私は一貫して放射性物質の危険性を訴えてきた。福島県東部から子供たちや妊婦を避難させるべきだ、とも言い続けてきた。不安を煽っているだけではないか、と何度も罵倒されたりもしたが、現実は予想した通りになっている。とくに残念でならなかったのは、キー局は問題外だとしても、福島県内のテレビ局までもが、県内産の食べ物について、やたらと安全性をPRしていたことだ。そのことに関しても、私は何度か批判したが、民放のローカル4局は耳を貸そうとしなかった。しかし、テレビに出ていたアナウンサー自身が疑問を抱いていたのである。最近まで福島テレビのアナウンサーであった原田幸子さんが、去る17日付の北陸中日新聞に登場し、そのことを正直に語ってくれた。福島駅近くで、洗わないままサクランボを頬張る幼稚園児を取り上げたときに、「これって放送していいの?」と思ってしまったという。私もたまたまそのニュースを見た覚えがある。「頑張ろう福島」とか言っているわけだから、局側も原田さん自身も、それに逆らえる雰囲気ではなかったのだろう。ただ、あのニュースで強調されていたのは、安全性のPR以外の何物でもなく、福島県の食べ物は全て大丈夫だ、と勘違いした県民は多かったはずだ。それだけに、ローカルであろうとも、ニュース報道には大変な責任がともなうのである。
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