白鳥の国際会議場です。2015年の病理学会以来。
目当てはこれ。昭和のオーディオブームの時には専門誌もいろいろ読んだものですが、住宅事情などもあり長らく封印していました。たまには新しい情報を仕入れないと。
こんな感じで、説明付きで試聴会を繰り返し開催しています。店頭と違い、購入を考えずにじっくり比較試聴できる絶好の機会です。ティアックはテープデッキからFDDが主力の会社になっていたところまでは覚えているのですが、またオーディオに復帰してきたのかな。ここの3モーターカセットデッキは動作が安定していて、よく活躍してくれました。
高効率で安定性の高いスイッチング電源装備のアンプ。昭和のブームの折にはまだ聴感でアナログ電源に勝てないという意見が強かったですが、この30年で大きく進化したはずです。
ハーマンのブースでは見た目も派手なJBL L100 Classicが元気に鳴っていましたが、混雑して部屋が暑いので少し聴いただけ。
空いた部屋に入ろうと言えば動機が不純ですが、Sonus Faberには関心がありました。今回は同社としては普及価格帯の新製品、ソネットシリーズから最小のIと最大のVIIIの比較です。
Iは最も手頃なモデルなのですが、小型スピーカーに期待される音像が妙に大きく、すごく太い弦の楽器が鳴ったり、口の大きな女性ボーカルが歌ったりする印象で当惑しました。座った位置が悪かったのか、それとも自分の耳がそこまで老化してしまったのか?と心配しながら、ジャズクインテットやギターを試聴。スピード感は適度にあるし、アコースティックギターの音はきれいですが、村治佳織さんの楽器が巨大に聞こえるのはいかがなものでしょう。何かセッティングがおかしかったとしか思えません。
次にフロア型のVIIIに交代すると、別物のように音像が小さく引き締まりました。これが本来の姿でなきゃおかしいですね。耳が壊れてるんでなくて良かった。サン・サーンスのハバネラや、タンホイザーの合唱でも、しっかりとしたステレオイメージがあります。日頃AKGのヘッドフォンで聴いているので、楽器が不自然な大きさに聞こえるスピーカーには馴染めません。VIIIの音像と潤いのある音質には魅力がありますが、ペアで90万ですからね。Iの方に期待していたので、はぐらかされた気分です。
ソネットを駆動するトランスポーターとアンプはドイツ製のブルメスター。かなり高価なので、この組み合わせで買える人は多くないでしょうが。
隣の木曽アコースティックについては全く知りませんでしたが、雄大なパイプオルガンの響に誘われて入ってみると、
鳴っていたのは本当に小さなスピーカーで、これはインパクトがあります。エンクロージャーを積極的に鳴らしていく、楽器型のスピーカーだから出せる音だということで、ソースはかなり選びそうですが説得力はあります。振動板以外の要素が共振することは避けられないことであり、楽器と同じような素材であれば雑音として聞こえまい、というスピーカー作りの経験則は健在です。これの対極として、振動板以外を徹底的に防振する、物理的変換器型のスピーカーを目指す方向もあり、両極端の間に様々な方法で音楽を伝える工夫が凝らされています。スピーカーの場合は他のコンポーネントよりも未完成と言うか多様性があり、音色の違いも大きいため、まずはスピーカーを決めてから他の機器を検討するのが効率的でしょう。ただスピーカー選びもじっくり聴いて解説してもらわないと判断できないため、大変手間が掛かります。純粋な音楽鑑賞とはやや違った立場で、オーディオが趣味として成り立つ所以ですね。