楽団は、当分海外ツアーの計画は無いと言っています。ミネソタ管のスポークスマンは「当面ポストパンデミックの間、我々の都市や州に焦点を当てる戦略的で哲学的選択」と呼んだ。

アメリカオーケストラ連盟のサイモン・ウッズ会長兼最高経営責任者は、ツアー興業は回復力があり、耐えることができると信じている、と言っている。が、付け加えて、いくつかの団体はパンデミックの中ツアーコストを評価しなおしている。特に「Covidはいつでも状況をひっくり返し財政をリスクにさらす。」と。

「多くのオーケストラパンデミックで予算を枯渇させている」と、サイモン・ウッズ、「彼らは問うている、これがお金の正しい使い方ですか、と。」

アメリカやヨーロッパのビッグオーケストラのツアーは、世界の都市への各駅停車訪問をし始めた数十年前からクラシック音楽の定番となっている。オーケストラは新たなマーケットや有利なスポンサーを得て、芸術的な目的だけでなく商業的な目標にもなった。

ツアーは、ウィーン・フィルのような一部のエリート集団を除けば、もはや以前のようなマネーメーカーではない。(公的資料によるとカーネギーホールは2019年4回のウィーン・フィル公演に140万ドル払った) しかしながら、オーケストラに国際的な名声を与え(寄付金を払う人間にとっては魅力的な期待)、オーケストラに結束するような機会を与えることにもなる。

それらすべてのことがコロナウイルスパンデミックの初期段階でストップした。ツアーは停止すべき最初の興業のひとつであった。パンデミックは、ツアーという伝統的な形態の価値に関する疑問を湧き起らせた。一部のプレイヤーや運営者は、ツアーに投資された時間、エネルギー、費用、そして資金調達について懸念を提起した。また、他方、大規模ツアーにおける二酸化炭素排出量を心配する声もあった。ツアーではそれぞれの楽器はもちろんのこと100人に及ぶプレイヤーやスタッフを動かすことになる。

ニューヨーク・フィルはこれまで60を超える国、400以上の都市で演奏してきた。このオーケストラを含むいくつかの団体はパンデミックの前からレジデンススタイルの試みを開始していた。ニューヨーク・フィルは、熱狂的なツアーの代わりに数を抑え、長期間のパートナーシップ築く試みをしている。上海その他ではウイルス前から定期的に訪れその試みをしている。

ニューヨーク・フィルの社長兼最高経営責任者デボラ・ボルダは、オーケストラにはいまだ大規模ツアーが開かれていると語った。しかし、気候変動やその他懸念事項を引き合いに出して、現状を再考する時だとも言っている。

「私たちが昔のようなツアー形態に戻るべきか確信は持てない。」とデボラは語った。「そのような定期的なツアーを通してディープな芸術的目論見を達成することができるのか定かではない。」

ロンドン交響楽団は次のように語った。イギリスのEUからの離脱は、国境での遅れを引き起こし、追加のコロナウイルス確認作業を招いた。結果、ツアー遂行能力を損なってしまった。オーケストラはヨーロッパ諸国へのツアーに関する官僚的な障害を緩和させるべく英国政府にロビー活動を行っている。それと、一部の国では聴衆の規模に制限が続いているため、オーケストラは十分な収益を得ることができず、いくつかの演奏会をキャンセルしなければならなかった。

3月にカリフォルニアへのツアーを計画している管理責任者のキャサリン・マクダウェルは次のように語っている。「このことを通して私たちのやりかたをコントロールしており、ヨーロッパ各地からの引き合いは相変わらず強いもがあります。」

アメリカでのツアーを目指している国際的な団体には障害もあります。(この金曜日から3回の演奏会をもつウィーン・フィルは、パンデミック後、カーネギーホールで演奏する二つ目の海外団体となります。一つ目は先月末のロイヤル・フィル)
パンデミックの間、多くのアーティストがアメリカ大使館や領事館での長いバックログのためビザを確保することができず、結果、キャンセルの波をもたらすことになりました。ここ数か月でバックログは緩和されつつあるが、いまだに遅れはあります。

アーティスト代表の弁護士ブライン・ゴールドスタインは次のように語っている。ビザ申請の面接予約が困難になって、いくつかのヨーロッパのアンサンブルはミュージシャンの数を減らしたり、またキャンセルしたりしている。と。

「この状況は改善しつつある。」とゴールドスタインは語っている。「しかし、オーケストラのようなとりわけ大規模団体にとって、米国領事館ではいまだ大幅な遅れとバックログが残っている。」

アメリカやヨーロッパにとってアジアは人気のあるマーケットだったが、パンデミックからのここ2年以上、アジアのいくつかの国々は外国からのアーティストをほぼ完全に受け入れていない。

毎年多くの海外アーティストやオーケストラを招聘していた最大規模のマーケットである中国では、当局はまだCovid制限を緩和しておらず最低2週間の検疫期間を義務付けています。隔離に必要な時間と費用は、ビザを取得できる人たちにとっても中国でのツアーを困難にしている。

アナリストの分析では、中国は今年の秋の重要な共産党大会まで、ゼロCovid政策を実質的に緩和するとは考えておらず、少なくとも2023年までにツアーは始まりそうもない。中国のコンサートホールは国際的なアーティストを熱望しているように見える一方、運営者は、検疫ルールが障害になっていると言っている。

「彼らは、我々がオファーしなければならないものはなんでもつかむ準備ができている」北京で音楽事務所を経営するレイ・アームストロングは語る。「私たちがしなければならないのは、そこで機会をつかみ、希望を捨てないことです」

ウィーン・フィルは、ゲルギエフがウイルスから回復し、カーネギーホールでの演奏会で棒を振ると言っています。彼の登場はオーケストラに別の合併症を引き起こしている。ゲルギエフはロシアのプーチン大統領の友人です。プーチンはウクライナへの動きを非難されている。ゲルギエフは以前、プーチン政策を支持し、ニューヨークにいる間中声高な抗議があった。活動家たちは今週、カーネギーホールでの演奏会に抗議行動を組織している。

ゲルギエフはコメント要請には応じることはなかった。ウィーン・フィルのチェアマンを務めるヴァイオリンのフロシャウアーは才能豊かな芸術家と呼んで出演を擁護した。

「彼は政治家ではなく芸術表現者として出演する」フロシャウアーは言う。「私たちは政治家ではない。我々は橋を造ろうという試みをしている。」

オーケストラの約100人のプレイヤーは毎日ウイルスチェックを受け、リハーサルやいくつかの公演でマスクを着用している。オーケストラはキャンセルを避けるため、感染したプレイヤーの替わりがいつでも代替可能なように。大規模な出演者ネットワークになかにいる。

オーケストラがウイルスに演奏の邪魔をさせないようにする、と、フロシャウアーは言っている。

「これら今回の体験は以前よりずっと激しいもの。歴史の一部です。プレイヤー達はニューヨークで演奏するために必要なことはなんでもします。我々が音楽の使命を果たすことをみんな知っています。」
おわり