さて、当面は村井純さんの音頭取りで「コピー回数緩和、ただし孫コピーなし」で合意するのかと思われていたデジタルビデオレコーダーの仕様が、また混乱してきました。著作権者の団体が総出で緊急声明を発表しJEITAを批判、というのですから穏やかではありません。相当に強い態度に出ています。
JEITAというのはテレビやレコーダーなどの機器を作っているメーカーの団体ですね。総務省の情報通信審議会を巡って著作権者団体とJEITAの対立が鮮明になってきました。総務省や文化庁は、組織されていない一般エンドユーザーなど相手にもしてくれませんから、著作権者団体と互角に渡り合える最大の交渉相手がこのJEITAです。
デジタル放送の暗号化やコピーワンスで著作権者団体に大幅に譲歩したメーカー団体が、今度は著作権者団体と折り合おうとしないのですね。もし著作権者団体が、「今度も強気に出れば有意な交渉になるだろう」と期待しているのなら当て外れです。視聴者の多くに十分な情報がなかったコピーワンス導入時と違って、今の視聴者はコピーワンスの不便を散々味わっていますし、外国の状況もわかっていますから。
メーカーの事情は簡単です。デジタルテレビもレコーダーも売れていませんから。そりゃ少しずつは売れていますよ。でも古くなったのを更新するという消極的な需要が主体であり、地上デジタル導入時にメーカーが期待したような積極的な消費行動には繋がっていません。メーカー団体にしてみれば、「コピーワンスで多少不便になっても、デジタル化の高画質の魅力で高額商品が売れる」と読んだからこそ著作権者団体に大幅譲歩してコピーワンスで手を打ったのです。それが売れないのですから、今度こそは小出しの緩和策では納得できないでしょう。メーカーの声は消費者の声でもあります。
そう考えると、この「緊急声明」とやらの独善的な調子が目に付きます。「JEITAはコピーワンスの見直しを望んでいないのでは」なんて、寝ぼけるのもいい加減にしましょう。視聴者に宣戦布告をしたのは誰だったのでしょうか?「海賊版は“海賊版業者”が作るものというのは過去の話。デジタル機器に詳しい若年層も増え、一部の不届き者の愚行でなく、だれしもができうるものだ。」という日本音楽事業者協会(JAME)の「視聴者性悪説」には気分が悪くなります。理屈としては正しくても、もう少し言い方というものがあると思います。コンテンツの対価を支払っている一般視聴者について、「顧客」という概念はないのでしょうか?
このJAMEというのは感心するほどがめつい団体で、HDDなど汎用のストレージからも補償金を、という運動の先頭に立っています。コンテンツのお陰で機器が売れるのだから、メーカーがコンテンツホルダーに補償金を支払うのは当然なんだそうです。それじゃ、機器のお陰でコンテンツが売れるのだから、JAMEは売り上げの一部を機器メーカーに補償してはどうですか?JAMEは「世の中は持ちつ持たれつ」ということが全くわかっていないようです。有料コンテンツをコピーしていないHDDにも課金なんて、ともかくHDDがそこにあればカネが取れるとでも思っているのでしょうか?これでは暴力団の「みかじめ料」と変わりません。
芸団協の「たとえ製品がラインに乗った後だとしても、必要とあれば見直さなければ」という言い方は、もうメーカーに喧嘩を売っているとしか聞こえませんね。レコーダーを買うたびに録画回数の制限が違うなんてことになれば、市場はこの上なく混乱します。誰も新製品なんか買いませんよ。レコーダーやディスクが売れて、応分の録画補償金が欲しいならアメリカ並にコピーフリーにするか、せめてJEITA案のEPNにならなければ整合性がありません。EPNならコピーワンス機でも内部のソフトウェア(ファームウェアと言うらしいです)書き換えで対応できるものが多いそうなので、既にコピーワンス機を買ってしまった視聴者を救済するにはEPNが最も合理的なのです。
地上デジタル普及を急ぐ総務省の意向を受けて、とりあえずは決着と見えた仕様もまだ動く可能性があり、それにつれて製品の発売もずれ込むことが予想されます。私は編集のできないコピー回数緩和なんて有難くないので、緩和対応機が発売になったら、昔のVHSダビング用に在庫処分のコピーワンス機でも狙おうと思っていたのですが、どうやらお預けになりそうです。まあ、地上デジタルの普及が遅れるのは一向に構いませんが。
それにしても実感するのが、「一度譲歩した後に取り戻すのは至難」という昔からの真理ですね。著作権者団体のような利権団体を相手にする際は、譲れば譲るほど新しい権益にしがみ付く人が増えるので、次の交渉ではより一層の譲歩を迫られます。今にしてみればメーカー団体が最初に譲歩し過ぎたのは大きな誤りでした。外交にしても、予算配分にしても、これと同じような交渉失敗をして既得権を作ってしまう例が多いのではないでしょうか。
JEITAというのはテレビやレコーダーなどの機器を作っているメーカーの団体ですね。総務省の情報通信審議会を巡って著作権者団体とJEITAの対立が鮮明になってきました。総務省や文化庁は、組織されていない一般エンドユーザーなど相手にもしてくれませんから、著作権者団体と互角に渡り合える最大の交渉相手がこのJEITAです。
デジタル放送の暗号化やコピーワンスで著作権者団体に大幅に譲歩したメーカー団体が、今度は著作権者団体と折り合おうとしないのですね。もし著作権者団体が、「今度も強気に出れば有意な交渉になるだろう」と期待しているのなら当て外れです。視聴者の多くに十分な情報がなかったコピーワンス導入時と違って、今の視聴者はコピーワンスの不便を散々味わっていますし、外国の状況もわかっていますから。
メーカーの事情は簡単です。デジタルテレビもレコーダーも売れていませんから。そりゃ少しずつは売れていますよ。でも古くなったのを更新するという消極的な需要が主体であり、地上デジタル導入時にメーカーが期待したような積極的な消費行動には繋がっていません。メーカー団体にしてみれば、「コピーワンスで多少不便になっても、デジタル化の高画質の魅力で高額商品が売れる」と読んだからこそ著作権者団体に大幅譲歩してコピーワンスで手を打ったのです。それが売れないのですから、今度こそは小出しの緩和策では納得できないでしょう。メーカーの声は消費者の声でもあります。
そう考えると、この「緊急声明」とやらの独善的な調子が目に付きます。「JEITAはコピーワンスの見直しを望んでいないのでは」なんて、寝ぼけるのもいい加減にしましょう。視聴者に宣戦布告をしたのは誰だったのでしょうか?「海賊版は“海賊版業者”が作るものというのは過去の話。デジタル機器に詳しい若年層も増え、一部の不届き者の愚行でなく、だれしもができうるものだ。」という日本音楽事業者協会(JAME)の「視聴者性悪説」には気分が悪くなります。理屈としては正しくても、もう少し言い方というものがあると思います。コンテンツの対価を支払っている一般視聴者について、「顧客」という概念はないのでしょうか?
このJAMEというのは感心するほどがめつい団体で、HDDなど汎用のストレージからも補償金を、という運動の先頭に立っています。コンテンツのお陰で機器が売れるのだから、メーカーがコンテンツホルダーに補償金を支払うのは当然なんだそうです。それじゃ、機器のお陰でコンテンツが売れるのだから、JAMEは売り上げの一部を機器メーカーに補償してはどうですか?JAMEは「世の中は持ちつ持たれつ」ということが全くわかっていないようです。有料コンテンツをコピーしていないHDDにも課金なんて、ともかくHDDがそこにあればカネが取れるとでも思っているのでしょうか?これでは暴力団の「みかじめ料」と変わりません。
芸団協の「たとえ製品がラインに乗った後だとしても、必要とあれば見直さなければ」という言い方は、もうメーカーに喧嘩を売っているとしか聞こえませんね。レコーダーを買うたびに録画回数の制限が違うなんてことになれば、市場はこの上なく混乱します。誰も新製品なんか買いませんよ。レコーダーやディスクが売れて、応分の録画補償金が欲しいならアメリカ並にコピーフリーにするか、せめてJEITA案のEPNにならなければ整合性がありません。EPNならコピーワンス機でも内部のソフトウェア(ファームウェアと言うらしいです)書き換えで対応できるものが多いそうなので、既にコピーワンス機を買ってしまった視聴者を救済するにはEPNが最も合理的なのです。
地上デジタル普及を急ぐ総務省の意向を受けて、とりあえずは決着と見えた仕様もまだ動く可能性があり、それにつれて製品の発売もずれ込むことが予想されます。私は編集のできないコピー回数緩和なんて有難くないので、緩和対応機が発売になったら、昔のVHSダビング用に在庫処分のコピーワンス機でも狙おうと思っていたのですが、どうやらお預けになりそうです。まあ、地上デジタルの普及が遅れるのは一向に構いませんが。
それにしても実感するのが、「一度譲歩した後に取り戻すのは至難」という昔からの真理ですね。著作権者団体のような利権団体を相手にする際は、譲れば譲るほど新しい権益にしがみ付く人が増えるので、次の交渉ではより一層の譲歩を迫られます。今にしてみればメーカー団体が最初に譲歩し過ぎたのは大きな誤りでした。外交にしても、予算配分にしても、これと同じような交渉失敗をして既得権を作ってしまう例が多いのではないでしょうか。