岩手の頑固親父

恵まれた自然、環境に暮す 老農のつぶやき、ぼやき

火防の神さま

2019-04-03 10:32:15 | 日々の暮らし

 花巻地方では昔から「古峰ヶ原さん」と呼ばれる栃木県鹿沼市の「古峯神社」が火防の神さまとして信仰が厚い。
 「古峰ヶ原さん」の講中碑や記念碑を見ると、江戸時代末に建てられた碑もあるから、もう150年以上前から信仰されていたようだ。
 昔、昭和20年代頃までの茅葺き屋根が多かった頃の火事は、現代では考えられない程恐ろしいものだった。
 地区ごとに講を組み、積立して、かわるがわる「古峰ヶ原さん」に代参して防火の「お札」を頂き、各家に配り、受け取ったお札は各家ごとに、囲炉裏や火の気のある場所に貼り、火の用心をする。
 中には個人で屋敷内に氏神さまとして祀る家もあった。
 形こそ替わっても今でもその信仰は続いている。

 この春、花巻地方は季節外れの暖かさと異常乾燥が続いた。
 そんなある日、空気が異常に乾き、となり町ではお昼前に、野火火災が2件も続いていた。
 地区内のある農家が、乾いた天候を利用して、その日の夕方 畦草焼きをしていたが、その火が近くの長木小屋に燃え移り、更に側の居久根の杉の立木に燃え移り、炎が立木に沿って大きく燃え上がり、近くの物置、そして新築間もない母屋も危険になった。
 乾いた天気に、延焼の危険もあって、近所の人や、消防車が20数台も出動し懸命の消火作業をやった。
 水の便も良く、その時間たまたま風が止んでたことも幸いして、長木小屋と杉の立木30本ほど焼いて消しとめられ、住家への延焼は逃れた。
  消しとめられた後には、この家の先祖が、大正の始めに建てた氏神さまが半分に割れた状態で残った。
 小屋、立木が燃え、更に物置、母屋に燃え移る寸前、氏神さま「古峰ヶ原さんが、身代わりとなって、ここで火を食い止めた」その時に割れたのだろう。
 この家のご先祖様が、子孫を災害から守るために建立したものだろう、100余年してその役目を果たした。

 地区の鎮守の八幡さまでは、毎年、旧暦の3月15日、空気が乾燥する時期を前に、火防祭がおこなわれる。
  境内の古峯神社、「古峰ヶ原さん」に御神楽を挙げて地区の防災を祈願する。
 その後に各集落ごとに直会をし消防団や関係者を招いて、防火の啓蒙を受ける。
 旧暦3月15日、今年は新暦で4月19日、案内はすでに全戸に届いた


 

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