いーなごや極楽日記

極楽(名古屋市名東区)に住みながら、当分悟りの開けそうにない一家の毎日を綴ります。
専門である病理学の啓蒙活動も。

都市部の票を国政に

2005年09月12日 | たまには意見表明
 総選挙は自民党の圧勝でした。これは極楽親父にとって想定の範囲内。「劇場型」と言われる小泉流のパフォーマンスが、単純な構図を求める有権者の動向を見事に捉えており、労組を気遣って歯切れの悪い民主党を圧倒するのは最初から見えていました。ただし、後述しますが現行の選挙制度では、です。

 郵政民営化そのものは争点として有効でした。全国一律のサービスと言えば聞こえはいいのですが、都市部の大幅な黒字を地方にばら撒き、しかも民間企業の参入を阻害している郵政のあり方は、税金ばかり払わされて縁もゆかりもない地方を養わされていると思っている都市部サラリーマンの批判対象となったようです。「税金のみならず、郵便でも地方に貢いでいるのか!」という不公平感ですね。

 郵便貯金の巨大さと融資対象の怪しさについても、広く知られるところとなりました。都会から見て「必要のない」「無駄な」地方事業は、郵便貯金が原資だったのか。赤字国債を高値で買い続けるのも不健全だ。よし郵政は民営化だ!こんな判断がなされたのでしょうか。

 今回は今まで地方主導だった自民党に、都市部無党派の支持が集まり、都市型政党としての性格も見えてきた、というところだと思いますが、留意すべきはこれが小選挙区での選挙結果だということ。自民、公明合わせて3分の2の議席を確保しましたが、各選挙区の得票率を見れば、そんな圧倒的な支持が集まったわけではありません。

 郵政はともかく、更に根深い税制や年金、医療の改革を進めるためには、高い支持率が必要となります。強い反対のない改革は実効のある改革ではありません。抵抗勢力を切り崩してこそ改革だからです。その際に、小選挙区のマジックで得ただけの「水増しされた」議席で議論を進めようとしても、強い不平等感により多くの支持を得られないでしょう。

 自民・公明連立政権が本当に都市部勤労者の意見を代弁するようになるには、やはりこの勝利に乗じて選挙制度を改革することが必要だと思います。「1票の格差」が大きく、死票が多い、つまり少し人気が出ただけで地すべり的な大勝利を得られる小選挙区ではなく、負担した税額を反映できる中選挙区あるいは比例代表制に。

 これが実現しなければ、地方での根深い利益誘導政治は形を変えて残ります。今回の選挙でも、中村喜四郎、鈴木宗男両議員が復活当選を果たしているように、古い「おらがセンセイ」体質は簡単に払拭できません。両名とも自民党を離れているとは言え、中央とのパイプ復活を狙っていることは明らかであり、将来とも復帰がないとは言い切れません。1票の格差が少なければ、あるいは全国区に近い選挙制度なら、このような候補が当選する確率は低くなるはずです。

 民主主義の原則は「代表なくして課税なし」です。勤労者のための改革が実現されなければ、日本は古い自民党的体質を抱いたまま衰退していくしかありません。
コメント
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