アブソリュート・エゴ・レビュー

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Terminator Salvation

2009-05-31 16:27:43 | 映画
『Terminator Salvation』 McG監督   ☆☆☆★

 土曜日に『ターミネーター・サルヴェーション』を観てきた。

 前作のラストでスカイネットが反乱を起こしてしまったので、本作はついに未来戦争映画となった。タイムマシンで現代にやってきたターミネーターが人間を追い回す、という一作目からの黄金パターンがとうとう崩れたわけである。するとどうしてもジョン・コナー率いる人間たちが武装してロボット兵器群と戦い、ターミネーターはぞろぞろ現れ、敵地に乗り込んで捕まっている人間たちを救い、爆破し、ということになり、この手のSF戦争映画、たとえばマトリックス(の二作目以降)とかエイリアン(の二作目以降)とかと話の流れは大体似てくる。個人的には殺しても死なない一体のターミネーターがどこまでも追ってくるという設定が好きだったが、まあ前作で色っぽい女ターミネーターまで出してしまったし、同じパターンではいつまでも続かないという事情も分かる。

 さすがにCGは迫力があり、娯楽アクション大作としてちゃんと代金分は愉しめた。主役のジョン・コナーはクリスチャン・ベール。バットマンに続いて話題作に出ずっぱりである。今、旬の俳優なんだろうか。今回は坊主頭の無精ひげで、金持ちのブルース・ウェインとはまた感じが違う。でも時々喋り方にバットマンが入ってる気がする。

 それから今回のキーパーソン、謎の男マーカス。映画はまず2003年のマーカスの処刑場面で始まり、それから2018年のスカイネット戦争に飛ぶのだが、そこで処刑されたはずのマーカスが全裸で現れ、死体から服を奪う、というこの流れで誰もが「ははあ、こいつはターミネーターだな」と思うはずである。が、観ているとあまりターミネーターらしくなく、でもターミネーターのようでもあり、と謎のまま話は進む。この俳優さんは顔もちょっとシュワルツェネガーに似た感じだ。ネタバレしないようにその先は書かないが、今回はこのマーカスが真の主人公です、といってもおかしくないくらい重要なポジションである。

 それからもう一人の重要人物、カイル・リース。一作目以来の登場だ。まだ少年である。カイルが死ねばジョンは生まれなかったことになるので、彼の救出がストーリー上の大きな鍵となる。カイルとジョンが出会うのはシリーズ史上これが初めてだ。父と子の対面。ただし父の方が若い。

 ジョンが何度もサラのテープを聴いているシーンもそうだけれども、一作目の『ターミネーター』へのオマージュがあちこちにちりばめてあるのが大きな特色で、シリーズ通してのファンは嬉しいだろう。一作目で出てきたサラの写真(最初カイルが持っていて、ラストシーンで撮影されるやつ)も出てくるし、一作目と同じセリフもあちこちに出てくる。カイルがマーカスを助ける時に言う「Come with me if you want to live」は一作目でサラに言うセリフとまったく同じだ。もちろん、シュワちゃんの一番有名なあのセリフも出てくる。さて、言うのは誰でしょう?

 そしてきわめつけ、クライマックスに登場するシュワ型ターミネーター。これは前もって知っていたけれども、別人の体にシュワルツェネガーの顔をCG合成したものらしい。どんな感じかなと思っていたが、不自然ではなかった。だけど顔はちょっとだけしか映らない。すぐに燃えて骨組みだけになるし。これはさすがに技術的にまだ難しいのだろうか、それともシュワ氏の権利とかそういう問題だろうか。けれどもこのシュワ型ターミネーター、さすがに他の骨組みだけのターミネーターより強いみたいだ。最後もわりとしつこくて『ターミネーター』らしかった。

 それにしても一番怖かったのは最初の方に出てきてジョンを襲う、下半身がない骨組みのターミネーターである。すごい勢いで這いずりながら襲ってくる。あれはそうとう怖い。しかしそう考えると、やっぱり最初の『ターミネーター』のあのしつこいラストはインパクト絶大だったなあ。


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