王様の耳はロバの耳

横浜在住の偏屈爺が世の出来事、時折の事件、日々の話、読書や映画等に感想をもらし心の憂さを晴らす場所です

北方謙三 「楊令伝」を読む

2007-05-27 07:13:53 | 本を読む
北方謙三さんの「楊令伝」玄旗の章を読みました
この作品は同氏の「水滸伝」の続編に当たる物です

四月のある日新横浜の文教堂に入ると写真の様な「新聞の号外に見立てたPR紙(タブロイド版)」で発刊を知りました
早速市の図書館を検索すると200人待ちです 嬉しい事に友人が北方ファンで4月30日第一刷版を貸してくれました うれぴー

既に11月から「小説すばる」で連載が開始されていたようです
爺は前作「水滸伝」がどの様な終わり方をするのか興味がありました
というのは、中国でも民衆の支持が宋江に集まり、梁山泊が破れ一巻の終わりが「基本編」であったものが「宋江の帰順(官位を受け天子の軍隊に組み込まれる、そして各地の族を次々と平らげる」という形の「応用編」ができ大変長い作品となった、と聞いていました そうすると「替天行道」が死んでしまいますよね
そこは北方文学、帰順する事無く宋江を自決させました


さて本題です:
宋の時代、腐る中央の政治、苦しみ喘ぐ庶民 この状態を救おうと「替天行道」を旗印に108人の好漢が立ち上がります
梁山泊に塞を作り活動しますが、最後に道貫将軍率いる禁軍(天子直属軍)に責め滅ぼされます

首領の宋江は自決、楊令は宋江の介錯をして梁山湖に飛び込み行方知れずになりました
それから3年、遼の北方では女真族の金が建国され阿骨打が王になっています
幻王の助成もあり遼の首都「黄竜府」を占領し王族を追い払う勢いです
各地で生き延びた梁山泊の幹部は呉用の指示で再起を図っています
この呉用も死んだ様に思えましたが、北方水滸伝ファン倶楽部?の要請で生き返ったそうです(まさに現代の民衆講談話ですな)
宋国北部では呼延灼・張清が歩兵を2000人づつ史進が騎兵を2000騎を率いて隠密行動中です いずれも梁山泊戦生き残りの精鋭です
南方では太湖の中、洞庭山に塞を構える事にしました そこから300キロほど南の洞宮山に庄(12の村の集まり)を作り元梁山泊の関係者の受け入れと避難場所(青蓮寺の残党狩りが厳しい)、そして訓練所として機能させるべく環境を整えています

しかし何かが物足りません そうです 宋江に替わる首領がいないのです
幹部は口には出しませんが皆が皆「楊令」の事を考えていました

まだ遼の地である通州とかん平の(どちらも遼東半島北方)城市をあっという間に占領し略奪する一団がいました

幻王率いる「黒騎兵100騎」と配下約2000騎と女真族の応援部隊です
武松と燕青の努力でその「幻王」が金国主「阿骨打」でも彼の弟でもない事が確認されました
楊令は宋江に後を託されてから一気に北へ走りました そこで女真族の若者18名を鍛え熟女真の城郭を襲いました その騒ぎは広がり「青こつ鬼」を名乗る楊令の下に女真族の若者が集まり次の襲撃では80人、やがて100人を越えた 1000人を越えてから金軍の兵站を受けていた
「青こつ鬼」或いは「幻王」こそは梁山泊壊滅から逃れた「楊令」その人でした 新たな運命に向うときを覚悟したようです 面白くなりそー!
続く
写真:「楊令伝」号外



コメント (1)
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