河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

PC版に一覧等リンクあり。
OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

1614- ベートーヴェン1番、ブルックナー1番(リンツ稿)、小泉和裕、都響2014.3.24

2014-03-24 22:31:06 | インポート

2013-2014シーズン聴いたコンサート観たオペラはこちらから
2013-2014シーズン
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2014年3月24日(月)7:00pm 東京文化会館
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ベートーヴェン 交響曲第1番
        10′5′4′6′
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ブルックナー 交響曲第1番(ノヴァーク:1866年リンツ稿)
        12′15′9′14′
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小泉和裕 指揮 東京都交響楽団
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ブルックナーの初期作を改編前の初期のオリジナル稿でやるという意欲的なプログラム、1番を二個並べ、ビルディングとしてはコンパクトな感じもする。
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ブルックナーは第1,4楽章のソナタでは第3主題が少し不明瞭な曲ではあるのだがそれなりにわかる。小泉の棒は、その第2主題のテンポをかなり速めにとり引き締める。反面、1,2,3主題ともに同じような速度感で曲としてのスケールがあまり出てこない。
アダージョ楽章の深い沈み込みが印象的。
荒い曲ではありますが、全体フレームは曲サイズからはみ出さない折り目正しい演奏で、同曲を知るにはいい演奏だったと思います。
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前半のベートーヴェンは、これも引き締まった佳演。楽章追うごとにテンポアップ。スッキリと終わる。
両曲ともに新鮮な演奏でよかったと思います。ブルックナーのほうは指揮者がしたいこと沢山ありそうでした。
おわり


1613- マーラー7番、リッカルド・シャイー、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管2014.3.23

2014-03-23 21:21:56 | インポート

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2013-2014シーズン
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2014年3月23日(日)6:00pm サントリー
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マーラー 交響曲第7番 夜の歌
    22′15′9′10′18′
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リッカルド・シャイー 指揮
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
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この日は朝、東京春音楽祭の第1部を聴いて、一旦帰宅し夕方再出動。
シャイーはせんだって聴きました(2014.3.18)ので、この日は2回目となります。印象としてはだいたい同じ。
シャイーは世間一般のやりつくされたマーラー演奏などに興味はないと思う。演奏する当事者だし、そもそも音楽シーンを作り出すほうですから。むしろここにいる日本人聴衆のほうがこの7番含めシャイーの振っている棒の回数よりも聴いている回数のほうが多いかもしれない。
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シャイーは変形は求めていないと思う。欲しいのはシングルトーンやハーモニーの美しさ、バランス。変形を求めないように構造美にもとりたてて深入りはしていない。まして、「イタリアオペラのように~」といったムードはさらさら無い。特徴を探し出して定義したくなるのがファンの深層心理で自ら尺度を作って、だから自分はこうなのだ、という話であるが、それはいったん横に置き、曲を聴けばいいと思うのです。
今のマーラーまみれの時代にあって、中庸を得た普通の演奏で、そうであればこそ、曲の凄さがひしひしと自然に伝わってくる。何度も何度もマーラー演奏を重ねた棒でなければならないということもない。
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アバドなら第5楽章展開部のストリングによるしゃくりあげは強烈で、これでもかというぐらい掘り込み、しゃっくりのような表現になるあたり、シャイーはそのまま通過。だいたい、個別のディテールの強調といったことはしない。読みが浅いとか深いとか、演奏回数が多いとか少ないといったことは関係ないと思う。
向かって左にホルンとともに陣取ったテナーホルンと、右サイドの3番トロンボーンの距離は15メートルぐらいあるのではないか。第1楽章の両インストゥルメントの合わせは難しいと思う。でも彼の全体感覚からしたら、それはちょっとした出来事なのかもしれない。
感覚が日常的な状態以上に先鋭化されているのはマーラーばっか、生聴きしている一部聴衆連中のほうで、ここは普通に楽しめばいいように思う。そのようなものをシャーは置いていった。
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40年前にこのオーケストラがこれほど巧みにマーラー演奏をできていたとは思えない。演奏会で織り上げていたのかどうかも分からない。ベートーヴェンの第九、その他の少ない現場体験しかないがオーケストラ能力はまるで違っていると思う。進化によって失ってしまったものもあるかもしれないが、観た雰囲気ではオーケストラのセットアップ段取りや終演後の動きを見ていると、ルールというか、やっぱり歴史の流れをうまく受け継いできているのだろうと思う。伝統という言葉は陳腐かもしれないが。
ショスタコーヴィッチやマーラーの演奏を来日公演でやって、現代的で機能的なオーケストラになったなどという言葉は、それこそ時代感覚がずれているとしか思えない。不思議な日本の現象。
おわり


1612- リヒャルト・シュトラウスの生涯、東京春音楽祭マラソン・コンサート、第1部2014.3.23

2014-03-23 14:36:56 | インポート

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2013-2014シーズン
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2014年3月23日(日)11:00am 東京文化会館小ホール
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オール・リヒャルト・シュトラウス・プログラム
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仕立屋のポルカ 2′
 ピアノ、三輪郁
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ノクターンOp.7 5′
 ホルン、日橋辰朗 ピアノ、三輪郁
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ホルン協奏曲第1番Op.11  17′
 ホルン、日橋辰朗 ピアノ、三輪郁
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オーボエ協奏曲  25′
 オーボエ、広田智之 ピアノ、三輪郁
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(encore)万霊節 Op10-8  3′
 オーボエ、広田智之
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*ホルン松崎裕、キャンセル
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140323_120201
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東京春音楽祭の一環、シュトラウスのマラソンコンサート、この日5個あるうちの1個目。
松崎さんが出演するというので、色紙、ペン、CDを持参しました。が、
キャンセルとのこと。残念。
とはいえ、HPなどであらかじめわかっていたら日曜日の午前わざわざ来ることもなかったわけで、前向きにとらえ、代奏の若いホルニストの演奏を聴くことにしました。
ノクターンとコンツェルトの1番、
コンツェルトは20分かからない曲なのですが、こうやってあらためて生で聴くとかなり長く感じる。大変だろうなぁ。
この曲を音源として初めて聴いたのは、マイロン・ブルームでした。(ジョージ・セル指揮クリーヴランド管のアナログディスク)
高度な技巧が余っている感じで、もっとハイな曲はないの?といった吹きっぷり。
私のブログのフィリップ・マイヤーズの紹介文の中に、マイロン・ブルームのことをリンクしておりますのでご参照。大変に興味深いインタビュー内容です。おもしろい。
フィリップ・マイヤーズに聞いてみました
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ところで代奏の日橋さん、若くて滑らかで、作為的なところがない。音色も均一で素晴らしいホルニスト。ちょっとぐらい前のめりになってもいいような気がしますが、まずは正確性ですよね。
次回はピアノ伴奏ではなくオーケストラの伴奏で聴いてみたい。
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オーボエ協奏曲のほうは25分、これもあらためて長い!ここまで言うことがそんなにあるのかしら?そんな疑問さえ浮かんできそうな長さ。味わいの限界に挑戦するような曲ですね。こちらのお方は広田さん、都響のプリンシパルで場馴れしている感じ。
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この日はシュトラウス5公演、マラソンコンサートと銘打っている割にはオープニング・セレモニーがあるわけでもなくあっさりしたもの。クラッシックの演奏会はだいたいこんな感じが多い。
11時、13時、15時、17時、19時、それぞれスタートで11時公演は1時間ほど。
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東京春音楽祭の240ページのプログラムいただいて帰りました。10年もやっているみたいで、この座り心地のあまりよくないネイミングのイベント、今更名前変えられないよね。英語もちょっとね。
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(今) 東京・春・音楽祭 Spring Festival in Tokyo

(案) 上野音楽祭 Ueno Music Festival in Tokyo
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Music Summer Festival にならったのかな、でもSpring Festival だと春に関する祭りだな。Mahler Festivalと同じ感触。
それにMusicが無い。
案のように上野つけると抵抗感ある人いるのかもね、なかに。
おわり


1611- シューマン、ピアノ協奏曲、小菅優、ブラームス、交響曲第2番、アレクサンドル・ラザレフ、日

2014-03-23 00:34:08 | インポート

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2013-2014シーズン
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2014年3月22日(土)6:00pm 横浜みなとみらいホール
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シューマン ピアノ協奏曲 16′5′11′
   ピアノ、小菅優
(encore)シューマン(リスト編曲) 献呈 3′
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ブラームス 交響曲第2番  16′8′5′10′
(encore)エルガー 愛のあいさつ 3′
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アレクサンドル・ラザレフ 指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
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いやぁ、ラザレフのでかい演奏でした。こんな巨大なブラ2聴いた記憶が無い。
第1楽章の垂直的な深い切り込み、第2楽章の幅広さ、第3楽章の遊び、第4楽章の骨太な前進。各楽章の主要主題の自然で大きな膨らみ、厚く広がり音が生き生きと動き回っている。厚く、広く。それぞれが味わい深い。第2楽章などあまりに力が入りすぎたのか、指揮台から降りてヴァイオリンのほうに突っ込んできました。
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オーケストラの反応も抜群で、ほとんど思い描いているイメージ通りだったのではないか。
先だって(2014.3.15)のショスタコーヴィッチのレニングラードから見据えていた先はもしかしてこのブラームスだったのではないかと思えるような手応え。作品の時系列といった話ではなく、ロシアものからドイツものへの深い理解。圧倒的な演奏でしばらく興奮冷めやらぬ余韻がありました。見事な演奏でした。
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ラザレフは第2楽章途中でポーディアムから降りて、ヴァイオリンの方向で振りつくしていましたが、いつ我に返ったのか、はたまた返らなかったのか。
コントロールと開放、棒の凄さと演奏の凄まじさが見事に一致した演奏でした。このようにスケールの大きな演奏は聴いたことがない。
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前半の協奏曲がこれまた素晴らしかった。
小菅の自由で散文的で波打つシューマンは生き物のような動き。オーケストラの鳴りもよく、ピアノをうまくフォローしたラザレフとの息の合った素晴らしい演奏。
小菅は昨年2013.7.17にドイツ文化会館におけるヘンツェの夕べでの演奏、トークが印象的でした。自由で独創的でトークもわりとあっさりめでした。
ラザレフとのシューマンはクリアなオーケストラ伴奏のもと、自由な動きで進む。シューマンの刻みが右に揺れ左に揺れながら気持ちよく進む。シューマンのモヤモヤしたものが不思議と感じられない。すっきりとしていて波打っていて前に進む。魅力的な曲と演奏ありがとうございました。
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この日のラザレフ→バンザイフィニッシュ
ありがとうございました。


1610- プリッツカー、クラウド・アトラス、コルンゴルド、Vn協、パク・ヘユン、ブラームス/シェー

2014-03-23 00:19:38 | インポート

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2013-2014シーズン
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2014年3月22日(土)2:00pm 東京芸術劇場
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プリッツカー クラウド・アトラス交響曲から、
       第4、5、6、楽章 5′6′6′
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コルンゴルド ヴァイオリン協奏曲 10′8′7′
  ヴァイオリン、パク・ヘユン
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ブラームス/シェーンベルク編 ピアノ四重奏曲第1番
                14′8′11′9′
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クリスチャン・ヤルヴィ 指揮 読売日本交響楽団
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いい曲が並びます。
この指揮者は2度目ですが、一度目(2013.10.16)は、最初の曲で出ばなをくじかれた感があり、曲ともども凡庸感が漂っていた。この日はだいぶ違った。もっとも聴く前は曲目当てだけだったのですけれど。
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最初のプリッツカー、作曲者の名前も曲名も初めて。プログラムノートにはミニマル風といった言葉がありましたが、いざ鳴ってみると、探してもミニマルはない。聴き込みが足りないのかもしれないのですが、刻み波打ち微妙にずれていくような感覚はどこにもありません。起伏の激しい映画音楽、その割には決して鳴りがいい曲とは言えない。空振りみたいなところもある。ひらめきのある曲とは思えない。
ひらめきの曲というのは、例えばメシアンのトゥーランがリラのように、長大な曲でありながらまた、作曲にかかった年月の長さも大変なのに、いざ出来上がったものを聴いてみるとあまりの凄さに、神様が一瞬で創造したように感じる、それこそ天才のひらめきの技。最初のインクを紙に置く前に既に最後の音符の位置が見えている。だから何年もかかるような曲も結果的には一瞬のひらめき。一瞬のなかにすべてが詰まっていて、それをエクスプロージョンしていくだけ。なんとも凄いことです。
最近何度か聴いたブーレーズのノーテーション(ノタシオン)もそんなところがあるなぁと思ったりしました。それとか、ハルサイなんか完全に神々の作としか思えない。
プリッツカーの曲はそういうものではないということです。
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コルンゴルドのヴァイオリン協奏曲は、ノセダ&N響の爆な演奏(2005.2.24)に縛られてきたわけですけれども、今回も含めてあれを凌駕するような演奏にはしばらく会えないと思います。
パク・ヘユンのヴァイオリンは激しく自己主張するわけではありませんが、内に秘めた闘志みたいなものがあり、それが良くもあり、またすべてが表に出てこないところでのもどかしさみたいなものもある。それが情感込めたあたりのフレーズでも同様にみられる。表現したいこととその表現の方法のベクトルがまだうまく一致していないのだと思います。ただ、コルンゴルドのナイーブな側面を割と感じることができました。
ヤルヴィの伴奏棒はソロと微妙にずれたりするところがあり、呼吸が今一つ合わなかった。合わせの回数が少なかったのでしょう。強引に引っ張っていく棒のようにも見えませんし。
ただ、鳴りは良かったと思います。
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後半のブラームス&シェーンベルク、
これは良かったですね。室内楽でやれば4本の楽器で同じようなフレーズを手を変え品を変えというのは難しいわけですけれども、シェーンベルクの編曲のあやで、まるで音色旋律風に進行していく。あちらのウィンドが奏でたかと思うと同じような節をストリングで、ブラスで、と、入れ代わり立ち代わりのトーンの変化の見事さ、ウィンドのクリアなハーモニーは特筆すべきもので生理的快感。全体に自然に流れていく音楽が心地よい。終楽章の肩にあまり力のかからない演奏もお見事。
これに余裕の膨らみがでてくれば言うことなしだろう。
楽しめました。ありがとうございました。
おわり


1609- フィガロ序曲、メンコン、諏訪内晶子、マーラー1番、ヴァシリー・ペトレンコ、オスロ・フィル

2014-03-21 21:51:07 | インポート

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2014年3月21日(金)3:00pm ミューザ川崎
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モーツァルト フィガロの結婚、序曲4′
メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲13′8′6′
  ヴァイオリン、諏訪内晶子
(encore)
バッハ 無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ
第3番より、ルーレ 4′
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マーラー 交響曲第1番 14′8′10′18′
(encore)ブラームス ハンガリー舞曲第6番 5′
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ヴァシリー・ペトレンコ 指揮
オスロ・フィルハーモニー
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この日の諏訪内のメンコンは、三日前のゲヴァントハウスと共演したMidoriと同じ曲。
音量、太さ、艶、ニュアンスの幅、前進性、どれ一つとっても圧倒的な演奏となりました。ノースリーブの腕は筋骨隆々(失礼)、あの腕からこの音が出るのだな、納得の安定感。
この余裕の弾きっぷりとホールに響き渡る太くて艶のあるサウンドが聴衆をひきつける。あらためて彼女の素晴らしさを再認識。どれをとっても見事の一語なんですが、今回特に感じたのは音楽をどんどんグイグイと先に進めていく前進性。音楽は流れていくもので、このような旋律の流れは自然であり共感する。メンデルスゾーンの音楽を感じる。
とりたててヴァイオリンに愛着があるわけではないのだが、彼女のソロ曲のCDを非常に聴きたくなった。説き伏せる技を聴いてみたい。今の音楽シーンに乗っているのは誰か、明白だ。
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一曲目はペトレンコの作り出すスピーディーで軽快な流れが気持ちいいフィガロで、幕のストーリーまで感じさせ、なんだか4幕まで全部見たくなってしまった。プログラムを読んでみると、そこかしこにこのオーケストラはインターナショナルになった、一流になったという文字が並んでいるがそんなもの、並べば並ぶほど技術的な部分に耳が行きやっぱりそこそこだったのね、となってしまう、自ら一流になった発言は諸刃の刃。見苦しいプログラムノート。
フィガロを聴いただけで、余計なスキルベースの言葉は不要ということがそれなりにわかりましたから。
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後半のGM1、たくさん聴いているわけですけれども、しばらくぶりに停滞し漂うことのない演奏を満喫しました。なによりも指揮者のコントロールがオーケストラによく浸透しているのが手に取るようにわかる。彼らも「インターナショナル」への道を今まさに歩んでいるという自覚認識があるのだと思う、やる気度がやっぱりだいぶいい。
指揮者の指示に対する反応が素早く的確、良好なコンビなんだろう。はつらつとして生きた演奏、わだちをジャンプし、ストレートに進んでいくさまは爽快。最後のコーダのところなど息つく暇なく、あのブルーノ・ワルターの倍速モード。そして隙間がない。この圧倒的な気持ちよさ。マーラーの若い時の曲ということをあらためて実感。2番以降の曲がりくねるオタマジャクシはいったん横において、深みとかコクとかも横において、まだあまり曲がっていないこの1番のストレート解釈演奏に久しぶりに浸る。
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このペトレンコ、GM2以降はどんな演奏をするのだろう、この1番のようにストレートな表現だけだと少し厳しいところもあるが、でも彼の場合、今まさに自分の音楽の形を作り上げつつあるわけですから、あまり邪推するのは良くない。これからの楽しみのほうが先です。
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ところで昨今の「インターナショナル」なオーケストラのプログラム代は1000円以下が相場なのですが、このオスロ・フィルは1500円でした。この日の最安席は5000円、それでこのプログラム代、こういった感触は疑問の湧くもので違和感がある。千円札2枚出すしらけ度、インターナショナルになるには今一つ音楽シーンに乗れていないと思いました。主催者のリサーチ不足でしょうね。我欲というか。
まして、東芝の冠コンサートだというのに情けない。ビッグ企業の名が泣く。冠になるときは徹底的に冠にならなければならない、たかだか一つのけち臭いことで、せっかくの宣伝費が逆効果にならないとも限らない。百も承知だとは思うのですけれど。
でも、わかっていない。
おわり


1608- ルイ・ブラス、メンコン、五嶋みどり、ショスタコーヴィッチ5番、リッカルド・シャイー、ライ

2014-03-19 01:30:57 | インポート

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2013-2014シーズン
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2014年3月18日(火)7:00pm ミューザ川崎シンフォニーホール
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メンデルスゾーン 序曲「ルイ・ブラス」 7′
メンデルスゾーン ヴァイオリン協奏曲 13′7′7′
 ヴァイオリン、五嶋みどり
(encore)
バッハ 無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ
第3番 BWV.1006 より 「プレリュード」 4′
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ショスタコーヴィッチ 交響曲第5番 17′5′15′12′
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リッカルド・シャイー 指揮
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
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ゲヴァントハウスの音は久しぶりに聴いた。すっかり「文化の平板化」の波をかぶっている。文化の平板化、都会の自宅で普段使っているウォシュレットのトイレや、ホールにあるカップのホットコーヒーの自動販売機が、登頂したエベレストのてっぺんにもあってしかるべきだという話。ゲヴァントハウスもインターナショナルと言えば聞こえがいいが、どこに行っても、どこの団体が来ようとも、それらはみんなクリスタルサウンドでなければならない、それを満たさないのは「これ聴いたことない音」みたいな話になって、ようはそんな世界があたりまえになってしまった、まさに平板化された文化の使節でしかなくなる、そのような危惧はなにもゲヴァントハウスだけではなく、総体的にだいたいみんなそうなりつつある。もう既になっていて、どこのだれになにを求めればいいのか、受け手自身も感覚が麻痺し始めているのではないか。
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しばらくぶりに聴いたMidori、私の席は1階席中央なのにメンコンの音が小さくて聴こえない、音が小さくなったのを内向きになったと簡単に言ってしまっていいのか迷うところだが、そのような判断さえできるかどうかのギリギリぐらいに小さいものだった。音量が出てこない。楽章が進むにつれてそれなりに出てきたと思えたのは、聴き手の耳が徐々に先鋭化したのもあるかもしれない。
後半プロのタコ5で聴かせてくれたコンマスのソロが何事も上を行っていたのは、良いことだったのか。
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一曲目のルイ・ブラスは生ではあまり聴けない曲で新鮮味もあり、まぁ、滑らかに滑っていくような演奏とは言えませんが、メンデルスゾーンのメロディーラインはそれなりに。
ゲヴァントハウスの音はオーケストラとしては骨太というより肉太になった感じで、それにつれてファジーな部分の許容範囲が広がり、もやもやっとしたところもある。
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後半のショスタコーヴィッチの5番、
とりたてて機能美を追わない、張り切ってはいるが日常的な演奏会のルーチンワーク的なものであり、そのルーチンワークのレベルの高さを見せつける内容でもあったと思います。
トランペットとトロンボーンがギリギリ右奥に配置、手前のウィンドとの間にかなりの空きスペースがある。左側にホルン、弦は対向でベースも左、音響空間としては左右拮抗でうまくバランスしているのかもしれない。
演奏は滑って快適に進む感じは無く、前のめり、後ろのめり、ちょっとぎこちないかな。やりつくしているわけではなさそうなので、その分張りつめたところはある。ショスタコーヴィッチの音響に浸ることにします。と、
その音響ですが、このホール、1階席だと、バスドラやティンパニの音が叩いているスポットから地続きでお尻を振動させる。音というより太い糸電話みたいな感じで直接響いてくる。あまりよくありません。上の階のほうが音楽的な響きとしては良いと思います。
おわり


1607- マーラー、9番、エリアフ・インバル、都響2014.3.17

2014-03-18 00:26:01 | インポート

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2013-2014シーズン
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2014年3月17日(月)7:00pm サントリー
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マーラー 交響曲第9番 27′15′13′26′
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エリアフ・インバル指揮 東京都交響楽団
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このオーケストラの監督としての最後の公演なのだろうが、個人的には思い入れは全くない。国内オケに関しては好みのオケというのは無くて、曲目が第一義的。好きな曲を聴きたいというのが一番なのだが、それとは別に原体験のようなものがある。一つは国内オケは昔はかなり下手だった。1980年代初めの頃まではあまりに下手で聴いていられないということもありました。当時は来日オーケストラとは明白な差があって、2流の団体でも国内オケの5倍ぐらいのありがたみがあったと思います。ですから個別の演奏団体に入れ込むということはありませんでした。曲がメインの原体験です。(昨今、世に出ている昔の音源は演奏がうまくいったもの、というファクター抜きにはありえません)
もう一つは、音楽監督、常任指揮者などと名前は立派だがその人がシーズン通してどれだけそのオーケストラを振るかというとだいたいスズメの涙程度、あまりに少ない。何年間やったとか言っても横の流れは分断されており、名ばかりではないか。この指揮者のもとで成長した、色が変わったみたいな話は失礼ながら笑えるケースもある。つまり実態が伴っていない場合が多く、このての話も興ざめ。
逆に言うと自分はあちこちのオーケストラを聴いて歩く渡り鳥みたいになってしまって、昨今のように国内オーケストラの性能がアナログ的な向上を越えたスーパーデジタルモードでスキルアップしても自分の動きは昔の原体験のままという癖が治らない。
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この日のような演奏会でも外的な要因に左右されることなく、というよりもほとんど無関心で、いつも通り聴いているのはそんなことがあるからだ。早い話、どうでもいい。(ちょっと言い過ぎかもしれんが)
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この期に及んでまたインバルを理解したのかなと我ながら思ってしまった。
インテンポという言葉はちょっと舌足らずで、微妙に動く律動は意識されたインテンポによって確実にコントロールされている。それがインバルの棒だ。
大きく動かさず、緩めず、確実なテンポで、マーラーのカオスに突き進む、正面突破攻撃、分散したアンサンブルがそれぞれの束で強弱濃淡のパレットになって迫る。音色の分解リズムの進行が程よくバランスしている。その思いをいかに100%に近く表現できる演奏団体がいるかどうかがポイントになる。フランクフルトはクリアで独特の音色と高性能スキルで表現できていた。そのあとのN響との一連のマーラーはちょっと正三角形過ぎた。都響は高性能でデジタル録音向きのサウンドになった分、インバルの解釈との相性はいいと思う。オーケストラ自身の解像度の高さがあるため、それ以外のことに集中すればいいのだ。意識してコントロールされたマーラーの演奏は簡単ではないかもしれない。それができるのがこの指揮者としての才覚の所以という話だろう。アメリカでは名前がほとんど出てこない指揮者だが、いたるところにある高性能オケを目の前にしてインバルの思うような演奏解釈がより可能になると思うのだが。時すでに遅しということか。
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ということで、第1楽章展開部のあたり弦がモヤモヤと曖昧模糊となりわけのわからない鳴りになってしまう演奏も多いが、この日のインバル&都響はマーラーが作り上げたカオスを見事な縁取りで明確なフレームを構築しながら正面突破。ここの分解度の高さはそれこそ100%に近いものであったと思う。この第1楽章が頂点でした。
全4楽章の速度バランスが奇をてらうところがまるで無く、バランスの良い演奏となりました。最後のコーダは気持ちを込めるあまりそこだけで第5楽章を成すといった演奏もあるなか、インバルは冷静沈着に比較的あっさりとよどみなくジ・エンド。見事な平衡感覚の演奏でした。もし足りないものを一つ探すとすれば、それは有機的なつながりの強調ということになるかと思います。
おわり


1606- スクリャービンPC、浜野与志男、レニングラード、ラザレフ、日フィル2014.3.15

2014-03-15 23:03:55 | インポート

2014年3月15日(土)2:00pm サントリー

スクリャービン ピアノ協奏曲 8′9′10′
 ピアノ、浜野与志男

ショスタコーヴィッチ 交響曲第7番レニングラード 27′11′17′15′

アレクサンドル・ラザレフ 指揮
日本フィルハーモニー交響楽団


この日のお目当ては前半のスクリャービン、
このピアニストはお初で聴くと思います。
ショパンのほうに傾斜していくような演奏ではなく、デジタル風な刻みのスクリャービンで、エスカレータの階段のようだ。音が情に流されない。角(かど)があるところではきっちり引っ掛かる。
曲はとっても若くてこのピアニストの年齢(1989年生まれ)と同じころの作、演奏は繊細さとか骨太と言ったあたりのニュアンスよりも自由に弾いていてそれがどちらかというとデジタル風味に聴こえているだけなのかもしれない。日本ロシアのハーフなら母のロシア的なものを感じるけれども、この日の演奏はこの作曲家の生まれを特別意識することもないかと思います。むしろ、現代的な響きでよみがえらせた、すごく新鮮に感じた。
余計な泣き節もなく、見た目は端正でストイックなロボコップ風、日本人のどっかの棒振りたちみたいな気持ちの悪いニヤケは一切なし、音楽に真摯に向かっている、その端正さとは結構違うダイナミックで正確なリズムの運動、そのようなものに惹かれました。良かったと思います。また、この曲のこのような側面を魅せられて、改めて聴きなおしたくなりました。ありがとうございます。
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後半はレニングラード、自分にとってはメインディッシュが二つあるような満足感を味わえそう。
ラザレフは愛すべき人物なのだが、その外面(そとづら)だけをいつまでも見ているべきではないと、このレニングラードを聴いて思いました。一言で言いますと、
爆発イリュージョンはラザレフにとって実は済んでしまっていて、この7番の演奏、既に後期の交響曲のほうを見ているのではないか、ということです。
演奏は非常な弱音重視、かなり極端な抑えの解釈です、明白に意識されたピアニシモの連続。遠い先の曲が聴こえてきます。静かさとテヌートの強調、レアな解釈だった。派手部分に耳を寄せる一方で、この物静かな表現にこそ今のラザレフの神髄がある。このように落ち着いたレニングラードはめったに聴くことができません。
弱音強調表現で交響曲のフレームを見事に浮き彫りにする。構造が透明化されたそちらのほうに耳を奪われた。オーケストラもいつになくと言っては失礼だが、前に音が出てきている。微弱な音響演奏がオケ自身の耳を先鋭化し、爆発フレーズでも見事にピッチがあった、息の合った演奏を可能にした。素晴らしい演奏。まさしくラザレフ効果。
そしてこの日のラザレフ、左振り向きフィニッシュ・ドヤ顔さらし・バンザイエンド。やはり愛すべき人物ではある。
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このようにオーケストラの反応が素晴らしい演奏だったのに、
ラザレフのプレイヤーご指名スタンディングの「指示」に、まるっきり、反応しない。極端に言うと素晴らしかった演奏をぶち壊すぐらい立とうとしない、このオケはいったいなんなんだと。照れとか恥ずかしさとかはにかみといった日本人的奥ゆかしさをはるかに越えた非常に見苦しい場面が続く。一人ラザレフが手を差し伸べ、振り回し、近くに寄り、ようやくスタンディング、不思議なオーケストラだ。席が近いのでよく見えるのだが、弦パートには苦虫100匹同時に噛んだような顔のおじさんもおりました。ラザレフのオーケストラの統率力の素晴らしさは、演奏中のその行為だけだったのかと勘ぐってしまう。リハーサルで双方の理解が深まっていき、意思疎通、解釈の浸透と表現、一致したからこそこのような素晴らしい演奏ができたのではなかったのか。演奏が素晴らしかったのはご本人たちもわかっているはずで、その気持ちを素直に表現すればいい。
横にそれた例になるかもしれないが、ここの団員は一度演奏会を休んでゲルギエフ&マリインスキー管の演奏会に行き、彼らの意思疎通ぶりや反応をよく見てみるのも勉強になるはずだ。いまでこそ長い年月が経ってしまったけれども、まだキーロフ管と呼んでいたころのゲルギエフの動きに反応するプレイヤーの素晴らしさは圧倒的だった。演奏のみならず、スタンディング指示、ゲルギエフの指が3ミリ動くと、ソロパートが間髪いれずズバーッと立ち上がったものだ、あの昇り竜の時代、彼のもとで演奏し、素晴らしい演奏をすればするほど自分たちの生活が豊かになり、自由を勝ち取れる、そのようなことがありありと動作や目に見てとれたものだ。例としてはあまりに条件が違いすぎるのでよくないかもしれないが。
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この日は自分の、日フィル定期会員初日でした。
座席に定期会員になったお礼メッセージおいてありました、お気遣いありがとうございます。
おわり


1605- シューマン、ファウスト序曲、シェーンベルク、浄夜、ベートーヴェン7番、準・メルクル、新日

2014-03-15 01:02:19 | インポート

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2013-2014シーズン聴いたコンサート観たオペラはこちらから
2013-2014シーズン
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2014年3月14日(金)7:15pm トリフォニー
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シューマン ゲーテのファウストからの情景、序曲 8′
シェーンベルク 浄夜(弦楽合奏版) 31′
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ベートーヴェン 交響曲第7番 14′8′9′8′
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準・メルクル 指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団
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素晴らしいプログラム。
シューマンとベートーヴェンはオーケストラを思いっきり奥に配置し、前方はかなりの空きスペース。シェーンベルクは弦楽だけのためかステージから落ちそうなぐらいギリギリ手前に配置。そのため、シューマンとシェーンベルクのメンバーの席移動、セットアップに5分ほど時間がかかった。メルクルの明白な意図と思われますが、どのような効果を狙ったのか、それともトリフォニーの音響が自分のイメージと少し違っていて矯正しようとしたのかもしれない。
私の席はかなり前ですので、シューマン、ベートーヴェンでは奥に引っ込んだ分、全体が良く見渡せるようになりました。
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一曲目のシューマンは厚ぼったい割には鳴らないというこの作曲家のオーケストラルピースで、どこか良いところあるはずだという姿勢で聴かなければならない分、聴き苦労する。毎度だけれども。
二曲目の浄夜については、このオーケストラの弱点は浄夜をやっている楽器全部と言うことが分かったわけだから弦をどうやって練り上げて魅力的な音にするかということだけこれから考えていけばよいのではないか、今は浄夜の蒼い音がでているとは言い難い、
とは言うもの、メルクルの、浄夜の解釈自体は素晴らしかった。かなり速めのテンポ感だと思ったのだが、終わってみたらあっという間の30分越え、滑らかさは機能的に難しいと思ったが反応は良かった。
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後半のベートーヴェン、ドライブするというよりメリハリのつけ方が極上で、あの棒だから以前のワーグナーのトーキョーリングが素晴らしかったのも納得、オケのメンバーのやる気度もアップしているように見えた。
メルクルは指揮に全精力使い果たすようななぎ倒し棒で、オケとぴったりシンクロした時の圧倒的な音の奔流は生き生きとしていて、今ここに音楽が再創造されているという現象を容易に理解できる。この日の7番はそこまではいかなかったが、この新しい組み合わせに期待したいと思います。
おわり


1604- 本「万物は流転する」

2014-03-09 17:21:13 | 本と雑誌

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本「万物は流転する」
知識人から見た旧ソ連の思想
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ワシーリー・グロスマン著
齋藤紘一訳
亀山郁夫解説
みすず書房3800円
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 冬季五輪が開かれたソチは、元来はチェルケス人という少数民族の地であった。本書はスターリンの死後、30年の収容所生活から故郷ソチにもどってきた知識人イワン・グリゴーリエビッチからみたソ連をめぐる思想小説である。
 自家出版として書かれたが、日本では1972年にソ連抵抗文学として紹介された。反スターリン的な風潮の中で、一歩踏み込んだレーニン批判として評者は読んだが了解可能だった。中でも30年代飢饉(ききん)の鬼気迫る記述はその後の仕事にも参考になった。ちなみに本国で公開されたのは89年、レーニンを疑い始めたソ連崩壊直前であった。
 再読してレーニンの思想の根源にロシア独自の運命があったというグロスマンの省察までは読めていなかったと反省している。レーニンと正教異端派である古儀式派(アヴァクーム)の思想的関係までは日本では誰も理解しなかったのではないか。革命の帰結がなぜ収容所なのか。破壊と建設、専制と革命、欧州とアジア、ロシアは逆説の国である。だが自由だけはなかった歴史的運命から37年のテロルをも思索する。
 圧巻は密告と裏切り、そして倒錯としての同性愛まで生み出した収容所世界の記述である。同性愛を巡る今の欧米からのロシア批判がいかに的外れか。だが釈放され自由となったはずの市民生活でも人々は恐怖ゆえに自己規制したと、フルシチョフ自由化の逆説も示唆する。
 レーニンの中にあるロシアの正教と異端、歴史的な文脈の問題は、今ようやく理解されだした。ただ自由なきロシアの悲劇性に問題の根源があったという主題それ自体はソ連崩壊後は陳腐に響く。問題はレーニンやスターリンだけでなく、平凡な「ユダ」たちの保身と裏切りにもあった。ナチズムの基盤に獄吏アイヒマンのような凡庸さを見出したハンナ・アレントにも似たまなざし、「日常的なスターリニズム」の問題でもある。違っているのはその考察の行き着く先が「流転」という言葉が暗示する諦観なのか、それともロシア的悲劇への歴史的問いなのか、それへの解答は21世紀の今もない。
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・著者は05年生まれ。ウクライナ出身の作家。著書に『人生と運命』など。64年没。
・評 法政大学教授 下斗米伸夫


1603- シベリウス4番2番、他、尾高忠明、札幌交響楽団2014.3.5

2014-03-09 16:44:57 | コンサート

2014年3月5日(木)7:00pm サントリー

オール・シベリウス・プログラム

組曲、恋人 4′3′5′
交響曲第4番 11′5′12′8′
交響曲第2番
(encore)
悲しきワルツ

尾高忠明 指揮 札幌交響楽団


風邪でダウンしていたさ中だったのですが、昨年に続き「てんさい糖」の恩恵を受けるためになんとか出てきました。が、
前半はもったものの、後半はほぼ睡眠状態で、特に第4楽章にアタッカでなだれこんだあたりで目が覚めたときは退場しようと思うぐらいバッドな状況でした、なんとか周りに迷惑かけずに座っているだけで精いっぱい、踏みとどまりました。
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実は前半は微熱が高熱に越えてしまった感じで、意識としてはスッキリしていて、感覚的にはむしろさえていた。
シベリウスの4番はどうだこうだといった話はよくあるのはわかっていますが、この日の4番はダイナミックさに欠ける演奏で、音が萎えている。
4番は神秘的に語られることもあるけれど、個人的にはもっと素直に直情的にオーケストラサイズで鳴らした演奏が聴きたい。静寂への意識が強いのかわかりませんが、音が川底に澱んでいるような状態で、音楽が生きて進行しない。
ストリングはこのオーケストラ独特の音色があり魅惑的ながら、弱音フレーズでももう少しグワッグワッと波打つ感じがあってもいいと思う。指揮者の思惑が大きいのかもしれない。静寂さを志向するのであれば、全体のレベルをもっと上げないといけない。
一度、鳴らしきった演奏(練習でも)をやってみて、それから秘境系の音造りをしてみるのもいいのではないか、この4番。
それから1曲目の組曲恋人、音楽の片側の側面だけで何かを言おうとしているのか、1曲目としてはかなり厳しい曲。どのような曲でもどこかいいところを探そうという意思を持って聴けば何事もそれなりにいいところは聴こえてくるところはあるのだが。
4番作曲中、歌からオケ用に編曲されたからみで冒頭に持ってきたところはあるのかもしれない。演奏会のプログラム・ビルディングとしては4番がらみで置くなら1曲目なのだろう。また、これら2曲はプログラム前半に置くことにより演奏メンバーの集中度をそれなりに保てたところがある。テンションが高いうちにやろう、みたいな感じですね。緩んでしまったら、この2曲に立ち向かうには困難が伴う。
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後半の2番は、風邪薬が効いてきたのか、熟睡と仮眠を繰り返すなか、瞬間目覚めがありその時だけは音が聞こえてくるという状態で感想にならない。アンコールも同じ。
すみません
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昨年に続き、帰り際にいただいた「てんさい糖」、ありがとうございました。ちょっと小振りになりました。
おわり




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1602- ラフマニノフ、Pf協3、アレクサンダー・コルサンティア、チャイ4、ダン・エッティンガー、

2014-03-04 00:34:32 | インポート

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2013-2014シーズン
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2014年3月3日(月) サントリー
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ラフマニノフ ピアノ協奏曲第3番 18′11′15′
  ピアノ、アレクサンダー・コルサンティア
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チャイコフスキー 交響曲第4番 18′10′6′9′
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ダン・エッティンガー 指揮
東京フィルハーモニー交響楽団
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好きな協奏曲ですから、演奏会でプログラムされたときはなるべく外さないようにしている。
コルサンティアさんお初です。地を這うようなヴィルティオーゾで大げさな身振りはなくさっと弾いていく。音楽が自然に徐々に加熱していく、クライマックスは単なる終わりであってそれまでの淡々とした表情の音楽の積み重ねのようなものが少しずつ感興を高めてきた結果。
秘境に揺れる小舟のような冒頭の響きから魅惑的でぐっと惹きつけられる。すーっと曲に入り込んで行ってあとは秘境のヴィルティオーゾ音楽を楽しむ。ラフマニノフならこの3番、それに交響曲も3番。両方ともに好きな曲です。
バックのオーケストラは指揮者があまり得意そうな感じではありませんでしたが、サポートはできておりました。
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後半のチャイコフスキー、相変わらずバレンボイム状態のエッティンガー、マネというより動きが同一DNA状態。まぁ、演奏の中身も似ています。わざわざ濃い状態に持っていくというか、シンフォニックな曲をさらにシンフォニックなものにする。
やにっこくて細かいところでの微妙で作為的な加減速、ドライブ、バレンボイムも同じような出し入れします。形式感というか全体を見渡す力は師匠のほうが上、でもエッティンガー自身、マンハイムでの活躍あり、日本でもリングサイクル振っていますし、メトでは初日公演まかされたりと、彼の実力はかなりなものではあります。いずれバイロイトにも出るのではないかと思っています。遠巻きな見方はせず、こちらも音楽の中に集中していくべきなのでしょう。
ウィンドを筆頭に強めのスタッカートを多く使い、音楽を跳ねるようにしているのは彼自身の新機軸かもしれない。全体的に必要以上に濃く感じるのはまだ作為的に聴こえるためで、そこらへんカドが取れてもう一皮むければ滑らかに進行しながら主張もうなずくようなものになるのだろう。
おわり


1601- 第3回 全国職場バンドフェスティバル2014.3.2

2014-03-02 18:58:02 | インポート

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出演団体と曲目は、ここ
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または以下、
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2014年3月2日(日) 11:20開場 12:00開演
会場:    サントリーホール 大ホール
入場券:S席 \2,500 A席 \2,000 B席 \1,500
主催:    全国職場バンド実行委員会
司会:    茂木亜希子(フリーアナウンサー)
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1オープニング
  ・トランペットファンファーレ(A.ビズッティ)
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2(静岡県)天方吹奏楽団
  指揮:天方 啓二(2,3)・山下 敦之(1,4)
  ・コンサートマーチ「テイクオフ」(建部知弘/藤田玄播 補作)
  ・この木なんの木(小林亜星/杉本幸一 編曲)
  ・ラデツキー行進曲(J.シュトラウス/網代景介 編曲)
  ・吹奏楽のための「風之舞」(福田洋介)
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3(東京都)東芝府中吹奏楽団 指揮:上原 宏
  ・オセロ(A.リード)
    Ⅰ.前奏曲(ヴェニス)・Ⅱ.朝の音楽(キプロス)
    Ⅲ.オセロとデズデモナ・Ⅳ.廷臣たちの入場
    Ⅴ.デズデモナの死~終曲
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4(北海道)六花亭管楽器アンサンブル 指揮:太田 究
  ・幻想曲「幼い日の思い出」(藤田玄播)
  ・船乗りと海の歌(R.W.スミス)
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5(大阪府)パナソニック・エコソリューションズ吹奏楽団
  指揮:山崎 友靖
  ・サモン・ザ・ヒーロー
   (J.ウィリアムズ/P.ラヴェンダー 編曲)
  ・「ウエスト・サイド・ストーリー」セレクション
   (L.バーンスタイン/W.J.デュソイト)
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6(東京都)東京職場合同吹奏楽団 指揮:小林 恵子
  ・マーチ「陽気な高校生」(兼田敏)
  ・吹奏楽のための第3組曲「バレエの風景」(A.リード)
    Ⅰファンファーレと序奏・Ⅱ.パ・ドゥ・ドゥ
    Ⅲ.風変りなポルカ・Ⅳ.全員の踊り
 【参加団体】
三菱東京UFJコンサートバンド・三井住友銀行吹奏楽団
ソニー吹奏楽団・東芝府中吹奏楽団・千修吹奏楽団
東京ガス吹奏楽団・東京国税局吹奏楽団・東急吹奏楽団
JR東日本東京吹奏楽団・郵政中央吹奏楽団
日立ソリューションズ吹奏楽団
トッパンホームズ中央吹奏楽団
ペンタックス吹奏楽団・NEC府中吹奏楽団
富士通川崎吹奏楽団・はましんウィンドオーケストラ
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           <休憩>
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7(愛知県)トヨタ自動車(株)吹奏楽団 指揮:亀井 明良
  ・エル・カミーノ・レアル(A.リード)
  ・オブラディ・オブラダ
   (J.レノン・P.マッカートニー/岩井直溥 編曲)
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8(神奈川)NEC玉川吹奏楽団 指揮:稲垣 征夫
  ・キティ・オーシーズにて~アイルランド民謡組曲~
   (J.デ=メイ)
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9(東京都)ソニー吹奏楽団 指揮:川本 統脩
  ・舞踏会の美女
   (L.アンダーソン/H.ファン=デル=ヘイデ 編曲)
  ・アルメニアン・ダンス・パートⅠ(A.リード)
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10(大阪府)阪急百貨店吹奏楽団 指揮:井上 学
  ・古いアメリカ舞曲による組曲より(R.R.ベネット)
   1楽章 Cake Walk、2楽章 Shottische、5楽章 Rag
  ・ワシントンポスト(J.P.スーザ)
  ・バーナム&ベイリーの愛好曲(K.L.キング)
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11(東京都)NTT東日本東京吹奏楽団 指揮:山田 昌弘
  ・吹奏楽のための「クロス・バイ マーチ」(三善晃)
  ・束の間の恋の歌(井澗昌樹)
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12(静岡県)ヤマハ吹奏楽団 指揮:須川 展也
  ・「アイ・ガット・リズム」変奏曲
   (G.ガーシュイン/中橋愛生)~初演~
  ・シング・シング・シング(L.プリマ/角田健一)
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団体がたくさん出るので、コンクールではないがだいたい時間が長くなる。押して押してざっと4時間半。団体入れ替えのところでアナウンサー付きで団体代表等とトークをいれてくるあたりの配慮はある。このての演奏会は長くなるのは覚悟の上で、まぁ、ゆっくりと楽しみます。
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フェスティバルということで全国トップクラスの職場団体が出ているが、ブラバンモードになるとどうしても採点、比較したくなる。とはいえ、例えばオープニングのあとの2番の、「この木なんの木」「ラデッキー行進曲」を指揮したお方、会社名と団体名と指揮者名が同じなわけですが、この指揮者の演奏と、12番大トリの「シング・シング・シング」の演奏とは天と地ほどの開きがある。技術的な部分はそうなのですが、そもそもなぜこのような職場組織そのもののような指揮配置になってしまうのか、フェスティバルとはいえ、一見、公私混同的なところが垣間見えて見苦しくないと言えばうそになる。事情があったのかもしれないが疑問の2番ではありました。
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個人採点は5段階評価(小数1桁あり、はみ出しあり)、
「スキル」「指揮コントロール」「やる気度」
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1番ファンファーレ(採点外)
演奏順番が早めの団体から集めたのかどうかわかりませんが、何事も最初が肝心ですから、全部の職場を対象に精鋭を選んで、もっと引き締まった伸びのあるファンファーレが欲しかったですね、(ファンファーレてあんまり練習しないんだよね)
通常の演奏会でも曲によりバンダ風に、あのオルガンの下に並んで吹奏されることがありますが、あちらはプロとはいえ、この日の一発目サウンドとしてはかなりの落差でした。
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2番(静岡県)天方吹奏楽団 指揮:天方 啓二(2,3)・山下 敦之(1,4)
1曲目と4曲目は埃っぽくなく静かで良かったと思いますが、なんだか、見ている方向が会社のほうなんだよね、うがった見方かもしれませんが。
(3,3,3→合計9)
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3番(東京都)東芝府中吹奏楽団 指揮:上原 宏
切れ味、粘り気、デリカシー、ダイナミズム、いろいろな表情を聴くことができて楽しかった。いい演奏でした。
(5,5,5→合計15)
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4番(北海道)六花亭管楽器アンサンブル 指揮:太田 究
男性陣は指揮者を入れて4人という惨状(汗笑)、音楽にうねりがあり聴きごたえありました。
(3,3,5→合計11)
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5番(大阪府)パナソニック・エコソリューションズ吹奏楽団 指揮:山崎 友靖
折り目正しく、パースペクティヴが効いている。アンサンブルしている感じがよくでていました。
(4.5,5,5→合計14.5)
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6番合同演奏(採点外)
女性の指揮者、著名な方で、とにかくこの大人数を統率していくエネルギッシュな棒がやたらと素晴らしい、また曲想の変化もよく出ている、感心するのみ。あのような棒だとブラスはうなりたくなるんだよね。ノリノリで最高。
大変な人数でした。マーラーの千人でもあんなに乗らないかな。
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7番(愛知県)トヨタ自動車(株)吹奏楽団 指揮:亀井 明良
統率がとれている。ちょっとマーチング・バンドっぽいところあり。
(4,4.5,5→合計13.5)
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8番(神奈川)NEC玉川吹奏楽団 指揮:稲垣 征夫
ちょっと厳しい曲、思いはわかるが全部音となって伝わってくるわけでもないかもしれない。
(4.5,4.5,4.5→合計13.5)
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9番(東京都)ソニー吹奏楽団 指揮:川本 統脩
ざわついている感じ、少し軽くい、インパクトが欲しい。
(3.5,3.5,4→合計11)
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10番(大阪府)阪急百貨店吹奏楽団 指揮:井上 学
音色を持っている、多様でカラフルなパレットがきれい。
(4,4,5→合計13)
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11番(東京都)NTT東日本東京吹奏楽団 指揮:山田 昌弘
課題曲モードと言いますか、一曲目は締まっていてよかったと思います。
(3.5,3.5,4→合計11)
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12番(静岡県)ヤマハ吹奏楽団 指揮:須川 展也
一曲目の「I got a rhythm」のときから、なんかドラムがやたらとノリまくっていて、リズムとっているだけの音ではないなぁ、という感じがあったんですね。次の「sing, sing, sing」の中間部で、ど派手な一人エンタメショーの始まり。プロアマといったレベルではなく、アドリブなのか独創的な叩きの連続で観る者の目と耳をひきつけてやまない。完全なエンタメショー、ものすごいドラムでしたね。大トリにふさわしい超盛り上がりの内容。
いやぁ、みんな大満足。ヤマハのレベルは他を圧していて、アンサンブルだけではなく、ソロを見せつけるのもこの団体だけでした。最後の最後で「比較聴き」がむなしくなってしまいました。
(6,6,6→合計18)
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以上、
1位18点→ 12番(静岡県)ヤマハ吹奏楽団 指揮:須川 展也
2位15点→ 3番(東京都)東芝府中吹奏楽団 指揮:上原 宏
3位14.5点→ 5番(大阪府)パナソニック・エコソリューションズ吹奏楽団 指揮:山崎 友靖
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4位以下省略
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今回3回目ということのようで、事前案内・宣伝、Webサイト・電話案内、当日対応、他、課題がたくさんあると思いますが、今後永久に続く企画としてほしいと思いました。
当日のホール内座席でのくだけた感じはこのままでいいと思いますね、ゆっくりとリラックスして楽しむことができました。
素晴らしい一日、ありがとうございました。
おわり


1600- 英雄、英雄の生涯、山田和樹、新日フィル、2014.2.28

2014-03-01 01:14:32 | インポート

 

2013-2014シーズン聴いたコンサート観たオペラはこちらから
2013-2014シーズン
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2014年2月28日(金)7:00pm サントリー
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ベートーヴェン 交響曲第3番 エロイカ 15′16′6′12′

シュトラウス 英雄の生涯 23′+24′
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山田和樹 指揮
読売日本交響楽団
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英雄が並んだ演奏会。プログラムとしてはヘヴィーです。
エロイカ第1楽章の提示部をリピートしない演奏というのは最近の演奏会では珍しいと思います。全体的に遅めのテンポをとり王道の演奏。繰り返しをしないほうが全体バランスが良く取れると判断したのだろう。
棒は全く派手ではなく、無駄な動きのないもので、さらに揺れないテンポで、オーソドックスなもの、若手のこのての演奏はなんだか逆に新鮮に聴こえてしまう。やはり、変形した解釈は、まずこのような演奏で聴衆を納得できるような力を蓄えて、それからの話だろう、誰とは言わないが。
エロイカに真正面からぶつかっていった演奏で、指示も隅々までいきとどいた本格的な演奏でした。読響のバスを底辺とした正三角形の響きもその形を崩すことなく反応の良い動きで、快演となりました。
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それに比して後半のシュトラウスはいけません。大曲2曲で集中力が切れたのか、こっちだけ練習不足だったのかわかりませんが、ゆるい。ねじが緩んでいる感じ。音に隙間がある。ブラスも汚れ気味でうるさく聴こえてくる。アインザッツが良くなくハーモニーの頭があわずきれいに響かない。後半のこのプログラムには前半演奏していないプレイヤーが大量投入されるので、気持ちの切り替えはいいのかなと思ったのですが、この曲のために大量投入されたプレイヤーのパートだけ少し練習不足だったのかな。とにかく褒められた演奏ではなかった。
プログラム・ビルディングの失敗。
おわり
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