前おおさか維新の会代表の橋下徹氏が、テレビ番組に復帰するのだという。政治を諦めたのであればそれもいいだろう。少しでも多くテレビに出て総選挙での票を稼ごうとする思惑があるのならば、かえってそれは逆効果である。安倍晋三総理大臣と共に憲法の改正を主張するのであれば、国民の世論を喚起するためにも、全国を遊説して回ればいいのである▼テレビで求められるのは、あくまワンフレーズでどのように語るかである。それよりも、一冊の本を書き上げるなどして、自らの思いを形にすることが先ではないだろうか。政治家として捲土重来を期し、反転攻勢を行うのであれば、そこには必ず順番があるのだ。橋下氏は日本の政界では、数少ない傑出した人材である。安倍首相以後のことを考えれば、総理大臣候補の一人であることは間違いがない。ここで時間を無駄に使うべきではないのである▼とくに橋下氏は弁護士として培ってきた実績がある。安倍首相とともに、憲法改正の意義を国民に説得すべきなのである。マックス・ヴェーバーの『職業としての政治』(脇圭平訳)のなかに「今日の政治の大半は公開の場で、口頭または文書、ようするに言葉という手段を用いておこなわれるが、この言葉の効果を計算することこそは、弁護士本来の仕事に一部であって、専門官吏のそれではないからである」と書いている。政治家に再挑戦すべき橋下氏には、もっとやるべきことがあるのではないだろうか。テレビ番組のレギュラーになることよりも、なぜ憲法改正なのかを国民に分かりやすく解説すべきなのである。
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