極楽家の勝手口の階段前には袋栽培でナスを植えてありますが、その袋からいつの間にか生えてきた木です。最初は何かわからなかったので、少し待ってみようと思ったら、半年もたたずに見る見る大きくなってきました。
巨大な切れ込みのある葉はイチジクに似ていますが、イチジクが勝手に生えるというのは聞いたことがありません。本来のイチジクは雌雄別株で、日本に入ってきたのは受精しなくても雌の木だけで実(植物学的には花)が大きくなるように改良した栽培種なので雄の木は需要がなく、研究施設などを除けば雌の木しかないそうです。従って日本のイチジクの実は受精していないため種ができません。原産地の西アジアではどちらの株も生育しており、イチジクコバチという昆虫が受粉させているそうです。だから、輸入の乾燥イチジクにはコバチの干物が混入しているかも。
ともかく、日本でイチジクが種で広がるのは無理です。従ってイチジクは除外。この木はイチジクに比べて幹が真直ぐで、かなり大きくなる感じがします。それに樹皮が緑色。以上の特徴からはアオギリが最も考えられます。少し葉の切れ込みが多すぎるような木もしますが、検索してみたらこんな個体もあるようです。
中国語では梧桐。梧桐の葉が梧葉です。あまりに有名な朱熹(朱子)の偶成
少年易老学難成
一寸光陰不可軽
未覚池塘春草夢
階前梧葉已秋聲
にも詠われており、階段前に生えてきたのは縁起がいいのかも。ただし、この詩は明治時代に朱熹の思想を象徴するものとして教科書に記載されたため日本では有名なのですが、中国では知られていません。調査の結果、どうもこれは朱熹の作品ではなくて、夢窓疎石などの弟子であった室町時代の高僧、観中中諦(かんちゅうちゅうたい)の詩を後世の人が改変したもののようです。
なぜかアリがたくさんたかっています。問題はこの木が大きくなることですね。高さ10-15mではとても袋で育てるわけにはいきません。葉も巨大で野菜に日が当たらなくなってしまうので、処遇に困るところです。まあ袋では大きくなれないと思いますけど。