いーなごや極楽日記

極楽(名古屋市名東区)に住みながら、当分悟りの開けそうにない一家の毎日を綴ります。
専門である病理学の啓蒙活動も。

間違いだらけのクルマ選び2013年

2015年05月11日 | 極楽日記(読書、各種鑑賞)

 古本屋でつい手に取ってしまった2013年版。20年ほど前は毎年楽しみにしていましたけど、クルマ以外に真面目に取り組むことが多くなって、あっさり手を引いてから10年以上。買って読むのは本当に久しぶりです。徳大寺さんも去年の秋に亡くなられたので、今は島下さんが継いでいます。こういう著者の交代は、長く版を重ねる医学書などではよく見られることなのですが、一般の方は慣れていないためか、Amazonで最新版の評判を見ると読者の反応は厳しいようです。読んでみた感じでは、島下さんがそう悪いとも思えませんが。

 この「間違いだらけ」シリーズは、主に国産車に対する徳大寺さんの立場をざっと概観するには便利で、今のネット環境に比べれば情報量は限られているものの、クルマ好きにとってはいい暇つぶしのネタだったんです。クルマを文化的に見るのはこの本の専売特許じゃなくて、カーグラフィックが先にやっていたこと。ただしあれを1年分通読するのは大変で、持ち歩きも難しいですから、この本で手軽に楽しんでた人が多いのだと思います。往年のみのもんたの番組がそうだったように、とりあえず各車の評点がすぐわかる、つまり次に買うクルマをどれにしようか意見をしてくれる安直さも人気が出た理由でしょうね。

 この評点はそれこそ話半分に見ておくべきもので、ある車種の評価が次の年度には大きく変わることがあります。また徳大寺さんの評価基準が自分の基準や環境と同じとは限りません。例えば徳大寺さんは子供のいない人だったのでミニバンへの評価は厳しく、近年のミニバン需要の増加を捉えていなかったように思います。小型車の基準となったのはVWゴルフで、最初の版では「日本車の10年先を行く」などと平気で書いていました。デザインや走行性ではそうかも知れませんが、反面VW車の低速燃費や製造品質管理、維持コスト、静粛性などは長らく日本車を下回っていた部分です。極楽家でもヴェントVR6(ゴルフIIIのセダン)を所有していたのでこれは確信を持っています。

 徳大寺さんのファンはけっこう多かったので、車を買う際の参考にした人は多いと思います。ただし何十年間にも渡ってこの本などで批判され続けたにも関わらず、最大手のトヨタはこういう外部の評論家の意見をほとんど採用した形跡がありません。トヨタの徹底した顧客調査からくるクルマ作りの自信は、それはそれでびくともしないもので、クルマ好きをターゲットにした本やサイトでは酷評されながらも、クルマにさして興味のない絶対多数の人に向けてクルマを作り続け、ついに生産台数世界一を勝ち取った実績は認めざるを得ません。所詮、クルマを趣味にできるほど多くの日本人が豊かでなかったということなんでしょう。

 こっちはサライの旅行特集。高級料理旅館への旅などそう簡単に行けませんが、写真がきれいなので疑似体験になっているのかも。
コメント
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