
桜川の桜がほぼ満開になりました。
がんセンターの看護師である知人が、がん患者の術後の心境について論文を書くというので、少しでも参考になればと思って、がん患者としての思いを伝えます。
がん患者すべてが同じ気持ちであるとはいえません・・・これは、あくまでも乳がんを患ったわたし個人の心境です。
退院後、2週間ほどしてから放射線治療を受けるように言われました。50グレイ、25回の照射で、土日を除いて5週間毎日病院に通うのです。
まず、放射線をそんなに浴びて大丈夫なんだろうか? どんな副作用が出るのだろうか・・・と心配でした。
吐き気がして髪の毛が抜けてしまうのかと恐れていたら、それは点滴の抗がん剤治療の副作用であること。放射線にはそのような副作用がないと放射線科の医師が丁寧に説明してくださいました。丁寧に説明を受けることで精神的に落ち着いて治療が受けられます。
放射線の副作用は、皮膚が日焼けするように変色してくるけれど、もとにもどるから心配ないと聞きました。
それでも放射線室の中でひとりになると不安になります。ほんの短い時間なのですが・・・。わたしは主の祈りを祈っていました。
3週間目くらいになると、放射線を当てているところが、少し赤くなり、ひりひりしてきました。しばらくすると、こんがりと小麦色に色づいてきました。その後、日焼けしたのと同じように皮がむけてきれいになりました
放射線治療をすると副作用で体調が狂ってしまうことを恐れ、受けるのをためらっているという友人がいました。わたしは、自分の場合を話して、何の心配もいらないからぜひ受けるように勧めました。
点滴の抗がん剤治療は受けるように言われなかったので、それについては書けません。
わたしが不安になったのは、放射線治療が終わってからでした。
放射線を当てている間は少なくとも再発はしないだろうと思っていたのですが、終わった直後から再発転移が起きてくるかもしれないと考えて落ち着かなくなりました。
4つのリンパ転移があったからです。
リンパ転移についてインターネットで調べると、3個以上転移のある人は10年生存確率4%と書いてあるのを読んで、非常にショックを受けました。
インターネットで情報が簡単に手に入ることは、いい面と悪い面があります。4%という数字も確かなものではなかったのですが・・・当時の私は、その数字にとらわれてもうすぐ死んでしまうのだと思い込んでいました。
生存確率という言葉もよくないですね。もし、生存確率が80パーセントだったとしても、自分は20%に入るのではないかと思い、不安になったことでしょう。
自分の病状を正しく知ることはある程度必要ですが、知らなくてもよいことを知って、不安のあまり心の病にかかってしまうこともあると聞きます。
がん患者の中には眠れないからといって睡眠薬や精神安定剤を飲んでいる人が多いと知人が言っていました。
わたしも眠れなかったのですが、命をにぎっておられる神様にいっさいをゆだねることによって、眠れるようになりました。
つづく
*詳しい治療内容と当時の心境を書いたものはHP「生かされて・・・土筆文香」の「病気のこと」に書いています。