いーなごや極楽日記

極楽(名古屋市名東区)に住みながら、当分悟りの開けそうにない一家の毎日を綴ります。
専門である病理学の啓蒙活動も。

GT-Rに見る表面処理技術

2007年12月06日 | 自動車
 話題の国産スーパーカー、日産GT-Rでは生産ラインを従来車とかなり変更してあり、サスペンション部品のプレスでも精度を高めるために特別の処理をしているそうです。プレスには打ち抜きと曲げの機能がありますが、日経のサイトによれば、曲げる部分で正確に形を出すために特殊加工をしているそうです。表面処理で表面の硬度を上げているのでしょうね。

 こうした特殊工程によりサスペンションとして組み上げた際の精度が上がる、と解釈されているようです。このような丁寧な表面処理や精密加工は、高価な産業用機械や航空機、レースカーなどでは当たり前の工程だと思いますが、量産車でレースカーに近いレベルまで手を掛けたということなのでしょう。やはり値段からしてもホンダNSX以来のスーパーカーと言えるでしょう。

 プレス部品の精度が上がることで「カーブで安定する」と説明されていますが、部品のばらつきがなくなることで全体を小型にまとめることができるメリットも無視できません。トランスミッションや4WDのトランスファーなどでも、表面処理や精密加工の技術が上がったことにより、耐久性を落とさずに装置を小型化した例はいくつもあります。例えば、第21回中日産業技術賞で経済産業大臣賞を受賞したジェイテクトの「電子制御4WDカップリング(ITCC)」です。地球上で最も硬いダイヤモンドとほぼ同じ硬さを持つダイヤモンドライクカーボン(DLC)を部品にコートすることで許容トルクを大幅に上げ、4WD車の軽量化に貢献したものです。

 日産ではGT-Rの部品プレスに採用した技術を他の車種にも展開する予定としています。表面処理そのものは日産の独自技術ではありませんから、この手法はこれから流行しそうですね。目に見えない所で弛まない技術の発展が続いているのを覗き見て、ちょっと嬉しくなりました。自動車以上に複雑な動きの要求されるロボットなどの小型化には欠かせない技術であり、やはり自動車産業の裾野は広くて将来に繋がるものであると感じさせてくれます。
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