草莽隊日記

混濁の世を憂いて一言

保守に求められるのは忍耐強く相手を説得する思想だ!

2017年12月21日 | 思想家

ここニ、三日東京の本屋をあちこち覗いてみたが、買ってまで読みたい本がなかった。もしかして私たちは思想的に不毛な時代にいるのではないか。右も左も大枚をたたいてもいいという本が世に出回っていないのである▼あくまでも個人的な感想かもしれないが、とくに人文系についてはそうなのである。思想書の棚はほとんどが翻訳書であり、ジャック・デリダなどを手に取ってみても、日本語として首を傾げるものばかりである。小川榮太郎や百田尚樹の新刊書は共感を覚えるにしても、立ち読み程度ですんでしまう。そして、気が付いたことは、本来であれば冷静に考えるべき時代に、知ったかぶりの情報を持ち出して、相手を批判する類が多いことである▼田邊元の『哲学入門 哲学の根本問題』で書かれている精神を、もう一度私たち保守は思い起こすべきではないだろうか。「本当の力というものは、自分を抑えて他を許し他を受容れて他を愛するというところに至ったときに、初めて現れるものであるということになる。だから他を作り変えるとか他を新しくするということは、却って相手方を生かして、相手方を通じて、相手方自らが自らを新たにするように仕向けるということでなければならない。力ずくで以て無理無理、へし折り押し曲げて自分の思うように作るということは真に具体的な意味において作り変えるとか創造するということではない」▼理不尽な攻撃に対して反撃をするのは当然であるが、同レベルに自らを落としてはならないのである。今の日本の保守思想家に求められるのは、忍耐強く相手を説得する能力ではないだろうか。


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コメント (1)
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