また今年も憂国忌の季節となった。楯の会隊長三島由紀夫と隊員森田必勝の壮絶な死は、今なお日本人の心を揺さぶらずにはおかない。とくにTPPによって、我が国が存亡の瀬戸際にあるだけに、なおさら両烈士の偉業は讃えられるべきだろう。東京市ヶ谷の東部方面総監室付きのバルコニーでの三島の演説は、自衛隊員のヤジでかき消されたとはいえ、戦後日本の虚妄を鋭く突いた。国を守るべき崇高な使命を持つべき軍隊が、日陰者扱いにされていることに、三島は憤ったのである。「共に起って義のために共に死ぬのだ」とクーデターをを呼びかけたのも、そのためである。「アメリカは真の日本の自主的軍隊が日本の国土を守ることを喜ばないのは自明である。あと2年の内に自主性を回復せねば、左派のいふ如く、自衛隊は永遠にアメリカの傭兵として終わるであろう」という叫びは真に迫っていた。しかし、平和惚けした当時の日本人は、三島の訴えに耳を貸さなかった。その結果どうなったか。国軍を持たない国家の常として、国益を主張することもできず、他国の軍事的恫喝に対抗するすべをもたずに、現在にいたった。世界が平和であればそれも通用するだろうが、暴力の海のただなかにあっては、国軍の復活なくしては、日本は滅びるだけなのである。もう一度私たち日本人は、三島の主張を思い起こすべきだろう。
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