河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

PC版に一覧等リンクあり。
OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

ファルスタッフ WNO初来日2 1990-20

2007-05-13 20:04:00 | オペラ



ファルスタッフ WNO初来日2  1990-20

昨日のブログで書いたウェルシュ・ナショナル・オペラの1990年初来日公演2本立ファルスタッフ、サロメのうち最初に観たのがファルスタッフ。

1990年11月11日(日) 3:00pm オーチャード・ホール

ヴェルディ 作曲 歌劇ファルスタッフ

ピーター・シュタイン プロダクション

ファルスタッフ/ドナルド・マックスウェル
カウス/ピーター・ブロンダー
バルドルフォ/ジョン・ハリス
ピストーラ/ジェフリー・モーゼス
アリーチェ・フォード/スーザン・マーフィ
ナンネッタ/ニューチア・フォッチレ
メグ/ウェンディ・ヴァーコ
クイックリー夫人/シンシア・バッカン
フォード/バリー・モーラ
フェントン/デイヴィット・オーウェン

リチャード・アームストロング指揮
ウェルシュ・ナショナル・オペラ

名の売れた人は一人もでていないが、今こうやって眺めてみて、おお、と思ったりしたのがナンネッタ役のニューチア・フォッチレ。
日本ではあまりにも名が売れなくて悲しくなってしまうが、現在の日本の表記はヌッチア・フォチレです。
パヴァロッティのライヴ・イン・モデナでの公演で、お相手役としてあまりにも可憐な歌姿に河童は皿がずれたのさ。
この公演はヴィデオ、CDのフォーマットがひっそりと発売されている。
河童のような頭の毛をなびかせて棒を振るベニーニのユニークな姿ともども忘れられない。
このヴィデオのパヴァロッティはちょっと横においといて、唯一フォチレだけみましょう。一番下にCDジャケを貼り付けておきました。

ということで、1990年のプログラムを読んでみるとウェールズ・ナショナル・オペラというのは、ツアー・オペラ(ツーリング・オペラ)のカンパニーのようだ。つまり専属のオペラ・ハウスをもたず、旅芸人一座のように各地を転々として歩くわけだ。
また、プロダクションも選任演出家をもたず一演目ごとに変えているようだ。
歴史的に育まれてきた独自文化から形成されてきたものなのかどうか非常に興味深いところだ。現在はどのような形なのか詳しいことはわからない。

舞台は、ベルリン生まれのピーター・シュタインの演出。非常に演劇性の強いもので、かつリアルスティックな舞台である。
歌い手は日本人から見ればほぼ無名な人ばかりだが、骨太でしっかりした声で歌う。オーケストラ・サウンドも同様な方向性だ。
全てがかなりのハイレベル。聴きごたえ観応え充分過ぎるといったところか。
ファルスタッフはCDで音だけ聴いていても煩雑なところがあるが、舞台を観ていると、ときとして収拾がつかないほど混乱してしまったりする。プロダクションがかわっても動きのはやい人物たちが雑然と動き回ることにかわりはない。
一度、クラウディオ・アバド指揮ベルリン・フィルのCDでも買って、耳を清らかに洗い流してみるのもいい考えだ。

ヴェルディの最後の作品らしい技は歌や演奏に敏感にあらわれるため、経験のある歌い手が大勢そろい歌わなければならないが、バタバタした動きはもっと若々しいものであり、うまくかみ合えば思いっきりヴェルディ最後の笑いを発声させることができるが、混乱してしまうとそうもいかない。
このときの公演は、舞台、歌ともに原色っぽいところがあり一見派手に思えるが、演出が明らかに演技にウェイトをおいており、それが決まっており安定感があり、観る方も安心して楽しむことが出来た。歌は最初に書いたように非常な骨太であり、アンサンブルの妙をこれまた安心して楽しむことが出来た。
WNOはそれまで日本では全くなじみのないオペラ・カンパニーであったが、この一夜でその力を知った。

ただ、河童のからだ的には疲れていてベスト・コンディションとはいかなかったようだ。
昨晩が、ベルリン国立歌劇場の第九公演だったし、その前の日は同じ歌劇場の魔弾の射手を観ていた。3日たてつづけだ。
でもこれでめげてはいけない。なにしろ明日はサロメだ。早い話が4日連続でオペラ3公演、第九公演1回となったわけだ。
つづく