いーなごや極楽日記

極楽(名古屋市名東区)に住みながら、当分悟りの開けそうにない一家の毎日を綴ります。
専門である病理学の啓蒙活動も。

+do(プラスドゥ)というガスコンロ

2006年11月10日 | 比べてみよう

 古いビルトインコンロの使い勝手が悪く、交換を検討している極楽家ですが、ビルトインコンロの歴史が浅いせいか、フリースタイルのコンロやガステーブルに比べて格段に高価で、しかも設置費まで必要な割には、「ビルトインならでは」というメリットがはっきりせず、ずるずると思案を続けています。

 今のガスコンロで人気があるのは「ガラストップ」の製品だそうで、汚れにくい、傷がつきにくい、汚れても拭けば落ちやすいのが利点とされています。この種の製品はゴトクなども可能な限り小さくなっており、ガスコンロと言うよりは高級オーディオ機器みたいなデザインがされています。

 こうした「ガスコンロらしくない」デザインは、電力会社や家電メーカーのIHコンロの攻勢に影響されたものでしょうね。できるだけ生活感をなくして、いつもきれいに磨いて置いておきたいという要望を酌んだのでしょう。

 でも、そんなの好きじゃないぞ、と思う極楽親父です。私はよくできた工業デザインを最大限に評価しますけど、それは究極の機能美を感じるからです。実用品として磨き込まれた中から生まれる最も合理的な形態が、結果として最も美しい形になる。実際はそんなにうまくいかないんでしょうけど、そのように感じさせるのが正しい工業デザインだと思います。

 できるだけ使わずに置いておくほど本来の美しさが保てる。そんな機能美があるもんですか。およそ調理から逃げているようなガラストップコンロのデザインは、「使ってみたい」「これでおいしい物を作ってみたい」という衝動を喚起しません。「そんなに汚れたくないなら、何でガスコンロになったの?」と聞いてみたいぐらいです。

 この「調理したくない人にアピールする」パターンの広告は、先手を打ったIHコンロも同じことで、中部電力の広告では女優の小雪さんが、いかにも涼しげにIHクッキングヒーターを使いこなしていますが、やはり掃除の手軽さが強調されています。スリムな小雪さんは、普通の人から見ればかなりきつい節食をしていることがうかがわれて、あまり食欲が湧かないな、というのが私の印象です。

 コンロの広告なのですから、森野熊八さんとか陳建一さんのような恰幅のいい料理人が、がんがん調理して見せる方がずっと、「おお、ウチでもやってみたいな」と思わせるんじゃないでしょうか。

 広告でも商品のネガティブ面を改良したことを強調したいのでしょうが、どうも発想が後ろ向きですね。衝突安全性や環境対応ばかりをうたったクルマの広告が面白くないのと同様、消費者としては「もう十分だ。言われなくてもわかってるよ。」と感じます。

 こんなビルトインコンロにうんざりしていた最近、東京ガスから新発売された+do(プラスドゥ)というコンロを見つけました。「料理を楽しもう」というコンセプトがまず嬉しいじゃないですか。「使わない時も目立たないですよ」じゃなくて、「どうぞ使って下さい」と言っているわけです。

 敢えて流行に背を向けてステンレスの天板を採用。ガラスほどぴかぴかじゃないけど、使い込むと味が出てきます、という殺し文句は、私のような道具好きにはたまりません。業務用コンロと同じがっしりしたゴトクを全面に装着。うん、これでなきゃ。手入れ最優先の超小型ゴトクなんて、優先順位を間違えていますよ。

 全面ゴトクの形だと、「鍋を火から下ろして調味料を入れる」といった作業がとても簡単だし、プロの技である「鍋振り」もできますね。つるつるのガラストップじゃ危なっかしくって鍋を載せられません。

 「専用ダッチオーブン付」はとても面白い企画ですね。いかにも私のような親父連中をターゲットにしているようで。メーカーの思惑に簡単に引っ掛かるのは少し癪ではありますが、でも使いにくいダッチオーブンをこれだけ簡便なものにしてくれたのは有難いです。やはり釣られてしまったかな。

 この業務用並の機能的なコンロを、きちんとデザインして出してくれたことに感謝します。調べてみると、このコンロの生産はハーマン(ノーリツ)で、名古屋でも手に入るようです。デザインに優れたコンロと言えば、ロジェールなどを思い出しますが、+doも負けていません。ちなみにデザイナーはフランス人だそうです。

 でも残念な点がありました。価格が非常に高いことと、大型バーナーが左側にあるモデルしかないこと。極楽家ではコンロの左が壁なので、右側に大型バーナーがないと困るんです。東京の人がたくさん買ってくれて、メーカーが右側大型バーナーのモデルを追加してくれることを祈るばかりです。
コメント (2)
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