いーなごや極楽日記

極楽(名古屋市名東区)に住みながら、当分悟りの開けそうにない一家の毎日を綴ります。
専門である病理学の啓蒙活動も。

入試問題流出は大きな問題にならない。ただし京大の場合。

2011年03月01日 | たまには意見表明
 京都大学の入試において、試験時間内に英語と数学の問題の一部がインターネットの質問サイトに投稿されて問題になっているようです。調査では早稲田、立教、同志社でも同じような問題流出があったようですね。

 質問サイトにアクセスしたIDを調べるには警察からの要請が必要なので、京大は今回の事件を偽計業務妨害で告発したそうです。とりあえずこれで騒ぎは収束するでしょうね。ただし京大だけです。東大とか京大といった旧帝大の入試問題は記述式が主体で、問題量も相当に多いのできちんと勉強していないと厳しいものです。外部に有能な協力者がいてリアルタイムで回答してくれるならともかく、いつどんな答えがアップロードされるかわからない一般の掲示板に頼っているようでは合格点を取るのが難しいでしょう。問題が流出したとされるサイトを見てみると、やっぱりベストアンサーが付くまでに時間の掛かっているものが多く、これでは試験時間内に回答するのが困難です。

 また入学してしまえば就職活動以外は遊んでいられる一部私大文系と違い、国公立大の卒業認定はかなり真面目です。教養課程の語学でもきちんと出席して勉強しないと容赦なく落とされますので、自力で入試に受からない人が紛れ込んでも無駄になることが多いでしょう。

 これに比べると私大は甘いですよ。推薦で入った人、小学校の知能テストみたいなAO入試で入った人、帰国子女枠、スポーツ推薦、一芸入試など学力レベルがばらばらなので、かなり学力面で厳しい人でも卒業までたどり着けるようになっていたはず。聞いた話では、スポーツで有名なある私大では、答案用紙の名前欄の横に「XX部」と書いておけばきちんと照合してくれて、白紙でも満点の扱いになったそうです。スポーツで入った特待生は競技での期待が大きく、一般の講義を聴いている暇なんかほとんどありませんから。

 従って、危機感を持って入試の監督体制を見直さなければならないのは私大の方だと思います。一次試験の足切りがないので受験者数が膨大だし、それを採点するためにマークシートを多用。まあ私大にとって入試は大きな定時収入でもあるので、受験者数を絞るわけにもいきません。むしろ地方会場を増やして受験料稼ぎに躍起になっているのが現状です。せめて会場で携帯電話だけは使えないようにした方がいいですね。

 今回の事件を受けて、少なくとも来年度からはほとんどの会場で携帯電話持込が禁止になるでしょう。aicezuki君も、京大に受かりもしないのに対策だけ教えてくれてご苦労様というところです。もしかしたら他の大学は合格したかもしれませんが、これも一芸と考えれば実害はないんじゃないでしょうか。少なくとも早稲田が合格させた広末涼子とか福原愛に比べれば、まだ入学してから講義に出る見込みはありますから。

 犯人が特定できなければ今回の手口はわかりませんが、受験生が貴重な試験時間を潰して実利の期待できない犯罪を犯すというのも動機不明です。自分の親指入力テクニックを誇示したいのか、何か新しい携帯の使い方を見つけたのか、単なる愉快犯なのか。いずれにしてもaicezuki君が受験生だとして、本気で合格しようという意欲が感じられません。受験生よりリスクの低い立場の人が、何か別の方法で入試問題を手に入れ、受験生と偽装して流出させた可能性も消せないなと思います。

 そもそも入力は親指のブラインドタッチでできるとしても、回答は液晶画面を見ざるを得ないでしょう。ポケットの中で親指を動かしていても外からはわかりにくいかもしれませんが、画面を見つめていたらどんな試験官だって気付きます。「試験時間内に質問サイトを見る気はなく、実際に外部からの回答を見たのは試験終了後である。このことは携帯電話会社のアクセス記録から証明できる。」と主張された場合、法律的にはこれが犯意を持ってなされた行為なのかどうか判断が難しいかもしれません。
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