いーなごや極楽日記

極楽(名古屋市名東区)に住みながら、当分悟りの開けそうにない一家の毎日を綴ります。
専門である病理学の啓蒙活動も。

トヨタヴィッツ

2012年09月25日 | 自動車

 自動車を修理に出したので、数日間だけヴィッツが代車でやって来ました。いつものコスモステーションと違って正規ディーラーなので、代車も走行距離1万km台の現行車。折角なので評論家ごっこしてみます。

 ヴィッツは2010年の暮れに出た現行モデルで3代目。初代はネッツ店で試乗したことがあります。当時に比べると一回り大きくなり、デザインも面の継ぎ目が鋭角的になって雰囲気が変わりました。最近のトヨタが志向している「キーン・ルック」の一環かもしれません。力強いことは力強いですが、ヴィッツを買う消費者層がこれを求めているのか、と思うとちょっと疑問です。

 全長が4mに近くなり、ホイールベースは2,500mm。また背も高いので、室内はかなり広いです。内装は黒と薄いグレイで統一されており、オフィス家具みたいですね。他の色も選べるみたいですが、デザインは共通。トヨタにしては素っ気無いかな。

 室内が広いので、大型のシートを設置できます。背もたれが十分に高くてしっかりしており、これは好感が持てます。座面の方は狭くはないですが、グレードがあまり高くないのか落ち着かない感じがしました。ちょっと惜しい出来ですね。

 これも素っ気無いシフトレバー。CVTですが、以前酷評したアクシオのようなぎくしゃくした感じはなく、作り慣れてきた印象を持ちます。それよりも今回はごろごろといつも元気に騒ぎ立てる3気筒エンジンの存在感が目立ちました。

 1KR-FEはダイハツ製の3気筒で、51kW[69PS]/6,000r.p.m, 92N・m(9.4kgf・m)/3,600r.p.m.と公表されています。可変バルブタイミングで低速トルクを厚くしていますが、1t近いヴィッツに1Lエンジンはやはり非力。勇ましいエンジン音と、トヨタ得意のスロットル設定で出足は活発なように演出されていますが、余裕がありません。

 タコメーターがないので回転数は不明ながら、高速道路ではかなり一生懸命な印象がありました。これで定員乗車だったら、上りは苦しいでしょうね。長く乗ると疲れるでしょうから、長距離の家族旅行にはもっと力のあるエンジンをお薦めします。この上の1.3Lなら大幅に好転すると思います。

 ヴィッツの最大の課題は足回り。ハンドリングは極楽家のウィンダムのような朦朧とした感じこそ軽減されていますが、路面の状態が伝わりにくく、しゃきっとしないのも相変わらず。運転する楽しみを求める車ではありません。この辺はライバルのフィットが優れています。

 それにも増して問題なのは乗り心地です。この落ち着かない乗り心地はなぜでしょうか。たいして荒れていない道路にもかかわらず、絶えず振動と左右の上下動に見舞われて困惑しました。アクシオの場合はふにゃふにゃした乗り心地だったのに対し、ヴィッツではがくがく、どどどど、という実に賑やかなもの。疲れますよ。これを最初の車として買ってしまった人は、遠出が嫌になるでしょうね。

 このサイズの乗用車として、ホイールベース2,500mmは十分以上の数字です。これだけあれば高速道路では路面に吸い付くような安定感だって実現できるはず。こう言い切れるのは、ヴェントVR6(ホイールベース2,475mm)でこれぞアウトバーン育ち!という絶品の操縦性と安定感を体験しているから。20年前のドイツ車に及ばない乗り心地では、いかなる言い訳があっても説得力を持ちません。新しいup!の評判が何であんなにいいのかと不思議に思っていましたが、国産のライバルがこの程度なら、確かにかなり食い込まれそうですね。
コメント
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