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横浜在住の偏屈爺が世の出来事、時折の事件、日々の話、読書や映画等に感想をもらし心の憂さを晴らす場所です

世界同時株安 08年の巻

2008-01-23 05:11:22 | 為替 ドル 株式
株安、輸出型企業に冷や水 1万2千円割れの声も(朝日新聞) - goo ニュース

昨日の日経平均株価は725円の下落、年初からは2700円も下げました。
中国、インドはもとより韓国、シンガポールの市場も軒並み下げですよ。東京に次いで開いた欧州市場も下げで始まりましたが、米国連銀の金利0.75%下げ(3.5%へ)を受け落ち着きを見せだした様です。米国市場は尚さげ模様でしたが終値はどうなったでしょうか?
米国のサブプライムローンに端を発した信用不安は世界同時株安と報道されるようになりました。

日本では比較的堅調であった輸出関連企業の株式が米国の不況(予想)、円高を嫌って軒並み値をさげました。加えて外国人投資家が売りに出て下げ足に勢いを付けている様です。

これを受け昨日夕刻のぶら下がり会見で福田総理は記者の「経済の専門家は危機だと言っているが?」と問うと「その専門家の顔が見たい」と今目前の危機を否定していた。
経済担当の大田財務相は「米国発の信用危機だからー(打つ手が無い?)」と何とも脳天気な発言。財政担当の額賀財務相は相変わらず「一喜一憂する事態でない」と何とも落ち着いてると言うより無策な見解。金融担当の日銀福井総裁は物凄くたくさん喋ったが意味不明な発言が多く、情勢判断はサブプライム問題以前の認識に基づいていた。記者の金利下げの質問にはさすが「視野にある」なーんて答えなかった。そもそも少しづつでも上げるべき時に逡巡躊躇して上げなかったのであるから任期2ヶ月を残して又余分な事を判断するとは思えないし、判断されては困る。

米国連銀の利下げと米国株式市場の値動きを見て今朝の東京がどう反応するか注目したい。

さてざっと1年前2月の末に中国の株価暴落で世界各地の株価が乱高下した。
その時にも「世界同時株安」の文字が躍り爺も全く同じ題名で感想を書いた。
わははは

さて今回はなんと言っても世界経済の牽引車である米国の信用不安と株安それに引かれて米国経済不況(リセッション)と見られるから事態はより深刻である。
その際も書いたが根本の原因は米国の1971年金とドルとの兌換停止にある。
それまでは金1オンス(32.104グラム)=1ドルと交換可能な兌換券であったが、以降1ドルは単なる紙の印刷物に変わった。なお通用するのは米国の核を持った軍事力で強制通用させているからである。話を簡単にする為、日米間の問題に限れば、米国がドルによる買い物の支払いを拒めばワシントンから東京へ核ミサイルが飛んでくる。国民の血と汗と涙の結晶である輸出による儲けで買った「米国財務省証券ーー米国の国債」を日本の意思で市場で売却しようとしても同様である。

米国はドルを金との兌換を振り切り財務省で輪転機を回せば幾らでも印刷出来る魔法の杖を手にした。
この結果、米国の財政赤字と貿易赤字でドルは垂れ流し(俗に言う双子の赤字)。
中東産油国は紙の束を山積みにしても意味が無いから貴金属、穀物、動産、不動産と実際価値のある品物へと投資先を漁る。
その結果が原油や穀物そして金もダイヤも高騰した背景である。
1バーレル1ドルの原油が100ドルになったのはドルの価値が100分の1に減価したに過ぎない。

財務省の官僚は「米国財務省証券を買えば金利が高い」事しか目に入らず、ドルが年々目減りしていたり、ドル紙幣が紙くずになる日に備える考えなど全く無い。
昭和20年頃日本軍が占領地区で物資の調達を行い形ばかり軍票(軍の発行する紙幣)を渡すが兌換性がない。そうなると現地人は軍票を焚き付け代わりにし「米麦その他物資」はくれてやるから持って行け(泥棒!)と応答したと聞く。
年に10兆円ほどの黒字をドルに代え米国に持ち出している財務省の官僚とそれを取り締まれない財務相、その上司の総理大臣は職務怠慢である。
昨年も書いたが「経済成長2%に基づく税収の増大」なんて絵に描いた餅である。

大手輸出企業優先、円安誘導、輸出振興策なんて40年前の思想である。本体GDPの半分は内需(民間需要)によって成り立っていた。個人消費、住宅購入はその中の最たる物であるが、小泉政権以来10年以上に亘る0金利政策で庶民の懐に入る300兆円が奪われた。100年安心の年金プランは毎日心配で使う気になれない、規制の緩和は無原則で耐震偽装に懲り建築確認の厳格化と遅延で中小手の建築屋やその下職はばたばた潰れている。派遣業務も同様、会社は儲け、社員は日雇い化で困窮。この上輸入品の値上げによる諸物価の値上げでは国民特に低所得者はたまった物ではない。

話は戻して外需に頼りここ10年以上失敗続きなのに未だ懲りない。
旧日本軍が「次の決戦では敵の主力部隊を包囲殲滅してとか主力艦隊を瞬時に屠る」なんてお題目を唱えている間に「海上輸送路を撤退的に破壊され内地国民全員が飢え死にしかかった」この姿に良く似ている。
「経済成長2%を唱えていれば聖域のない行財政政策を行わなくて済むからである」これでは一部の高級閣僚と官僚の過半の身がしばらく保てるに過ぎない。
福田総理は「2008年度予算案を直ちに大幅に組み替え個人減税と諸々の所得控除を小渕総理時代に戻す」「特別会計230兆円(一般会計と重複分は除く)は一律10%削減。この金で野党と協議し内需の活性化を図る」と発言しなければならない。
この事は外国の事情と関係なく日本人の意思で実行できる事なのである。

でも昨日までの国会質疑を見聞きしても「日切り法案」を与党は「揮発油暫定税率法」を別立てにして審議をしないそうである。その結果、おきる混乱は全て反対する野党の責任という「絵に描いた様なセコイ戦術」に見える。
野党も2兆5千億円の財源くらい政府の無駄遣いを指摘してみせなければ。
財政多難の折には、借金の延払い(支払いの延長とその後の不払い)、金利の減免、藩士からの借り上げ(給料のカット)は江戸の昔からのご定法である。最近始まったNHKTV「篤姫」でやっていたでしょう。

削るばかりでは花がありません。
1兆ドル(1ドル=106円で106兆円)相当ある外貨準備を担保に1975年生まれ以降の国民には税で基礎年金の保証を提案しましょう。
若者は国の宝です。日本も戦後に人がいて居てこその復興でした。21世紀の日本は人が漸減してこその繁栄を考え出さねばいけません。
毎年2%つつ予算が縮小する。その中での落ち着いた繁栄を模索する。これこそが政治のプロに求められる資質です。
福田総理、大田経済相、額賀財務相では難しそうですね。でも気になります。


朝日新聞:
米国の低所得者向け(サブプライム)住宅ローン問題に端を発した世界同時株安を受け、米連邦準備制度理事会(FRB)は22日午前(日本時間同日夜)、緊急利下げに踏み切った。先進国に加えて中国やインドなど新興国にも広がる同時株安は、外需に支えられた輸出型企業が引っ張る日本経済にとって、米景気減速に続く新たな懸念材料に浮上している。米利下げがその流れを変えるか、注目される。

 自動車業界関係者は今回の米緊急利下げについて、「長い目でみると自動車、電機業界などの輸出型産業では業績向上が期待できる」と利点を強調。その一方で「日米金利差が縮まり、短期的には為替が円高にふれやすくなる可能性がある」とも指摘する。日本企業にとっては、金利低下の景気下支え効果に伴う輸出増と、円高で生じるマイナス面とのはざまで、動向を注視する事態がしばらく続くとの解説だ。(引用終わり)

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