いーなごや極楽日記

極楽(名古屋市名東区)に住みながら、当分悟りの開けそうにない一家の毎日を綴ります。
専門である病理学の啓蒙活動も。

寧夏ワイン、ボルドーを脅かす

2011年12月15日 | 極楽日記
 WSJの記事です。寧夏(Ningxia)の赤ワインが本場ボルドーの赤ワインを打ち負かした、という意外性に、つい読んでしまいました。北京で中国人5人、フランス人5人の審査員がそれぞれの赤ワインを試飲して評価したところ、上位5本のうち4本は寧夏のワインであった、というフランス人にとってはショッキングな内容です。

 審査員の半分がフランス人なので、完全なお手盛りでもなさそうですね。ボルドーと言ってもピンからキリまであり、フランス人のコメントにあるように最高のものが敗れたわけではないので、本当に2009年のビンテージで寧夏がボルドーを圧倒していると断言できるわけではありません。でもこれを機に寧夏の知名度は上がるでしょうね。だって今まで誰も知らなかったのですから。そこで世界の品評会で一流と認められれば、名産地として定着できるわけです。

 私も10年ほど前から中国で赤ワインの消費量が毎年増えており、国内生産も盛んだとは聞きましたが、寧夏というのはほとんど初耳です。行政区で言えば寧夏回族自治区。北京より1,000km以上西にある、とんでもない山奥です。しかもイスラム教徒の回族自治区。こんな所でワインの生産が盛んだとは実に意外。面積が6万6千平方キロ、人口が588万人ということは北海道に近い規模です。黄河の上流域に当たり、灌漑による農地創出の余地が大いにあるそうです。

 山奥の寒冷地と思いきや、昔から「天下黄河富寧夏」と言われるように黄河流域を中心に農業生産は盛んであり、石炭の産出量も多いそうです。輸送手段が発達した近年においては、高品質の果物の生産で有名だとか。なるほど、この黄河上流域でワイン用のブドウを栽培しているわけですね。ボルドーやブルゴーニュと似た気候や地質の地域があるのでしょう。すると白ワイン用のブドウにほとんど特化した北海道に比べれば、いくらか温暖な地域があると判断できます。

 地図を見ると、中心都市である銀川市に北京から延々と高速道路が通じています。これをたどれば、夏休みに行った万里の長城(八達嶺;はったつれい)を通るルートじゃありませんか。そうか、あの道路を走ってた大型トラックが寧夏の物産を北京まで運んでいたんですね。北京で食べた果物の中にも寧夏産のものがあったのかも。いずれはワインにお目にかかることもありそうです。
コメント
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