せっかく買ってみたんですが、前書きに「日本ワインは品質表示も規格もばらばらで、いいワインが提供されるかどうかは生産者の良心による」などと身も蓋もないことが書いてありり、読む気を挫かれました。状況は周知でしたが、長らく日本ワインには手を出していなかったので、少しは改善されたのかと期待していたのです。
これはもう何十年も前から言われてきた日本における酒造業の業病みたいなもので、私としては表示が正確にならない限りは手を出す気になりません。少数の良心的な醸造家を探し出して、海外ワインに比べて高価な商品を継続的に買って育成する、などという行為は文化的に望ましいのでしょうが、一般消費者には負担が大きすぎます。せめて流通側が良質なワインを発掘して紹介してくれればいいのですが、日本のワインを積極的に販売する酒屋は、それこそ例外的です。
カリフォルニアを始め、オーストラリアや南米、または中国にまで大規模なワイン醸造が広がって、品質も次第に上がっている現状で、狭い日本でワイン作りをするなら、圧倒的な高品質を狙うしかないはずです。ところが実態は、業界を律して高品質な産地としての定評を得るのに立ち遅れてしまった感が強く、今後も苦戦が続くのじゃないでしょうか。